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目が覚めたのは、 うす暗い部屋のベッド。
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隣に寝ているのは 動画で絡むことの多い相方。
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…そうだ、 昨日ここまで来たんだ。
…メンバーのことを 思っても、もう涙は出ない。
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僕は静かに、 部屋を出た。
朝の冷たい空気に隠れられたら、 もっと静かに出られたのかな…。
…さっさと出ちゃおう。
キィィ…パタン。
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まだ朝早かったのか、 嵐前の雲みたいに暗い空。
…人はいないし、 少し歌おうかな。
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「ほとけっち〜、 ここの歌い方こうすると 可愛くなるよ〜。 りうら歌うけど一緒どう〜?」
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「ほとけそこ音程違うやん。 そこはラの音。 もっと原曲聞けアホ。」
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「ほとけっちその歌上手だよね〜。 まぁ女声は俺の方が できるけど〜?w」
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「ほとけ、少し慌ててんで? 早い曲やけど焦ったらダメやし、 練習してこーやw」
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…頭に、詰め込みすぎた。
メンバーとの思い出、 全部全部覚えようとしたから、
何をしても、考えちゃう。
…外食だって、 みんなのこと思い出す。
遊園地も、 みんなのこと思い出す。
初詣も旅行もお祭りも、 何やっても、どこかに絶対 メンバーがいる。
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…頭、痛い。 何、これ。
…少しずつ、 耳も、お腹も、手も、目も、 痛くなってきた…
「ほとけ〜!」
「あほとけ」
「ほとけっち〜」
「ほとけ!w」
「ほとけっち?」
「ほとけ!?」
バタンッ
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…何やってんだろ、 今すぐ、起き上がって
ザーーーーーーーーーーーッ
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ゴキャッ
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運転手
運転手
運転手
運転手
ブウウウゥゥゥン…
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苦しい、車、ナンバー、 メモ、写真、とって、 引き、逃げ、
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ーー〜ッ!!!!!
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どこか、見た、こと、ある、 りう、…りうちゃ、ん?
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よか、た、 けが、…ない
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ポタ、ポタ、ッ
雨?、ふって、…ない、 あ、…なみだ、泣いて、、?
泣くの…、見たく、ない
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だい、じょぶ、 だか、ら、
泣かな、いで
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何も音がしない病室。 白いベッドに横たわるのは、 昨日すれ違った友達。
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目が腫れてる。 泣いた後だったのかな。
俺が、庇えてれば。
もっと早く、 そこにいれば。
ほとけっちだって、 ケガしなかったのに。
あんなに朝早くから、 何してたんだろう。
どこかに行った車のナンバーは 写真撮ってるし、 大丈夫。
…何いちばんに 考えればいいかわかんない。
ほとけっちだったら、 どうするのかな。
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…しょにだ、 ほとけっちの一番の親友。
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何でだろう、 しょにだなら、 全部話せそう。
…優しいな、 りうらと違って。
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そんなに長話じゃないけど、 話してる途中に 目が熱くなった。
なにかがこぼれそうになったけど、 何度も我慢した。
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短く返す。 じゃないと、目からなにかが こぼれるから。
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色々考えすぎて、 感覚が無かった。
我に返ったら、 泣いてた。
…泣くことなんて、 めったに無いのに。
自分よりも辛い人が いるってわかっても、
…辛いものは辛い。
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広げられた腕が、 心強かった。
ギュゥゥウッ…。
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…突き放したのは自分なのに、 嫌われたかなぁ、だって。
自分勝手にも程があるよ…、 こんな中途半端、 だいっきらい。
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ガラッ…パタンッ
スマホのボタンを タッタと操作する。
ピロンッ
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「しょうちゃんから 連絡もらった。 今行くってる」
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誤字がある。 どれだけ焦っているのかな。 ないくんは普段 誤字なんてしないし。
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通知欄に、 「りうちゃんへ」 とメッセージが来ていた。
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タッ
「りうちゃんへ」
「ごめんね、 グループに亀裂入るような ことになっちゃって」
「明日、みんなの家まで行って、 ちゃんと事情聞こっかなって 思ってるから」
「最年少なのにいつも 頑張っててすごいよね、 学校との両立なんて 僕には出来ないしw」
「ギターもできて、 イケボで、僕の 最高の推し」
「尊敬してるよ、 そしてごめんなさい」
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まただ。
今度はちゃんとわかる。 自分が泣いてるのも、 その理由も。
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布団に顔をうずめて、 何度も謝った。
届かないことを知りながら、 繰り返した。
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眠ってしまっている、 メンバーの一人。
目が赤く腫れている。 あの時の親友みたいに。
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頭をそっと撫でる。
ガララッ
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スタ、スタ、スタ…
一歩ずつ、 歩み寄ってくる。
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こんな時でも泣かないリーダー。
弱音を吐かない、 強いリーダー。
そして、ちゃんと 謝れるリーダー。
よかったな、 この人が僕らのまとめ役で。
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二人とも、 めっちゃ優しい人。
やから、 自分のせいでいむくんが もっと傷ついたらどうしよって、 そんな事思ってんのかな。
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…さて、 僕はもうやることやったかな。
あとひと仕事、 頑張りますか。
第4話 「事故」