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私には、死者が見えている。けれど、私が見えるのは1人だけ。唯一私と仲良くしてくれた、あの子だけ。
あの子は、去年の夏、車に轢かれて死んだ。事故、だった。
凛
けれど、そんなあの子は、もういない。
彼女は彼女が轢かれた交差点で、ただ突っ立っている。
凛
私があの子を見ると、彼女も私を見る。ただ、それだけの関係。
凛
気がつけば、私は学校まで来ていた。
今の私は、中学3年生、の、はずだ。
あの子を失った日から、私の自我は薄くなっていった。
凛
出てくる言葉は、いつもそれだけだ。
あの子の死が、信じられなかった。
一年たった今でも、私は朦朧とした意識のまま生きている。
生きて、いる。
教室に入り、自分の席を見ると、いつものように花が置かれていた。
凛
私が椅子を引くと、みんながこっちを向く。
何が面白いというのか。
隣のクラスに行くと、あの子がいた。彼女はきっと、自分が死んだことに気がついていないのだろう。
凛
私には、分からなかった。
私はあの子の家についていった。こんなことをするのは、今日が初めてだ。
体が、勝手についていくのだ。どうしてなのか、それは私にもわからない。
昔は話しかけてくれたあの子の家のおばさんも、今では私を無視する。それは私の家族も同じだった。
ただ、驚くのだ。私が何かを動かしたり、触ったりするだけで。
桜
凛
桜と話すのは、一年ぶりだ。けれど、もっと長いこと話していないように感じる。
桜
桜
桜
そういう桜は、泣いていた。
桜
凛
凛
桜
最後に笑顔を見せてくれた桜に、私も笑顔を見せて。私は桜の家を飛び出した。
凛
凛
凛
凛
凛
凛
凛
凛
凛
私は駆け回った。愛しい家族のいる家。楽しかった学校。
そして、最後に私の埋められている墓地に来た私は。
凛
凛