『病いは苦しみ。』
プロローグ
氷翠
……………
ペラッ
氷翠
………………
氷翠
………ふわぁ…
氷翠
(眠……)
コンコン
ガラララ
桜木 紅音(看護師)
失礼するね〜…って
桜木 紅音(看護師)
氷翠くんもう起きてるの!?
氷翠
……………別に、
氷翠
これくらい、いつものことじゃん……
桜木 紅音(看護師)
まぁ、そうなんだけどね
桜木 紅音(看護師)
ちゃんと寝れてるの?
氷翠
………………
桜木 紅音(看護師)
……無理にとは言わないけど、ちゃんと寝なよ?
氷翠
……………うん…
桜木 紅音(看護師)
……あ、そうだ!
桜木 紅音(看護師)
今日から新しく入院することになった子たちが
桜木 紅音(看護師)
14人も来たんだよ〜
氷翠
え、………
氷翠
……そうなの、?
桜木 紅音(看護師)
うん、そうなんだよ〜!
桜木 紅音(看護師)
中には、他の病院から転院してきた子もいるんだよ!
桜木 紅音(看護師)
…びっくりした?
氷翠
そりゃあ、びっくりするよ……
氷翠
ここ数十年は、入院してくる子なんて居なかったのに……
桜木 紅音(看護師)
そうだよね〜
桜木 紅音(看護師)
でも、よかったじゃん!
桜木 紅音(看護師)
この病院の患者さん、数年前からずっと氷翠くんしかいなかったからさ!
桜木 紅音(看護師)
お友達ができるよ!
氷翠
…………別に、友達とか…欲しくないよ
桜木 紅音(看護師)
え〜?そんなこと言って…本当は欲しいんじゃないの?
氷翠
ほんとに欲しくないし……
氷翠
…人との馴れ合いなんて……好きじゃないし
氷翠
(それに…………)
桜木 紅音(看護師)
ふ〜ん?まぁ、いっか
桜木 紅音(看護師)
それで、そのうちの一人が
桜木 紅音(看護師)
氷翠くんと同じ病室だから、仲良くしてあげてね!
桜木 紅音(看護師)
あ、もちろん他の子もね?
氷翠
え、同じ病室ってことは……
氷翠
僕と……同じ…?
桜木 紅音(看護師)
察しがいいね〜…うん、そうだよ
桜木 紅音(看護師)
氷翠くんと、同じ病気の子。
桜木 紅音(看護師)
まぁ、正確に言えば
桜木 紅音(看護師)
似て非なるものって言ったらいいのかな?
氷翠
似て……非なるもの…?
桜木 紅音(看護師)
ま、まぁとりあえずそういうことだから!
桜木 紅音(看護師)
この病院の先輩として、仲良くしてあげてね!
氷翠
え、だから……僕はそういうの───
桜木 紅音(看護師)
じゃあ、私は氷翠くんのご飯用意してくるね〜!
ガラララ
バタン
氷翠
………………
氷翠
…あの人、おてんばって言われないかな……?
氷翠
(でも、新しい患者さん…か。)
氷翠
(…………どんな人なんだろ…)
???
氷翠くん!!
氷翠
……っ!?
氷翠
…………
氷翠
幻聴……?
氷翠
………………
氷翠
(……僕に、新しい友達…)
氷翠
………はぁ
氷翠
(本読も…)
これは
病気の子供たちの
辛く悲しい物語──。







