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J.n.g
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研究員
重い鉄扉が音を立てて開く。冷たい床に眩しすぎる白い照明。消毒の匂いが鼻を刺す。
5歳の少年は、小さな体を震わせながら、研究員に腕を惹かれていた。
changbin
泣きながら抵抗しても、大人の力には敵わない。腕には黒い数字が刻まれた識別バンド。 その腕には -A-013 と書かれている ここで名は必要ない、番号そのものが子供達の存在を示していた。
研究員
鉄格子の扉が閉まる。
ガシャンと、重い音が響き、少年はやっと自由になれた。 壁際に座り込み、膝を抱える。
changbin
返事はない
家族も、友達も、何もかも失った。 ある日突然連れてこられ、この地下施設へ閉じ込められた。
涙が止まらない。泣き始めてどれくらい経つだろうか。家族や大切な人たちを思い出す度、涙が溢れ出して止まらない。 どんなにもがいても帰ってこない幸せが辛くて仕方なかった。
隣の部屋から、小さな声が聞こえた。
bangchan
少年は顔を上げる。鉄格子越しで声の主を探す。 隣の部屋には、自分より少し年上に見える男の子が座っていた。 金色がかった髪、韓国人とは思えない顔立ちに、優しい瞳。 腕にはチャンビンと同じ識別バンド。 A-001
bangchan
changbin
bangchan
チャンビンは言葉を発さず、ただ頭で返事をする。 するとその子は、少し困ったように笑った。
bangchan
changbin
ここで初めて、自分と似たような子と出会い、少しだけ安心した。 また、ここで初めて、自分以外の子供を見た。
bangchan
そこまで言いかけると、その子はすぐに口を抑える。 名前を言ってしまえば研究員に怒られてしまう。ここでは自分の情報を他の子供たちには教えてはならない。 しばらく考えたあと、その子は小さく笑った。
bangchan
チャンビンは少し考えて答える。
changbin
2人は思わず吹き出した。 番号で自己紹介なんて、おかしいにきまってる でも、それしか許されていなかった。
bangchan
changbin
bangchan
ほんの少しの沈黙。それだけで答えは十分だった。 それでも、チャンビンははっきりと正直に答えた。
changbin
バンチャンは、鉄格子越しに手を添える。 チャンビンの恐怖を少しでも和らげようとする優しさでもあった。
bangchan
bangchan
その言葉を聞き、少しだけバンチャンへ近づく。格子の隙間から小さな指先を伸ばす。 届くはずの無い距離、それでも互いの小指だけがほんの少し触れ合った。 とても温かかった。 地下施設で初めて感じた、人の温もりだった。
その日から2人は、毎日話した。
実験で痛かった事、眠れなかった夜、外の世界の記憶
bangchan
changbin
bangchan
changbin
bangchan
小指を重ねる代わりに、鉄格子越しに指先を重ねる。 その約束だけが、暗い地下で生きる希望だった。
しかし、そのふたりの変化を研究員達は見逃さなかった。
監視カメラ越しに2人を見つめる白衣の男が、静かに資料へ書き込む。
『被検体A-001とA-013。精神的依存の確認』
『次回実験にて、反応を観察する』
白衣の男は薄く笑う。 その笑みが、2人の運命を大きく狂わせていくことをこの時の幼い2人はまだ知らなかった。
地下施設に朝はない 決まった時間になると、白い照明が一斉に点滅し、それが朝の合図だった
鉄格子の扉が開く。
研究員
研究員
研究員達が淡々と名前ではなく番号で呼ぶ。 2人は両腕を拘束され、長い廊下を歩かされる。 周囲には何十もの部屋が並んでいた
泣き叫ぶ子 無表情のまま壁を見つめる子 眠ったまま動かない子 どの部屋にも、小さな子供達がいた チャンビンは怖くなり目をそらす
bangchan
隣に歩くバンチャンが小さく囁く。
bangchan
changbin
実験室の扉が開く。
中には銀色の機会が並び、白衣の研究員達が待っていた
研究員
研究員
冷たいベルトが、2人の手首と足首を固定する
changbin
チャンビンは必死にバンチャンに向かって叫ぶ それに応えるように
bangchan
バンチャンは少し体を動かし、隣のベルトから声をかけた 互いの姿が見えない、それでも声だけは届く
changbin
bangchan
その言葉を聞いたチャンビンは、小さく息を吐いた
changbin
研究員が機会のスイッチを入れる。 低い電子音が部屋中に響きわたる。
次の瞬間、全身を貫くような刺激が走った
チャンビンははを食いしばる
涙が滲む
叫びそうになる
その時だった。
bangchan
初めてだった。 番号ではなく、自分の名前を呼ばれたのは。 チャンビンは目を見開く
bangchan
bangchan
バンチャンの声だけが、頭の中に響いていた
bangchan
bangchan
チャンビンは必死に呼吸を整える それでも痛みは消えない 痛みがあったとしても、バンチャンの声を聞いていると、不思議と耐えられる気がした
数分後
実験が終了した 拘束が解かれた瞬間、チャンビンは床へ崩れ落ちた
研究員
研究員が冷たく命じる。 しかし、研究員がチャンビンの腕を掴むその前にバンチャンがチャンビンの前へ立った。
bangchan
研究員
bangchan
一瞬の沈黙 研究員は興味深そうに2人を見比べる。
研究員
白衣の男は手元の端末に何かを書き込む 『被検体A-001。保護反応が極めて強い、A-013への執着を確認』
その記録は、後の2人の運命を大きく変える"実験計画"へと繋がっていく
その夜、部屋へ戻された2人は、鉄格子越しに寄り添うように座っていた。
changbin
bangchan
changbin
バンチャンは少しだけ気まずそうに笑う。
bangchan
bangchan
チャンビンは首を横に振った。
changbin
その言葉に、バンチャンは目を細めた。
bangchan
bangchan
bangchan
チャンビンは力強く頷いた
changbin
changbin
小さな指先が再び鉄格子の隙間で触れ合う その約束が、やがて2人に最も残酷な試練をもたらすことになるとは、まだ誰も知らなかった。