翡翠のまち

目が覚めるとそこは…

高校の屋上だった

何を落ち着く必要があるの？

そうだ

思い出した

私

ここから飛び降りようとしてたんだ

だんだん思い出してきた

あの男の子は…ゆうたは、

私の彼氏だ

いじめられてた男の子が車道に突き飛ばされて

ゆうたがその子をかばってはねられて…

そのまま帰ってこなかったんだよね

みんな必死で止めてくれる

私なんてクラスにいてもいなくても変わらないだろうに

それでも

クラスメイトが死ぬのは悲しいよね

身近な人が死んだら悲しいって痛いほど分かってるから…

最近急に楽しくなくなったのは

ゆうたがいなくなったからだ。

さくら、ありがとう

本当にいい親友だった。

悲しむ私をいつもなぐさめてくれたよね

でもごめん

やっぱり無理だわ

そっか、あの翡翠のまちの夢は

私が思いとどまるようにゆうたが見せてくれた幻覚だったんだ

ゆっくり深呼吸をする

決めた

私はゆうたのいる天国へ

翡翠のまちへ行くから

あんなに止めてくれたのにごめんね、みんな。

クラスメイトも

先生も

さくらも

そしてゆうたも

ごめん

そして

ありがとう

私は一歩前に足を踏み出した

天国へ落ちていく

垂直落下

スカートがひらりとして

真っ逆さまだ。

あれ？この歌詞なんかの歌になかったかな？

…まあいいや

落ちてる時間がすごくゆっくりに感じる

最後に。

ゆうたへ

あんな素敵な夢を見せてくれてありがとう

本当に楽しかった

君だけが光だよ

今までずっとそばにいてくれてありがとう

君の手が透り抜ける