150年前 時は明治
奥方
やっと家のおてんば姫も結婚だわね
奥方
それも、優秀だという篠原家の勇太朗が相手だなんてねぇ〜
すず
もう!母上様っ!
奥方
わたくしは嬉しいばかりだわぁ
すず
恥ずかしいです!
すず
勇太朗様が隣にいるというのに!
勇太朗
いやいや構いませんよ
勇太朗
僕自身も可愛らしいすず様を妻として迎えられるなんて嬉しい限りですよ
奥方
あらまぁ〜
奥方
じゃあ、このおばちゃんは応接間にいますからねぇ〜
すず
え!母上様!?
勇太朗
奥方
お二人で仲良くしててくださいねぇー
……
すず
……あの
すず
本当に私で良かったのですか?勇太朗様
勇太朗
はい、もちろんですよ
勇太朗
すず様こそ殿から決められた許嫁がいたそうですが
すず
あ。それはですね、父が勝手に決めて…私は、勇太朗様が良かったんです!
勇太朗
そうだったのですか…
すず
あ、敬語ではなくていいですよ!
すず
勇太朗様は私より、身分も歳も上なので
勇太朗
そうか、分かった。
すず
あの……言いにくいのですが……
勇太朗
いいよなんでも話して。
すず
ありがとうございます
すず
実は私、何者かに命を狙われてるんです。
勇太朗
え?そんな…
すず
いえ、本当です。
勇太朗
勇太朗
その命を狙うものは誰が分かる?
すず
見当はついているのですが…
勇太朗
それは誰だ?
すず
多分、父が決めた許嫁の一人
すず
すず
澤山家の潤一郎殿ではないかと
勇太朗
っ!その御方が!!
すず
ええ…1番私と結婚することに熱意をお持ちでしたから
勇太朗
そうか、分かった。
勇太朗
多分動機はすずさんと結婚すると決意していたのに裏切られたことだな
すず
勇太朗
辛いだろうが、それしか考えられない。
勇太朗
すまないな
すず
やはり、そうでしたか……
すず
でも、勇太朗様と結婚すると公にした時も何事もありませんでしたし、大丈夫だとは思います
勇太朗
でも、油断は禁物だ。気をつけて過ごさなければ
すず
ええ、そうですね
結婚式にて
付き人A
すず姫様!おめでとうございます!!
乳母
ああ、すず様ァお綺麗になって……
すず
もう、泣かないでよ~
すず
私まで泣いちゃうじゃない!
乳母
でもぉぉぉ〜
すずの耳元で
勇太朗
すず、何者かが忍び込んでるかも。
すず
ええ、承知の上ですわ。
すず
覚悟はしていましたし、いままでも大丈夫だったでしょう?
勇太朗
そうか……でも気を抜くな
すず
はい。もちろんです
30分後
大勢の参列客
きゃあー!!!!
奥方
何事ですの?!!!!
付き人B
誰かが侵入したそうです!!!
すず
なんですって!!
勇太朗
それはっ!!すずこっちに来い!
すず
はいっ!!!
すず
勇太朗様、怖い……
勇太朗
大丈夫。俺が守ってやるからな
屋敷の松の間にて
勇太朗
ここまで、さすがの澤山でも入れないだろう
すず
勇太朗様っ!!!
勇太朗
なんだ?いきなり抱きついてきて
すず
怖いっ!怖いですっ!
すず
ずっと、ずっと……
すず
すず
覚悟はしてきたつもりなのに…!
勇太朗
すず
覚悟なんて出来るはずがない!
勇太朗
大丈夫だ。約束するから……ね?
勇太朗
ずーっと守ってやるって誓う。
すず
ヴィンスと同じね笑
勇太朗
誰だよその外人の名は笑
すず
ううん。知らなくていいわ。
勇太朗
なんだよ気になるじゃないかよ
すず
ふふっ、なーんにも覚えてないのね……
勇太朗
だから何を笑
すず
いいの!!
勇太朗
まぁ、いっかすずも元気になったしさ
すず
ありがとう。
潤一郎
潤一郎
ご歓談の最中、失礼する。
すず
きゃっ!潤一郎殿?!!
勇太朗
すずに寄ってくるな!!
潤一郎
勇太朗君……まさか君とはね残念だよ……
勇太朗
はい?なにが?……っ!!
潤一郎
分かったかな?
その瞬間、潤一郎の手に握られていた短剣が確かに……
勇太朗を刺していた
すず
そんなっ!またこの苦しみを味わうの!?
勇太朗
す……ず……
すず
ダメよ!勇太朗様っ!!!
すず
私を置いていかないで!!
すず
ねぇ!お願い!!お願いだから!
潤一郎
これは君の責任だそ。すず姫。
すず
あなたなんか……あなたなんか……
潤一郎
なんだよ!……いっ!
その時、すずは勇太朗から護身用として貰った小さなナイフを潤一郎に突き立てていた
潤一郎
すず……!今すぐその手を離せ!
すず
イヤよ!!私はたとえ死んでもこの手を離しませんわ!!
潤一郎
すず………………
三日後
奥方
すず!!なんで、なんで貴女が自殺したのよ!
乳母
奥方様……!すず様ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
葬儀の出席者 A
聞いたか?潤一郎殿を刺したのはすず様らしいぞ。
葬儀の出席者 B
しっ!そんな不吉なこと、言うんじゃない!バチが当たるぞ!
葬儀の出席者 A
でもなぁ……すず様、まだお若かったのに……
葬儀の出席者 B
そうだなぁ……