桃side
桃崎 〈父〉
__酒の瓶を持った父親が、 俺たちに向かって大きく腕を振り下ろしてくる。
ないこ
桃崎 〈父〉
りうら
そうだ、俺が全部悪いんだ。
だからもうこれ以上、 りうらを傷つけることだけは。
俺が、俺が全部、受けとめるから__
ないこ
ハッと目が覚める。
目の前には見慣れないベッドと、 俺のことを抱きしめて寝るいふまろの姿。
そうか、俺とりうらは昨日、アニキと初兎ちゃんに拾われて・・・・・・。
昨夜起きた出来事が一つ一つ頭の中を流れて、 今の状況に結びついていく。
ないこ
夢の余韻からか頭がズキズキと痛み、思わず頭に手を当てた。
ベッドの端に置いてある目覚まし時計で、現在の時刻を確認する。
8:26・・・・・・ そろそろ起きた方が良いかな。
ないこ
隣ですーすーと一定のリズムで寝息を立て、幸せそうに眠るいふまろの肩を揺らす。
彼は「んぅ・・・・・・」と少し呻いた後、ぼんやりと重たそうな瞼を開けて、 大きくあくびをした。
いふ
ないこ
いふ
目元を擦って体を起こしたあと、 ベッドから立ち上がり天井に向かって伸びをする。
いふ
ないこ
いふ
ないこ
おやすみ、と言って再び布団を頭まで被ってしまったいふまろの布団を力づくで剥ぎ、 寝ぼけて足元がおぼつかない彼の手を握って部屋から出る。
リビングがある一階へ階段を降りていき、扉をガチャリと開ける。
ほとけ
初兎
ソファでくっ付きながら一つの携帯を見ているほとけっちと初兎ちゃんが、のんびりと挨拶をする。
いふまろは顔を洗いに行ったのか気付けば消えていたが、 俺は二人に「おはよう」と返した。
悠佑
ないこ
アニキが全員分の白米が入った茶碗をお盆に乗せて、 キッチンから出てくる。
その背後からはりうらも汁物を運んできているのが見えて、 お椀から溢れないようにゆっくり歩いているのが可愛かった。
りうら
悠佑
机まで運びきったりうらはアニキに頭を撫でられて、 満面の笑みを浮かべる。
どうやらりうらは、 アニキに懐いたようだ。
側から見た二人は親k・・・・・・ ちゃんと兄弟に見えていて、とても微笑ましい。
いふ
悠佑
みんなで一つの食卓を囲み、 いただきますと手を合わせる。
悠佑
みんながワイワイと騒ぎながら朝食を食べていると、 突如アニキが俺たちの名を呼んだ。
ないこ
悠佑
ないこ
口に含んでいたご飯をコクリと飲み込んだアニキは、 首を傾げて言う。
悠佑
悠佑
悠佑
ほとけ
なんか聞いたことあるとか言わない(( by作者
現在進行形で初兎ちゃんのおかずを堂々と奪おうとしている最中のほとけっちが、 こちらを向いてそう問いかける。
初兎
初兎
・・・・・・大丈夫なのかな、ほとけっち。
すごい初兎ちゃんに顔押し退けられてるけど。
悠佑
ほとけ
いふ
初兎
朝食を食べ終わり、 なんだかんだ全員が行くこととなった買い物の準備を始めた。
みんなが外出着に着替えるため部屋に移動し始めた時、 俺はいふまろに手招きされて彼の部屋へ一緒についていく。
いふ
そういふまろに言われて手渡されたのは、真っ白な半袖Tシャツとデニムパンツだった。
実際に着てみると、 元々の身長でのサイズ差があったためTシャツの方は少し大きかったが、 デニムパンツは意外とピッタリ。
多分いふまろが昔履いてたズボンなんだと思う。
悠佑
突如扉が開けられてアニキが顔を出す
いふまろは「今行く」と言って鞄を持った。
俺は特に持っていけるものも無かったので、 あまり中身の入っていない財布と携帯をズボンのポケットに突っ込み、 階段を降りる。
ほとけ
悠佑
悠佑
大丈夫、と全員で返事する。
アニキはそれを確認すると、 靴を履いて玄関の扉を開けて外に出た
悠佑
ほとけ
__こうして、 俺たちのこの兄弟としては初めての買い物が、 始まったのだった。
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