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コメント
3件
みんなびっくりしてるw るなちゃん痛いどころじゃあないやろ絶対泣くほど痛いやろ
琵琶の音が無限城に響いた。
一度。
二度。
空間が折れ鬼たちが次々と姿を現す。
下弦。
そして上弦。
重苦しい沈黙の中るなは無惨のすぐ傍に座っていた。
月
周囲の視線が痛いほど刺さる。
月
無惨の隣に“座る”存在など今までいなかった。
ざわり、と空気が揺れる。
無惨
無惨
無惨の一声で、すべてが凍りついた。
無惨
その言葉に鬼たちの表情が一斉に強張る。
無惨は隣にいる月へと視線を落とした。
無惨
名を呼ばれ月はびくっと肩を揺らす。
月
無惨は指先で月の顎を軽く持ち上げた。
――くいっ。
視線が強制的に合わされる。
無惨
低く落ち着いた声。
無惨
月
理解する前に無惨の指が月の目元へと触れた。
チクリとした後目が温かくなる感覚。
月
痛みは強くない。
けれど目の奥に何かが“刻まれる”のがはっきりわかった。
月
小さく声を漏らすと
無惨
そう言いながらも無惨の指は必要以上に力を込めていなかった。
月
無惨
指が離れる。
無惨は立ち上がり、鬼たちを見下ろす。
無惨
無惨
その言葉が落ちた瞬間。
鬼
鬼
鬼
ざわめきが隠しきれず広がる。
上弦は本来“壱”から始まる。
零など前例がない。
月はきょとんとしたまま瞬きをする。
月
無惨は当然のように続けた。
無惨
無惨
完全な――特別扱い。
下弦も上弦も誰一人として口を挟めない。
月は恐る恐る無惨を見上げる。
月
月
その問いに無惨はほんの一瞬だけ口元を緩めた。
無惨
そう言って月の頭に軽く手を置く。
無惨
鬼たちの視線が羨望と恐怖と困惑を混ぜて月に集中する。
月はその空気に少しだけ身を縮め無惨の袖をそっと掴んだ。
その仕草にさらに場が凍る。
無惨は払いのけない。
無惨
琵琶の音が鳴り鬼は次々と姿を消していく。
残されたのは無惨と月だけ。
月
月は遠慮がちに目元を触れる。
月
無惨
無惨
そして静かに付け加える。
無惨
その一言で胸の奥がじんわり温かくなる。
月
特別で例外で無惨の隣。
それが何を意味するのかまだ月にはわからない。
ただひとつ。
――もう、戻れないところまで来た。
それだけは、はっきりしていた。