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ボスキと主様

第90話 - 第90話湖のほとりで～ミヤジと主デート編～

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2025年04月19日

#悪魔執事と黒い猫

#ボスキ・アリーナス

aimer(エメ)

ラトとのデートから数週間がたち、主はミヤジと静かな湖へデートに来ていた。

ミヤジ

今日は、私のお誘いを受けてくれてありがとう。主様。

主

ううん。こっちこそ、
誘ってくれてありがとうね。ミヤジ///

照れながらも笑顔で返す主にミヤジも微笑む。

ミヤジ

フフッ…。お礼にお礼を返されてしまったね。

主

あ、そうだね///
ふふっ。

そして、2人は笑いあう。

ミヤジ

ところで、主様。せっかく、湖へ来たことだし、私と少し湖の周りを歩いてみないかい？

主

うん///

そして、2人は並び歩く。

主

湖に太陽が当たって
キラキラして綺麗だね。

ミヤジ

あぁ。そうだね。この湖は濁りがなく透明で人が泳いだとしても害のない水質だからね。時折、人が泳ぎに来ることもあるんだよ。

主

そうなんだ!
だから、フルーレ。
水着を持たせてくれたのかな？

ミヤジ

ん？フルーレくんが主様に水着を持たせてくれたのかい？

主

うん。今日は、楽しんできてくださいって言って渡してくれたよ？
あ、ミヤジの分もあずかってきたよ。

そういい、主はミヤジに水着を渡す。

ミヤジ

ありがとう。主様。

ミヤジ

(フルーレくん、気を遣ってくれたんだね…。
主様がお暇にならないようにと。)

主

せっかくだし、一緒に入る？///

照れながら、ミヤジに尋ねる主。

ミヤジ

あぁ。入ろうか。

そして、木の影で着替える主に背を向け、ミヤジも着替える。

主

お待たせ…////ミヤジ///
どうかな…？////

可愛いフリルがついたピンク色のハイビスカスの花がプリントされたビキニ姿の主にミヤジは微笑みいう。

ミヤジ

とても似合っているよ。主様。

主

本当？！

ミヤジ

あぁ。綺麗だよ。主様。

主

ふふっ///ありがとう。
ミヤジもかっこいいよ///

ミヤジ

…ありがとう////
では、入ろうか。

というと、ミヤジは主の前へ左手を差し出す。その手に主は右手を差し出し、2人は手を繋ぐと、湖へゆっくりと入る。

主

冷たっ…!

ミヤジ

フフッ…。ゆっくりで構わないよ。

主

ミヤジ、冷たくないの？

ミヤジ

私は、このくらいであれば、大丈夫だよ。

主

そっか。あ、でも、慣れてきたかも。

そういい、全身を湖に付けていく主の手をしっかり握りながら、ミヤジは主を湖の中へと連れていく。そして、顔だけを水面からだし、2人は会話をする。

主

凄い透明度だね。深いところ以外は全部底まで見える!

ミヤジ

楽しいかい？

主

うん///すごく楽しい!!
ミヤジは楽しくない？

ミヤジ

私は、主様とこうして
2人きりでデートに来られただけでも嬉しく思っているよ。楽しくないわけがないだろう？

主

ミヤジ…。うん///連れてきてくれてありがとう。

ミヤジ

フフッ…。
では、泳ごうか。

主

うん///

そして、ミヤジは主の手を引き泳ぐ。それに合わせるように主も泳ぐ。

主

(綺麗…。水の世界って感じ。まるで人魚にでもなったみたいに、気持ちよくてこのまま、水の世界で暮らせてしまいそうな感覚になっちゃう。)

ミヤジ

(主様は、泳ぎもお得なようだ。これなら、私がわざわざ手を繋ぐより自由に泳いでもらっている後ろをついて泳ぐ方が、主様も楽しめるだろう。)

そして、1度泳ぎを止め、水面に顔を出したミヤジは、同じく水面に顔を出す主にいう。

ミヤジ

ここからは、主様が自由に泳いでもらって構わないよ。私が後ろを着いて泳ぐから、いざと言う時は安心してくれていい。

主

わかった!///

そして、主は自由に水中を泳ぐ。

ミヤジ

(まるで、人魚のようだ…。あんなに自由に水中を泳いで…。実は、本当に人間ではなく、人魚なのだろうか。)

主

(楽しい!///あ、お魚だ!)

