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読切 / ふたりのはじまり.

いつからだろう。

彼女から“赤葦京治”という存在が が消えていったのは────

毎日、愛する君と思い出を紡いでいける。

あのときまでは、そう思っていた ________ 。

医者

残念ですが、あと余命半年ほどです

赤葦 京治

は……?

恋川 凛 - コイカワ リン -

え……

倒れたのをきっかけに、入院して数ヶ月。

原因不明の体調不良が続いていたが まさか余命宣告されるほどだったとは…

自分でも驚いた。

恋川 凛 - コイカワ リン -

そんな…

恋川 凛 - コイカワ リン -

京くんの余命があと半年って…

ベッドの横に座っているのは もうすぐ付き合って3年になる彼女の凛さん。

俺は彼女のことを愛している。

でも、彼女ともあと半年しか一緒にいられないのか…

恋川 凛 - コイカワ リン -

京くん…やだ…やだよ…(グスッ

凛さんが泣き出してしまった。

重い体を起こして、凛さんを抱きしめる。

凛さんの笑顔が好きなのに 自分のせいで凛さんが泣いている。

赤葦 京治

…大丈夫ですよ

赤葦 京治

あと半年は、ふたりでずっと一緒に居ましょう

彼女の前だからつい強がってしまった。

だけど、自分でもまだこの現実が受け止められなくて 泣いてしまいそうだった。

しかし、驚くべきことが起こった。

余命宣告をされたその日を境に 体調がだんだんよくなってきたのだ。

数日経つと、体がだいぶ軽くなった。

医者も回復の早さに目を丸くしていくらいだ。

でも、自分の体が回復していくごとに 彼女の様子がおかしくなっていった ________ 。

恋川 凛 - コイカワ リン -

京治くん、体調どう?

京治くん…?

いつもなら“京くん”と、あだ名で呼んでくるのに。

赤葦 京治

最近、体が軽くなったように感じます

赤葦 京治

医師の方によると、このまま体調が回復すれば退院できるそうです

恋川 凛 - コイカワ リン -

それ、ほんと??!

恋川 凛 - コイカワ リン -

やっぱり、“あれ”は夢じゃなかったんだ…!!

赤葦 京治

…“あれ”とは?

恋川 凛 - コイカワ リン -

…いや!なんでもない!

恋川 凛 - コイカワ リン -

気にしないで

この日の凛さんは何かおかしかった。

呼び方もいつもと違うし 変なことも言っていた気がする。

でも、気のせいにしていた。

数日が経ち、寒さが増していく。

病室の窓から見える木々が冬の寂しさを纏っていくのとは対照的に、俺は元気になっていった。

1週間後には退院できると医者に聞いた。

これは、異例の事態らしい。

自分でも、不思議だと思った。

そして、凛さんは俺のことを“赤葦くん”と 呼ぶようになった。

まるで、付き合う前に戻ったかのようだ。

赤葦 京治

もうすぐ、付き合って3回目の記念日ですね

恋川 凛 - コイカワ リン -

記念日?

赤葦 京治

12月5日です

赤葦 京治

俺の誕生日が記念日じゃないですか

恋川 凛 - コイカワ リン -

……あぁ、そうだったね…!

凛さんは記念日を忘れていた。

しかも、俺たちが付き合ったのは12月5日。

俺の誕生日の日なのだ。

ということは…凛さんは俺の誕生日も忘れていた ということになる。

やはり、彼女の身に何かが起こっているのは確かだ。

一体、何が起きているのか?

考えているうちに俺は気づいてしまった。

俺の体調がよくなり始めたときと、凛さんの様子がおかしくなったタイミングが綺麗に重なっているのだ。

今度、凛さんが面会に来てくれたときに 聞いてみよう。

そう、心に決めた。

しかし、俺の退院日になっても 凛さんが病院に姿を見せることはなかった。

赤葦 京治

(凛さん、どうしたんだろう…)

赤葦 京治

(とりあえず、あとで凛さんの家に行ってみるか)

そんなことを考えながら歩いていたときだった。

目の前に見覚えのある女性の後ろ姿を見つけた。

俺は、久しぶりに彼女に会えてうれしくて つい大きな声で名前を呼んでしまった。

赤葦 京治

凛さん!!

