テラーノベル
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橙は笑っている時ほど、危うい。
それに気づけるのは、たぶん グループの中で、桃だけだった。
橙
橙
橙はいつも通り明るい声で話しかけて来る。 関西弁は軽快で、空気を一瞬で和ませる。
桃
桃は資料を受け取りながら視線を外さない。
橙の目元に、ほんのわずかな影があるのを見逃さなかった。
桃
言わない。 言えば、橙はまた笑って誤魔化す。
だから俺は、ただ隣に座る。
それが自分にできることだった。
橙は、自分の役割を理解している。
盛り上げる人。 場を回す人。 誰かが落ちたら、必ず拾う人。
ジェルくんって天才だよね〜!
そんな言葉をかけられるたびに、胸の奥が少しだけ痛んだ。
橙
楽しい。 ステージも仲間も大好きだ。
でも同時に、怖い。
もし、 もし自分が笑えなくなったら?
その時、ここに居場所はあるんやろか。
桃
不意に名前を呼ばれて、橙は顔を上げた。
橙
桃
その一言ですべてが見抜かれた気がした。
橙
小さく笑って橙は誤魔化そうとする
橙
桃
淡々とした声。
でもそこには暖かい温度があった。
夜、スタジオの片隅。 照明が落ちて静けさが目立つ。
橙は壁にもたれて座り込み、 天井を見上げていた。
橙
誰に向けたわけでもない独り言。
桃
隣に座る気配。 振り向かなくても、分かる。
橙
桃
二人の間に少しだけ距離がある。 触れない。でも、離れすぎない。
桃
桃がゆっくり口を開く。
桃
橙
桃
桃
橙の喉がきゅっと鳴った。
桃
桃
橙
桃
桃
橙はしばらく何も言えなかった
橙
桃
橙
桃
桃は静かに微笑んだ
桃
控室で桃は何気ない声で聞いた。
橙
橙
桃
それはお願いでも、命令でもなかった。
橙
橙は深く考えずに笑う。 でもそのやり取りを、周りのメンバーは少しだけ不思議そうに見ていた。
紫
紫
桃自身は、気づいていなかった。
自分がどれほど、橙を「自分の範囲」に置いているかを。
収録中
橙が他のメンバーと笑い合っている
水
そんな声が飛ぶたびに、
桃の視線が一瞬だけ鋭くなる。
桃
ジェルの間の取り方。 笑う前の小さな息。 無理してる時の声の高さ。
それを分かっているのは俺だ。
桃
桃は自然に名前を呼ぶ
橙
桃
理由は言わない。 橙も、聞かない。
そのやり取りが当たり前になっていく。
—気づけば、橙の隣にはいつも桃がいた。
橙
夜、帰り道 橙がふと立ち止まる。
橙
桃
橙
冗談めかして言ったはずだった。
でも、桃は立ち止まらない。 振り返って、静かに言う。
桃
その一言で、ジェルは詰まった。
橙
桃
あまりにも即答。
橙はそこで初めて違和感を覚える。
桃は、触れない。 無理に近づかない。
でも…
橙が疲れてる日は、必ず隣にいる。 誰かが橙を連れ出そうとすると、先に声をかける。 橙が弱いところを見せる相手は、自分だけにする。
それは音を立てない独占だった。
橙
ある日、橙が笑いながら言う。
橙
桃
橙
冗談のはずだった。
でも桃は目を逸らさずに言った。
桃
その視線に、ジェルの心臓が跳ねる。
橙
数日後、夜明けのスタジオ。
橙
橙
桃は、少しだけ驚いた顔をしてから、 ゆっくり息を吐いた。
桃
責めるでもなく、笑うでもなく。
桃
静かな声。
桃
一歩、近づく。
桃
橙は逃げなかった
橙
橙
そう言いながら、 自分から距離を詰める
橙
小さく笑って
橙
桃は橙の頬額に軽く触れる。 それ以上はしない。
桃
胸元を指す。
桃
橙は目を伏せて、呟く。
橙
桃
即答。
その瞬間、 橙は完全に理解した。
橙
でも、不思議と怖くなかった。
名前を呼ばれる。
桃
橙
その距離は、もう元に戻れないほど近い。
𝐧𝐞𝐱𝐭…♡50𓈒 𓏸
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