泳ぎを止め、水中に静止し、主は魚を眺める。

ミヤジ

(お魚を見ているようだね。フフッ…。主様は本当に可愛らしいね。)

そして、再び、水面に顔を出し、息を吸う主。それに、合わせミヤジも水面へと顔を出し息を吸う。

主

ぷは～!////ミヤジさっき見た？！お魚がいたよ!

ミヤジ

あぁ。見ていたよ。
主様の華麗な泳ぎもね。

主

そ、そんな華麗だなんて…////

ミヤジ

いや、あまりに美しいから人魚かと思ったよ。

主

もう、そんな褒めないでよ～!///恥ずかしい////

そんな照れる主に愛おしさを感じながら、ミヤジは主と暫く湖を泳ぎ続けた。

ミヤジ

主様。少し休憩しようか。あまり、長時間入って、体が冷えすぎたらいけないからね。

主

わかった!///

そして、2人は湖から上がると木陰に敷物をしき、体にタオルを巻いて座る。

主

楽しいね!////ミヤジ。

ミヤジ

そうだね。私も久しぶりにこんなに泳いだよ。
もう、ずいぶんと久しぶりにね…。

主

ミヤジ？

ミヤジ

いや、なんでもないよ。せっかく、休憩していることだし、昼食でもとろうか。ロノくんから、お弁当を受け取ってきているからね。

主

いいね。一緒に食べよう!///

ミヤジ

いいのかい？私は執事だから、主様の後で昼食をとろうかと思っていたのだが…。

主

いいの。だって、今日は、デートなんでしょ？////

ミヤジ

フフッ…。そうだね。周りに人もいないし、一緒に食事をしても問題にはならないだろう。
わかったよ。

主

やった!////

そして、2人はロノが手作りしてくれた、サンドイッチとからあげや卵焼きなどが入ったおかずを一緒に食べながら、水筒に入れてきた麦茶を飲み、楽しく食事をするのであった。

主

はぁ～。美味しかったね。

ミヤジ

あぁ。ロノくんの料理はいつも相手を思いやり丁寧に作られていて、とても美味しいと私も思うよ。

主

少し休憩したら、また泳ごうかな。
ミヤジはどうする？

ミヤジ

主様について行くよ。

主

無理してない？

ミヤジ

無理はしていないが、
どうしてだい？

主

なんとなく…。私に合わせてくれてるのかなって。

ミヤジ

そんなことはないよ。私も主様と一緒にいることが、楽しいと思っているからね…////

主

そっか///私もミヤジと一緒にいるの楽しいよ!///

ミヤジ

そうか。
それは良かったよ。

そして、またしばらく2人は、泳ぐと水からあがり、体をタオルで拭くと服に着替え、湖のほとりを歩き散歩をした。

ミヤジ

あちらにベンチがあるから、少し休もうか。
主様。

主

うん。ミヤジ。

ちょうど、木陰に隠れたベンチが湖を向いて設置されていた。そこへ、主の右手をとり、紳士的にベンチへ座らせると主の横で立ちながら控えようとするミヤジに、

主

今は、周りに人いないから大丈夫だよ。
一緒に座ろう。

ミヤジ

…わかったよ。主様。

そして、主の左側に座るミヤジ。

主

湖、綺麗だったね。
ミヤジ。

ミヤジ

そうだね。とても、綺麗だったね。主様。

主

うん。

ミヤジ

…………。

主

…………////

そして、2人はベンチで無言で湖を見つめる。

主

(ど、どうしよう…。話題なくなっちゃった!)

ソワソワ

ミヤジ

(静かだ…。私は、落ち着くが、どうやら主様は、落ち着かないらしい。
こういう時には何か、声をかけるべきなのだろうか。)

ミヤジ

主様。

主

う、うん!///なに？
ミヤジ？///

ミヤジ

主様は、湖にまつわる悲恋のお話がある事を知っているかい？

主

(白鳥の湖のことかな？でも、話題もないし、せっかく、ミヤジが聞かせてくれるなら聞きたいな///)

主

ううん。どんなお話？

ミヤジ

それははるか昔、大陸をわけるほどの大戦(おおいくさ)があった。

主

(あ、私が知ってる話じゃないのかも。聞いて
正解だった!)

