君になりたくて

冬休みが明け＿＿＿＿

キーンコーンカーンコーン

授業終わりのチャイムが鳴り響く。

移動教室に向かって歩いていると凌の姿を見つけた。

すると凌は2人の女子生徒に話しかけられていた。

明里はゆっくり通り過ぎるふりをして会話を聞いた。

明里は気づかれないように早歩きで廊下を進んで行った。

「中学の時は女子からのバレンタイン、全部貰ったって聞いたよー？」＿＿

モヤァ……

私のバレンタインチョコが埋まるくらいたくさん＿＿

彼女になったのに、体の距離は埋まらないままだ。

私は凌くんをことを好きな人の中の1人でしかないのだから。

練習が始まる前、コートの準備をしている修也のところへ駆け寄る。

明里はボスッとベッドに横になった。

みんな私より女子力があって

美味しいものを作るんだろうな…

そしてバレンタイン数日前

材料の列を睨みながら唸っていると

トントンと、後ろから肩を叩かれた。

振り返ると、そこには陸が立っていた。

明里の顔は赤くなる。

陸はニコッと笑った。