その女性は少し驚いた表情で、振り向いた。

やっぱり凛さんだった。

赤葦 京治

来てくれてたんですね

赤葦 京治

1週間ほど見かけなかったので心配してました

久しぶりに会った凛さんには、いつもの笑顔がなく どちらかというと怯えているように見えた。

凛さんは恐る恐る口を開いた。

恋川 凛 - コイカワ リン -

……すみません

恋川 凛 - コイカワ リン -

あなた…誰…ですか、?

赤葦 京治

え…?

はじめは冗談かと思った。

赤葦 京治

あなたの彼氏です

赤葦 京治

俺たち、今日で付き合って3年になるんですよ

そう、今日が記念日の12月5日。

俺の誕生日でもある。

恋川 凛 - コイカワ リン -

ごめんなさい…

恋川 凛 - コイカワ リン -

わからないです

凛さんはそう言い残して、走り去っていった。

嘘だ……

凛さんが俺のことを知らないなんて…

絶対に人違いではない。

あれは、間違いなく凛さんだった。

俺は混乱した。

それと同時に凛さんに忘れられていることが ショックでたまらなかった。

看護師

あの、赤葦京治さんですか?

ここの病院の看護師から声をかけられた。

赤葦 京治

はい、そうですけど…

看護師

先程、お話されていた方から手紙を預かっておりまして

赤葦 京治

手紙…?

看護師

はい

看護師

2週間ほど前にお預かりしました

看護師

患者様が退院する日に渡してほしいとのことでしたので

そう言って、看護師は俺に封筒を差し出した。

封筒には“京くんへ”と書かれている。

赤葦 京治

ありがとうございます

俺は急いで、封筒を開け、手紙を読んだ。

京くんへ

この手紙を読んでいるということは もう退院したのかな?

退院おめでとう!

でも、京くんの体調が回復している頃には 私はそばにいないかもしれない。

今から、そのことについて話すね。

京くんが余命宣告された日 不思議な出来事がありました。

私は京くんとあと半年しか一緒にいられないのかと 家に帰ってたくさん泣きました。

泣き疲れて、寝ちゃったんだろうね。

目が覚めると、そこは知らない場所でした。

ふわふわしていて、変な感じだったな…

目の前に見覚えのない女の人が立ってて 私に「あなたの願いを叶えます」と言うの。

絶対にそんなことできないと思ったけど そのときは京くんのことで頭がいっぱいだったから

私は「京くんの病気を治してください」 「そして彼を元気にしてほしい」とお願いしたの。

すると、女の人はまた不思議なことを言い出した。

その女の人は 「願いを叶える代わりにあなたは“大切なもの”を失う」 そう言ってたっけな…

そのときは、京くんの命より大切なものなんてない。

私のお気に入りのバッグやコスメがなくなっても また買えばいいと思ってた。

でも、目が覚めたときに私の中から“何か”が 抜き取られたような感じがした。

最初は、あんまり気にしてなかったんだけど その感覚を毎朝覚えるの。

そして、私は気づいてしまった。

“私の大切なもの”

それは────

“京くんと過ごしてきた日々”だってことに。

だから、京くんの体調が回復すればするほど 私の中から京くんとの記憶が消えていく。

そして、京くんが退院する頃には、もう…

ごめん、そのときのことを考えると 涙が止まらなくなってきちゃった。

私の記憶があるうちに、手紙を書かなきゃと思って 今に至ります。

もうすぐ12月5日。

私たちが付き合って3年になるね。

京くんの誕生日でもあるから、祝えるうちに 祝っとくね笑

誕生日おめでとう♡

これから先も、君のそばで記念日や誕生日を 一緒に過ごしたかったな…

でも、もう手遅れだ。

京くん、別れよう。

京くんには、私のことを忘れて 幸せになってほしい。

でも、時々は私のこと思い出してほしいかも…

最後までわがままでごめんなさい。

私は、ずっと京くんのことを応援してるよ!

長くなっちゃったけど、最後に言わせて。

京くん、大好きです。

ずっとあなたを愛しています。

凛より

手紙を読み終わる頃には、大粒の涙が溢れていた。

手の震えも止まらない。

凛さんがいないのに、幸せになれるはずない。

なんで、もっと早く気づけなかったんだろう。

凛さんは、一人でずっと抱え込んでたんだ。

それなのに、俺は自分ことばかりで…

このまま、凛さんとお別れなんて嫌だ。

次の瞬間、体が勝手に動いた。

俺は、走って病院を飛び出した ________ 。

外は、雪が降っていた。

今日が初雪なんだとか。

俺は、走りながら凛さんを探した。

さっきまで、病院にいたから そこまで遠くには行っていないはず…!

