ある日、大包平と鶯丸
が自室にいると八丁念仏が
勢いよく襖を開け部屋に
入ってきた
八丁念仏
にいさ、

八丁念仏
兄さん方!

八丁念仏
い、今さっ!

八丁念仏
部屋にあれが!

鶯丸
どうした八丁

鶯丸
とりあえず落ち着け

鶯丸
茶でも飲むか?

大包平
燭台切に貰った
和菓子もあるぞ

大包平
一緒にどうだ?

八丁念仏
え、あぁ

八丁念仏
ありがとう…

八丁念仏
じゃなくて!

八丁念仏
あれ!
主の部屋の人形!

鶯丸
人形?

大包平
日本人形か?
机の横に飾ってある

八丁念仏
そう!それ!

八丁念仏
あれ何!?

八丁念仏
なんか襖の前にいたと
思ったら

八丁念仏
その後厨近くの廊下に
いたんだけど!

八丁念仏
もしかして自分で
動いてるとか!?

八丁念仏
それとも鯰尾の悪戯!?

八丁念仏
俺としてはそっちの方が
いいだけど!

鶯丸
え

大包平
おい鶯丸

大包平
言っていなかったのか

鶯丸
いや、すまん
すっかり忘れていた

八丁念仏
え!何々!?

鶯丸
あ~、実はなぁ

そこまで言うと2人の視線は
八丁念仏の足元に行った
鶯丸
あ

大包平
あ

八丁念仏
え、うわぁっ!?

八丁念仏
やっぱり動いてんじゃん!

八丁念仏
何あれ?!

鶯丸
ははっ
すまんなぁ

鶯丸
この人形は主のお婆様
からの贈り物らしくてな

鶯丸
これ自体かなり古い
人形でいわゆる俺達と
同じだ

八丁念仏
同じ?

大包平
魂が宿った付喪神って
事だ

大包平
主が審神者として
就任して何年かしてから
魂を宿したらしくて
動き始めたらしい

鶯丸
まぁ言ってもこのように
移動する事は余り
無いがな

鶯丸
構ってほしくて短刀の
所に行ったりは
してはいるみたいだが

鶯丸
新入りのお前が来たから
気になって着いて
来ていたのだろう

八丁念仏
えぇ…

八丁念仏
待って短刀達に
構って貰ってんの!?

八丁念仏
怖がんないの?

大包平
最初の頃は怯えて
いたが慣れたみたいだ

大包平
乱にこの間髪を
梳かしてもらって
いたしな

八丁念仏
な、慣れんの?

八丁念仏
俺慣れる気がしない…

鶯丸
大丈夫だ

鶯丸
未だに慣れていない奴は
大勢いる

鶯丸
長義とかな

鶯丸
紅葉さんは移動する
だけで悪さはしないから
警戒しないでやってくれ

八丁念仏
紅葉さん?

八丁念仏
その人形の名前?

鶯丸
そうだ

鶯丸
紅葉の着物来ているからな

鶯丸
主が名付けたんだ

八丁念仏
あ、そうなんだ…

八丁念仏
結構そのまんまだね

鶯丸
分かりやすくていいだろう

鶯丸
そういうわけだから
確かに怖がる気持ちは
分かるが

鶯丸
何の悪さもしない
可愛い日本人形だ

鶯丸
ほら、改めて挨拶だ

鶯丸
日本人形の紅葉さんだ

八丁念仏
あっ

八丁念仏
はっ、八丁念仏です…

八丁念仏
よ、よろしく…

大包平
おい

大包平
鶯丸それくらいに
してやれ

大包平
八丁

大包平
厨の近くにいたと
いうことは用があったん
だろう

大包平
早く戻った方がいい

八丁念仏
そうだね…

八丁念仏
ありがとう
兄さん方

大包平
薬研達が確か自室で
暇してるはずだ

大包平
紅葉を連れていってやれ

鶯丸
しょうがない
行こうか紅葉さん

八丁は厨へ
鶯丸は紅葉を抱えて薬研の
部屋へ向かっていった