テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
➰ ✿ nrkr
32
りおん
5,264
みかんのかんずめ
246
コメント
1件
りす『いな | 桜空』さん、第35話読ませていただきました。 すちがいるまを「守る」ために選んだ道が、逆にいるまの心を新たな重さで縛ってしまう…その切なさが胸に残りました。「重い」「なりたくねぇ」といういるまの声が、ただの拒否ではなく、まだ誰かを傷つけたくない優しさから来ているのがわかるからこそ、余計にじんときます。こさめとなつが何も知らずに待っているカットも、対比が効いていてとても好きです。
研究区域。
白い光が、部屋の隅々まで照らしていた。
📢
腕に残った赤い跡を見つめる。
さっきまで行われていた実験の記録が、目の前のモニターに並んでいる。
研究員
研究員
🍵
研究員
🍵
研究員
🍵
低い声だった。
研究員が黙る。
🍵
📢
その言葉に、いるまが顔を上げる。
研究員
🍵
研究員
すちはいるまを見る。
俯いたままのいるま。
身体には、さっきの実験の跡が残っている。
このまま患者区域へ戻せば、また同じことが繰り返される。
そして、いるまにはすでに裏を知られている。
実験体として機能しない。
ならば。
次は、もっと強い薬。
もっと長い検査。
もっと酷い実験。
別の用途へと使用される。
🍵
研究員
🍵
研究員
🍵
📢
いるまがゆっくりと顔を上げる。
📢
🍵
📢
🍵
📢
すちは少しだけ目を伏せた。
🍵
📢
🍵
📢
🍵
いるまはしばらく黙っていた。
📢
🍵
📢
🍵
📢
🍵
📢
🍵
📢
部屋の空気が重くなる。
🍵
📢
すちは答えなかった。
その沈黙だけで、いるまにはわかった。
📢
🍵
📢
いるまは自分の手を見る。
震えていた。
📢
🍵
📢
🍵
📢
すちは目を閉じる。
🍵
📢
🍵
🍵
📢
🍵
📢
🍵
すちのこえが、少しだけ震える。
🍵
📢
🍵
📢
🍵
その言葉に、すちは何も返せなかった。
やがて研究員が、一枚の書類を差し出す。
研究員
🍵
研究員
研究員
すちは書類を見る。
その一文に目を落としたまま、しばらく動かなかった。
そして___
ゆっくり署名する。
ペン先が紙を擦る音だけが響いた。
📢
🍵
📢
🍵
📢
すちは白衣を一着、いるまの前に置いた。
いるまはそれを見つめる。
白い布。
今まで何度も見てきたもの。
患者として見上げていた「先生」の服。
📢
🍵
📢
しばらくして、いるまは白衣を手に取った。
袖を通す。
けれど、嬉しそうな顔はしない。
📢
🍵
📢
🍵
いるまは白衣の袖を握る。
📢
🍵
📢
すちは何も言わなかった。
ただ、いるまの前に立つ。
🍵
📢
いるまは研究室の奥を見る。
そこには、まだ実験に使われる機材が並んでいた。
📢
🍵
📢
🍵
📢
🍵
いるまは白衣を見下ろす。
📢
その頃。
患者区域では、こさめとなつがいつものように待っていた。
🦈
🍍
🦈
扉の向こうでは何も知らない二人。
研究区域にいるいるまが、もう患者ではなくなったことも。
白衣をきたことも。
そして_____
これから自分たちと同じ「実験体」を傷つける可能性のある場所へ足を踏み入れたことも。
何も知らない。
白い世界の中で。
いるまの立つ場所だけが、静かに変わった。