公園を通りかかったとき ベンチに座っている凛さんを見つけた。

息を吹きかけて、手を温めている。

赤葦 京治

凛さん…!

恋川 凛 - コイカワ リン -

あなた、さっきの…!

赤葦 京治

赤葦京治といいます

赤葦 京治

先程は驚かせてしまってすみません

凛さんは、とても寒そうだった。

俺は、自分がしていたマフラーを 彼女の首にそっと巻いた。

恋川 凛 - コイカワ リン -

…!!

恋川 凛 - コイカワ リン -

ありがとうございます

恋川 凛 - コイカワ リン -

お優しいんですね

凛さんが微笑んだ。

彼女の笑顔が見れて、ほっとした。

赤葦 京治

相変わらず、かわいいです

恋川 凛 - コイカワ リン -

へ…??

恋川 凛 - コイカワ リン -

ありがとう…ございます///

凛さんは顔を赤らめた。

恋川 凛 - コイカワ リン -

あっ、私は恋川凛です!

赤葦 京治

ふふ、知ってます

恋川 凛 - コイカワ リン -

でも、どうして?!

赤葦 京治

俺たち、本来なら今日で付き合って3年が経つんです

赤葦 京治

色々あって、凛さんは俺のことを忘れてしまったようですが…

恋川 凛 - コイカワ リン -

…そうだったんですね

恋川 凛 - コイカワ リン -

だからかぁ…

赤葦 京治

…??

恋川 凛 - コイカワ リン -

今日、病院に何かがあるような気がして行ってみたんです

恋川 凛 - コイカワ リン -

でも、何も思い出せなくて帰ったんですけど

恋川 凛 - コイカワ リン -

きっと、私はあなたを探していたんですね!

どうやら、凛さんの中から俺が完全に消えたわけでは ないらしい。

俺は、凛さんの手をぎゅっと握って言った。

赤葦 京治

凛さん、すみませんでした

赤葦 京治

俺のせいで、たくさん辛い思いをさせちゃいましたね…

恋川 凛 - コイカワ リン -

大丈夫ですよ

恋川 凛 - コイカワ リン -

ほとんど忘れちゃってますし笑

赤葦 京治

でも、ずっと言いたかった

赤葦 京治

凛さん、あなたを愛しています

赤葦 京治

もう一度、俺と付き合ってくれませんか?

恋川 凛 - コイカワ リン -

はい!もちろん!

凛さんは俺の手を握り返して、笑顔で言った。

俺は、彼女をめいいっぱい抱きしめた。

凛さんが俺との記憶をなくしてしまったとしても また一から始めればいい。

12月5日────

この日は ふたりの新しいはじまりの日。

⟡.· ⎯⎯⎯⎯⎯⎯ 𝑬𝑵𝑫 ⎯⎯⎯⎯⎯⎯ ⟡.·

──── あとがき ────

今回は、ろう様のコンテストに参加させていただきました。

感動部門 / ハイキュー での参加です。

ありがとうございます😭💖

この機会にもっと仲良くなれればうれしいです!!

読切書くの慣れてなくて、とても長くなってしまいました…

設定が曖昧なところとかも、たくさんあったかと思います💦

作品の内容について質問等あれば、コメント欄まで↓

最後まで読んでくれた方、本当に感謝です🫶🏻

がんばったので、🩷たくさん押してほしい、!!

💬で感想もたくさん聞かせてください!

入賞できることを願っています🙏🏻💫

うる.【 2025.6.7 】

この作品はいかがでしたか?

1,301

コメント

21

ユーザー

初コメ失礼します🙇🏻‍♀️🪄︎︎ テラーで過去一感動しました🥹🎀ほんとにすきです、これからも応援してます🎶

ユーザー

ぐはっ⚡️😇 最高すぎてもう〇んでもいいです🤦🏻‍♀️💗 大切なものの為に自分の大切なものを 差し出せる凛ちゃんカッコいい…😍 私もそんな人になりたい‼️ まとりあえずうる様の作品はどれも 神作って事が改めて分かりました😎

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