薔薇の隠し事

ヴィクターはジーナから聞いた内容をフランクリン警部に電話で報告した。

一通り聞いた後のフランクリンは、小さな唸り声を上げた。

電話を終え、ヴィクターは軽く舌打ちするとマックスが勤める製薬会社へと赴いた。

マックスは二度目の訪問にも関わらず、自ら前と同じ喫茶で…とヴィクターを連れた。

警察の二度の訪問にも関わらずマックスは人の好さそうな顔だったが、

話を聞くうちに徐々にその顔色が険しいものへと変わっていった。

マックスは苦笑を浮かべてから、困ったように髪を掻き始めた。

そういうとマックスは器用な手付きで携帯を操作し始めた。

電話口に出た男と少し話してから、携帯をヴィクターに手渡した。

奥から聞こえたのはいかにも秘書らしい几帳面そうな男の声だった。

ヴィクターは礼だけ言うと、携帯をマックスに返した。

マックスはホッと一息吐いてからコーヒーを口に運んだ。

ヴィクターはマックスと喫茶店を出て別れた。

その後、フランクリン警部に電話を掛けた。

電話の奥で唸るフランクリンと同じく、ヴィクターも考え込むように空を見上げた。

「ローズ」での騒動後、ネルソンの行動を洗い出す作業が行われたが、

特に不審な動きは掴めなかった。

その日の夜、ロス市警捜査本部で頭を抱えていた捜査員たちだったが、

不意にヴィクターの携帯がけたたましく鳴った。

2019.06.22 作