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rara🎼
nmmn注意⚠️ キャラ崩壊注意⚠️ 誤字脱字注意⚠️ 瑞様体調不良注意⚠️ 二次創作
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第62話『重なる痛み』
朝。
窓の隙間から差し込む陽射しが、こさめの部屋を柔らかく照らしていた。
その光の中で、らんは椅子に座ったまま軽くうたた寝していた。
目を開けると、布団の中のこさめが寝返りを打ち、弱い咳を洩らしている。
らん
小さく呼びかけると、閉じられたまぶたがわずかに震えた。
熱は昨日より少し下がっているようだが、まだ顔色は優れない。
らん
そう思いながら、冷えたタオルを取り替える。
こさめの額にそっと置くと、安堵したように小さく息を吐いた。
昼。
すちは一度帰っていた。
すち
と言い残して去っていったため、部屋には今、らんとこさめだけがいる。
外の喧騒は遠く、時計の秒針だけが静かに響いていた。
本を開いたままのらんは、ページをめくることも忘れてこさめを見守っていた。
――そのとき。
らん
突然、頭の奥で激しい痛みが爆ぜた。
こめかみから後頭部にかけて、鋭い衝撃が走る。
視界が滲み、呼吸が乱れる。
らん
思わず机に手をつき、身体を折り曲げる。
こさめ
弱々しい声。
布団の中から、こさめがうっすら目を開けてこちらを見ていた。
喉を焼くような咳をひとつ洩らしながら、こさめは心配そうに眉を寄せる。
こさめ
その声すら、痛みに揺らいで遠く聞こえる。
らん
らんは必死に言葉を繰り返す。
苦しそうに顔を歪めながらも、こさめを安心させたい一心で。
こさめ
熱で掠れた声が、さらに問いかける。
らんは痛みに耐えながら、何度も何度も繰り返す。
らん
こめかみを押さえ、喉からかすれるように。
まるで自分自身に言い聞かせるかのように。
こさめは弱い手を伸ばそうとして、すぐに力尽きて布団へ沈んだ。
こさめ
途切れ途切れの声。
その姿が胸を締め付ける。
本当は自分が支える側でいなければならないのに。
自分の痛みで相手に気を遣わせている。
らん
頭の奥でまだ痛みが渦巻いている。
だが、それ以上に強い思いが胸に広がる。
らん
らん
必死に息を整え、らんはこさめの額のタオルを取り替え直した。
その手の震えを、こさめは気づかないふりをしていた。
夕方。
すちが再び訪れた頃には、らんの頭痛も少しずつ引いていた。
こさめは浅い眠りについている。
すち
部屋へ入るなり、すちが言った。
らん
らんは即座に返す。
すち
疑わしげに睨まれたが、それ以上は追及されなかった。
すちは用意してきた飲み物を置き、淡々と看病を引き継ぐ。
らんはその横で、布団の中のこさめを見つめ続けていた。
夜。
こさめは眠り続けていた。
熱はまだ残っているが、呼吸は落ち着いている。
静かな部屋で、らんは小さく呟いた。
らん
誰に向けた言葉なのか分からない。
こさめに、仲間に、そして自分自身に。
その声は、夜の静けさに溶けて消えていった。
第62話・了
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𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡500
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コメント
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最高だった! マジで…