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寺島あおいです📚 第4話、読みました……。胸がぎゅっとなる回でしたね。 「記憶を失う治療」という選択肢を突きつけられて、ポルトガルを覚えていたいって必死に拒むスペインの心情が、地の文からひしひしと伝わってきました。特に「俺の記憶がないほうが此奴は幸せなのか?」って自己肯定感の低い問いかけが、過去のトラウマや自己否定の積み重ねを感じさせて切なかったです。 ラスト、ポルトガルが論文を読みながらも「今はスペインと向き合う」って決意するところ、健気で泣けます……。続き、気になります!
くじら🐋
くじら🐋
くじら🐋
くじら🐋
くじら🐋
くじら🐋
ついた病院。そこで医師から話されたのは
淡々とした、冷酷な治療法の説明だけ。
主治医
主治医
主治医
スペイン
つまり、助かる希望があるってこと…?
ポルトガル
主治医
主治医
スペイン
…記憶の喪失を要する可能性が高いのです
スペイン
スペイン
それはつまりポルトガルとの記憶を、
幼い日に見た父の記憶を、
俺が積み上げてきたすべてのものを捨てること。
失い、もう二度と戻せないこと。
スペイン
主治医
ポルトガルとの記憶がなくなる。
そうしたらきっと俺は、ポルトガルを傷つける。
スペイン
そんなの、嫌に決まってるだろ…?
そう思いポルトガルを見た。
同じ医師でいるって、勝手に思ったから。
でも彼奴はただ前を、主治医を見て
ポルトガル
ポルトガル
そうはっきりと呟いた。
スペイン
やりたくない俺の意思を無視した声。
彼奴と目が合った。
ポルトガル
スペイン
彼奴は冷たい目をしていた。
いつもなら読めるはずの感情が読めなかった。
スペイン
主治医
医師はいつも通り俺の意見なんて無視する。
スペイン
ポルトガルの体を揺さぶった。
ポルトガル
ポルトガル
またハスキートーンでそう告げる。
スペイン
スペイン
スペイン
ふと、最悪の妄想が頭をよぎった。
スペイン
スペイン
なら、最初から俺が居ないほうがいいんじゃないか。
誰にも愛されないのに、生きる意味はあるのか。
スペイン
それだけ呟いて、急いで病室を出た。
ポルトガル
そのままタクシーに乗り込んだ。
車窓から流れる景色を眺める。
中世で時が止まったような町並はいつ見ても美しい。
スペイン
俺は、北大西洋に面する西スペインに向かっていた。
車内に流れる音楽は、昔よく聞いていたジャズだった。
車の振動とともに、意識をゆっくり底に落とす。
出会ったのは確か、大航海時代だった。
ポルトガル海上帝国と、スペイン帝国。
ライバルであり仲が良かったから、 俺らも必然的に仲が良かった。
幼少期の彼奴は、俺よりも身長が小さくて
でも…筋トレしてるって言ってたよな。
将来は絶対越してやるって、守ってやるって。
そんな彼奴に俺は憧れてた。
小さい頃からずっと風邪とか病気とかよくなってたから
父さんが戦争でいないときは ポルトガルに看病してもらってたから。
だからこそ、そう言ってもらって嬉しかったのに。
父さんは、ある日戦争に行くって言ったっきり
もう二度と帰ってこなかった。
大英帝国と同盟を結んだ後、 ポルトガル海上帝国も後を追って海へ還った。
「父さんが死んだのはお前のせいだ」って
俺とポルトガルの仲も、それにつられて悪くなった。
いつしか俺は、病気にかかりやすい体質になっていた。
でもポルトガルはもういない。
だからされるがまま、ふらふらくらくら生きた。
ふらふらくらくら生きていたある日、
ポルトガルから連絡があったんだ。
「食事にでも行かないか」って。
スペイン
優しいその手紙も、今の俺には足枷だった。
俺はもう純粋じゃない。
彼奴が仲良くしてくれていた俺じゃない。
ポルトガルを引き留められず鬱になって
正しい判断もできぬまま処女を奪われ
ぐちゃぐちゃになるまでを強要されて
そのせいでエイズになって。
ようやく治ったのに、薬の副作用で 大好きなサッカーもできなくて。
肌も弱いから外に出られなくて。
日光に当たってないからさらに鬱になって。
振り返るたびに思うよ
スペイン
スペイン
そして今日、
希死念慮が自殺念慮に変わった。
スペイン
もう終わりにしよう。
ベッドから起き上がってゆっくり歩く。
物置にあった縄に手を伸ばす。
縄に手が触れる前に手首が掴まれた。
ポルトガル
スペイン
スペイン
涙がいっぱい溜まって誰か見えない。
それでも、その声は昔の面影があった。
ポルトガル
ポルトガル
スペイン
そのまま俺をお姫様抱っこして、 そのまま車に乗せた。
その手つきは昔と大差なかった。
着いた先はポルトガル料理店。
ポルトガル
かつて俺が好きだったこの場所も、 食事を拒むようになってからは行っていなかった。
自分の右手を眺める。
スペイン
普通の人なら気付かないだろう、吐きだこと指の傷。
ポルトガル
スペイン
俺なんかしたっけ…?
