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自分でやると何度も言ったのに、若井の手によって身体を綺麗にされ、部屋着に着替えさせられたぼくは、若井が冷蔵庫から持ってきてくれたお水を一口飲んで乾いた喉を潤した。
若井
横で寝転がってる若井に目線をやると、若井はそう言って両手を広げた。 ぼくは、お水をベッドサイドのテーブルに置くと、上半身を若井の身体に重ねるようにして横になった。
若井の胸に耳を当てると、心臓の音が聞こえてきて、意外と早いその音に少し笑みが溢れた。
ぼくの髪が若井の指の間をすり抜ける。
若井
それを言うなら、若井の手の方が気持ちいいよ、と心の中で呟きながら、もっと撫でろと若井の手に頭をぐいっと押し付けた。
若井
若井の言葉に、仕草に、勘違いしてしまいそうになる。
ぼくは若井の特別なんじゃないかって。
…そんな訳ないのに。
ぼく達はただのパートナー。 若井が最初に言ったように恋愛関係はなしの、ただダイナミクスの欲を満たすだけの相手。
ぼくもそれでいい。 むしろその方が都合がいいと思っていたのに、今更こんな気持ちに気付いてしまうなんて...
若井は、ぼくがSubだから求めてくれて、After careで優しくしてくれているだけ。 ぼくも、若井がDomだから求められたい、優しくされて嬉しいと思っているだけだと思っていたけど、今日のPlay中に言ってた若井の言葉が頭からずっと離れなかった。
若井にぼくがSubだと知られたくなかったのは、友達関係が崩れてしまいそうとか、そんな理由じゃなくて、本当は、ぼくをSubとか関係なく求めて欲しかったからだったんだ…
きっと、自分の気持ちに気付いてなかっただけで、ぼくはずっと若井の事を…
でも、若井はぼくとの恋愛関係は求めていない。 …叶わない想いなんて、気付きたくなかった。
こんな想いに気付いてしまうなんて、1ヶ月前のぼくは思いもしなかっただろう。 知ってたら、若井とパートナーになんて絶対にならなかったのに。
若井
ぼくは無意識に、若井を離したくないというように、若井の服をギュッと握りしめていた。 どれだけ1ヶ月前の判断を後悔しようが、一度知ってしまったこの体温を知らなかった頃には戻れない。
それでも、この想いを若井に知られる訳にはいかず、ぼくはなんでもないというように、首を横に振った。
若井
ぼくの気も知らず、若井はそう言って、自分の上に寝転がっているぼくをギュッと抱きしめた。
嬉しくて、 愛しくて、 苦しい。
ねえ、若井は誰と“最後まで”をするの…?
それは…ぼくじゃ駄目…?
友達なんかじゃなくて、若井の特別になりたいよ。