ミヤジ

東の大地と西の大地に分かれ、その世は大混乱と飢饉に人々は飢えていた…。

主

うん…。

ミヤジ

その2つの大地の間には大きな湖があり、どちらの地の領土のものかという、くだらない戦が数年ほど続いたある日、狩りで湖の近くに来ていた東の大地の若い青年が、
湖で水浴びをする美しい女性を見かける。

主

うん。

ミヤジ

青年は、木陰に隠れ、その女性が水浴びを終えるまで見続けた。
そして、女性は水浴びを終えると湖のほとりにある自身の服を纏い馬へと乗り、去っていく。その背には西の地の国のエンブレムが刻まれていた。

主

うん…。

ミヤジ

しかし、青年はそれを気にはしていなかった。
なぜなら、彼は一目で彼女に心を奪われてしまったからだ。

主

うん。

ミヤジ

それから、度々、青年は湖の近くへ狩りに出かける度、その女性の水浴びを木陰からそっと見つめる日を続けていたある日、青年はいつものように彼女を木陰からそっと見ていると、彼女は水浴びの手を止め、青年に声をかけてきたのだ。

主

うん///

ミヤジ

(どうやら、私の話を楽しんで聞かれているようだ。良かった。)

ミヤジ

「いつも私をそこから見ておられますね。」その言葉に青年は驚き、緊張が走る。そんな青年に再び女性は口を開き話す。「私は、はじめ、貴方が私の首を狙う刺客かと思い、この剣であなたを捕らえようと思っておりました。しかし、貴方はただそこで私の肢体を見られるだけで声をかけることも、まして、その猟銃を私に向けることもありませんでした。」その言葉に青年は、自身がいつも女性を見ていたように、その女性もこちらを見ていたことを知った。

主

うん。そして、どうなったの？

ミヤジ

フフッ…。主様ならこういう時、どうするかな？

主

私なら…？私を見ている人が…どんな人なのか顔を見てみたいって思うよ///

ミヤジ

そうか。その女性も今の主様のようにその青年がどんな人なのか知りたくなったんだ。そして、その女性は青年にこう言ったんだ。「そこから、出てきて私にお顔を見せていただけませんか？」とね。

主

/////

ミヤジ

青年はその言葉に、少し躊躇するもゆっくりと木陰から出て、その女性の元へと歩いていき、少し離れた位置で立ち止まるとこう言った。「俺は、一目貴女を見た時からずっと貴女をお慕いしておりました。」とね。その言葉に女性は湖から上がるとそのまま、青年の前へと行き青年に微笑み「私もいつの間にか貴方をお慕いしていたようです。」と言う女性の右肩に左手を添え、左頬に右手を添えるとそっと口付けをする青年に応えるように女性も青年の背に両手を回しそっと添えると目を瞑り口付けを受け入れた。

主

/////

ミヤジ

そして、その日2人はそこで結ばれたが、2人は互いの身の上話をしているうちにお互いが敵地の国の王子と姫であることを知る。しかし、2人はそれならばお互いが結ばれれば、その大戦が止まるのではないかと考え、それぞれの国の王に話をするも、互いの王は自身の息子、娘をたぶらかされたと激怒し、王子は姫に姫は王子に会う機会を奪われ、戦が酷くなっていった。

主

そんな…。

ミヤジ

しかし、2人は、それでも、互いを愛していたため、ある決断をする。それは、深夜、城を抜け出し、満月が道を照らす程の日、2人は再び湖で再会を果たし抱きしめあう。そして、青年から離れ湖へ歩きながら女性は青年に手を伸ばし言う。
「この世では結ばれずとも来世で結ばれましょう。ですから、貴方さえよろしければ、私と共に来てくださいませんか？」その言葉に青年は女性の手をとり、共に湖の奥へと歩いていく。そして、深いところへ行く手前で青年は最後に伝えた。「貴女をずっとお慕いしております。ですから、必ず来世で私は貴女を探しに参ります。その時までどうか、待っていてくださいますか？」その言葉に女性は微笑み「はい。いつまでもお待ちしております。」そういうと、2人は抱きあい、口付けをしながら深い湖へと沈んでいくのであった。
後に、王子と姫のような悲劇を繰り返してはならないと東の大地の王と西の大地の王は手を取り合い、長きに渡る大戦は終わり、平和が訪れたという。

主

ぐすっ…うっ…。なんて…悲しい…お話なの…うっ…どうか、来世では2人共幸せになって～!

と泣く主の前にミヤジはハンカチをだし、主の頭を右手で撫でながら言う。

ミヤジ

主様は、本当に心がお優しい方だね。私のハンカチで涙を拭くといい。

主

ありがとう…ぐすっ…。ミヤジ。

そして、ミヤジからハンカチを受け取ると主は涙を拭き、湖を見つめる。

主

そんなことさえなければ、2人は本当に幸せになれただろうにね…。

ミヤジ

そうだね。これは、西の大地に古くから伝えられている童話のお話だが…とても美しく切ない話だと私も思うよ。