ポルトガル
ポルトガル
スペイン
スペイン
ポルトガル
ポルトガル
一気に血の気が引いた。
吐いてるなんて知られたくなかった。
面倒くさいって、どうせ皆捨てるから。
スペイン
そう呟いて店を出たのち、走った。
白い砂浜に青い海の混じる美しい海岸。
ガリシア地方、北西部、Praia de Niñónsまで。
周りを森に囲まれたPraia de Niñóns。
タクシーが居なくなるのを見届けて、
あの日見たのと同じ景色を眺める。
ポルトガル
振り返るさきにポルトガルが見えた。
思い出を体感することによる幻覚。
脳が興奮しているようだ。
ポルトガル
スペイン
涙で濡れた視界の先に、ポルトガルはいなかった。
ポルトガル
そういうポルトガルを無視して、 確か海に落ちたんだっけ。
あの日と同じように、海に落ちる。
変わらないのは、ポルトガルが居ないことだけ。
バシャンッ
激しい水の音。
幻聴も聞こえるようになったようだ。
ポルトガル
スペイン
飛び込む前にくたびれちゃったのかな。
まだ幻覚が見えるや…。
スペイン
ポルトガル
ポルトガル
スペイン
脱力しようとした体に声が響く。
スペイン
ゆっくりポルトガルの頬に手を伸ばした。
傷だらけの、吐きだこのある手はみっともない。
それで彼奴の顔に手を触れるなんて 許されるのかなって考えたら泣きたくて。
手が途中で止まる。
ポルトガル
ポルトガルが俺の手首をつかんで顔を近づける。
震える手に当たる体温が驚くほど温かい。
スペイン
思わずその優しさに嗚咽が漏れる。
スペイン
ポルトガル
その声は荒々しいのに優しくて。
救われたいのに叶わないって分かってるから苦しくて。
スペイン
笑みを全力で浮かべようとした。
でも、笑えない、うまくいかない。
スペイン
ポルトガル
ポルトガル
ポルトガルの俺を支える手に力が籠った。
ポルトガル
ポルトガル
ポルトガル
ポルトガル
紅い瞳がこちらを向いていた。
スペイン
ポルトガルを、お前を覚えていたい。
忘れたくない。
そう言おうとした刹那
スペイン
右腕に刃物で傷を直接つけられるような痛み。
スペイン
スペイン
ポルトガル
首を横に振った。無理する余裕なんてない。
しばらくして、痛みが治まった。
ポルトガル
スペイン
額に浮かぶ冷汗。少し貧血気味。
スペイン
ポルトガル
脱力した体に当てられるポルトガルの大きな手。
自然とその手は安心をもたらした。
ポルトガル
ポルトガルが小さくつぶやく。
スペイン
ポルトガル
スペイン
ポルトガルの車で家へ向かった。
スペイン
隣で眠るスペイン。
ポルトガル
驚くほど静かなその寝息と寝顔は、 精巧で美しい人形のようで。
ポルトガル
論文をダッシュボードに置いて、 スペインの帽子を被る。
そしてスペインの頭を優しく撫でた。
深く、眠りにつかせるように。
スペイン
ポルトガル
慌てて手を引っ込めた。
ポルトガル
スペイン
ポルトガル
ポルトガル
ポルトガル
それでも此奴の上目遣いには勝てない。
ポルトガル
そう呟いてまた論文を手に取り、 ハンドルを片手で握る。
車を進め、スペインを愛でて____
それを繰り返しながら帰路に着いた。
論文のことは、今は考えない。
隣にスペインが居るのだから、 俺が向き合うべきは病気ではなく此奴だ。
ポルトガル
その決意はスペインに隠した。
それでも尚病気に向き合う俺を、 スペインには知られたくないから。
しゃけ
20
#日本愛され