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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

ユウゴ

うっ……ううん

ほほへの冷たい感触で目を覚ました。

左肩はまだ痛いけど、我慢出来ないほどじゃない。

ゆっくりと目を開けると、目の前に大きな黒い犬がいた。

黒い犬が大きくて長い舌で、ぼくのほほを舐めていた。

ユウゴ

うわわっ!

ぼくはおどろいて飛び起きた。

急に頭を上げたせいで、目の前がくらくらする。

パースク

目が覚めたか、少年

犬を連れた男に人に声をかけられた。

ユウゴ

あ、はい

起きたばかりでよく働いていない頭で、曖昧な返事をする。

パースク

受け答えできるなら大丈夫か。

パースク

とりあえず、立ちな

ユウゴ

は、はい

言われるままに、ゆっくりと立ち上がった。

立ってから思ったけど、黒い犬は本当に大きかった。

頭の位置はぼくの腰より高い位置にあり、胴体も大きく、四肢も長い毛に包まれた筋肉が見えるほどに太くしっかりしている。

犬というよりも、まるで熊……

ユウゴ

うぐっ!

また左肩の傷に激痛が走った。

ほんの一瞬のことだったけど、まるでナイフを刺されたかのようだった。

パースク

古傷が痛むようだね

男の人の優しい声。

男に人は身長は2メートルくらいで、見上げないと顔が見えないくらい背が高い。

腰に届くくらい長い金髪をしているけど、手入れされていないのか、砂埃まみれで毛先もボサボサ。

裾が擦り切れた灰色のロングコートと、同じ色の土汚れが目立つデニムパンツ。

頭にかぶったツバの広い山高帽子が特に目を引く。

着ているものは現代的だけど、魔法使いと言われて、ほとんどの人が真っ先に思い浮かべるシルエットをしている。

山林の中にいる魔法使いらしき人物。

ここでこんな人に出会うなんて、偶然とは思えない。

ユウゴ

あの、もしかして、あなたは……

パースク

立ち話もなんだし、ちょっと移動しようか

男の人は、ぼくの話をさえぎって歩き始めた。

黒い犬も黙って男の人のとなりを歩いていく。

これは、ついて来いということだろう。

パースク

名前は?

男の人の後ろをついていくと、向こうから話しかけられた。

ユウゴ

佐伯《さえき》佑伍《ゆうご》です

パースク

年齢は?

ユウゴ

11歳です

パースク

ということは、
あの時は、まだ6歳か

ユウゴ

あの時って、魔物の?

パースク

それを調べに来たんだろう?

ユウゴ

まあ、そうですけど

いきなり核心を突く話題を振られた。

『立ち話もなんだし』って、もしかして歩きながら話そうってことだったの?

てっきり、どこか座れるところでゆっくり話そうって意味だと思ってたんだけど。

パースク

今、魔力痕は痛むかい?

ユウゴ

少しだけ。
今は落ち着いていますけど

パースク

そうか。
さっきはすまなかったな

ユウゴ

さっきって言うのは?

パースク

こいつだ

男の人が黒い犬の頭を軽く撫でる。

すると黒い犬の体がひとまわり大きくなった。

ただサイズが大きくなっただけでなく、首や背中の肉は盛り上がり、より熊っぽいシルエットに変化した。

ユウゴ

うわっ!

黒い犬が大きくなったのとシンクロするように、左肩の痛みが増した。

パースク

……と言うことだ

黒い犬が振り返る。

見覚えがある。

ぼくが5年前に襲われた黒い獣……魔物だ。

あの時の恐怖が蘇り、全身から脂汗が吹き出てきた。

ユウゴ

なんで……?

この黒い犬が、ぼくを襲った魔物で間違いない。

共鳴痛が何よりの証拠。

これまでの話から、この男の人が、あの時ぼくを助けてくれた魔法使いなのも間違いない。

でも、だったらなんで一緒にいる?

しかも、5年前と同じ場所で。

パースク

すまない、少し話を急ぎすぎたね

男の人が魔物の背中を撫でると、今度はひとまわり小さくなり、さっきと同じ大型犬サイズに戻った。

それでも大きいけど。

ぼくの共鳴痛は、我慢できるくらいには小さくなった。

パースク

くわしい話は、ここでしよう

目的地に到着したようで、男の人は足を止めた。

アミキティア魔法学校の闇

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