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ぼく達4人が扉を通りすぎると、広い空間に出た。
50人くらいの子供が集まっていた。
あちこちで扉があらわれては、4人組の子供達が出てきた。
ぼく達と同じように、第2試験のいくつもの問題をクリアして、ここまでたどり着いた子供達だろう。 第2試験がはじまった時は400人くらいが残っていたと思うけど、かなりの数が減ってしまったみたいだ。
シシロウ
くわしいシシロウが説明してくれる。
シシロウ
シシロウ
ユウゴ
ユトリ
ユトリは試験の厳しさに気圧されているようだ。
ぼくも気がついたら試験会場にいたから、同じ気持ちだ。
シシロウ
ユトリ
シシロウのセリフの一部が韻を踏んでいたことに気づいたユトリが、いつものように吹き出した。 けど、大笑いするのをこらえているようだ。
ユトリ
彼女なりの葛藤があるみたいで、両手で顔をおさえて笑い出しそうなのを必死でこらえている。
シシロウ
ユトリ
シシロウがユトリの脇の下を突っつくと、スイッチを押されたように
ユトリ
と、豪快に笑い始めた。
扉を出て集まってくる子供が100人くらいになった時に、どこからか数体のガイド妖精が飛んで来た。
ガイド妖精
シシロウ
ユトリ
笑い疲れたユトリは肩を上下させて息をしている。
変なタイミングでツボに入って笑い出すより、先に笑ってもらってよかったかもしれない。
ガイド妖精の体から、いくつもの光の球が出てきた。
大きさはソフトボールくらいで、球自体が虹色の淡い光を放っている。
ガイド妖精
ここまでの試験で、不用意に動いたり触ったりすると、手痛い仕打ちがかえってくる様を何度も目の当たりにしているので、すぐには動けない。
ユウゴ
ユトリ
シシロウ
ぼく達が考えを巡らせている横で、シシロウはさっと目の前の光の球に手を伸ばした。
思い返してみれば、彼は最初に見かけた時から、ずっとこうだった。
シシロウが選んだ光の球が、グニグニと伸びたり縮んだりして、粘土のように形を変えていく。
ぐいーんと棒状に伸びて2メートルくらいの長さになると、表面の光が割れるようにはがれ落ちて、銀色に輝く剣があらわれた。
シシロウ
シシロウが剣(魔法具《マギアツール》)を手に入れたのを見た他の子供達も、動き出し光の球を手に取り始めた。
剣のほかにも、杖や槍などの武器、ブレスレットやペンダントなどのアクセサリー、ペンやカバンなどの日用品というように、形は違うが魔法具《マギアツール》に変わっていく。
アルク
それまで沈黙を守っていたアルクが口を開いた。
すぐ近くを飛んでいた光の球を手に取ると、クロスボウに変化する。
なかなかに攻撃的な形だけど、アルクらしいなと思った。
アルク
アルクはうわ言のようにつぶやくと、クロスボウをガイド妖精の1体に向けて構えた。
ユウゴ
『何をする気だ』の一文字目のなを言い終わる前には、矢が発射されていた。
クロスボウから放たれた矢は、目にも留まらぬ速さでガイド妖精に向かっていき、真芯をとらえて突き刺さった。
ガイド妖精
ガイド妖精
ガイド妖精
矢を射られたガイド妖精が赤く発光し、けたたましいまでの警告音声が流れ続ける。
ユウゴ
ユトリ
シシロウ
ぼく達3人に囲まれて、
いや、子供達全員に注目される中で、
アルクの体が消えていく。
アルク
アルクの表情は、何故か満足そうに笑っている。
……ように見えた。
ぼくがアルクの顔を見た時には、もうアルクの体はほとんど消えかけていて、ちゃんと表情を読み取れなかった。
ユウゴ
出会った時から、アルクには多少なりともあやしいところを感じていた。
試験では何度も、ぼくが意図していない突飛な行動に出ることがあった。
それらは全部、試験に合格するための彼女なりの作戦だろうと思っていた。
だったらなんで妨害行為などに出たんだろう。
そんなことをしたらペナルティを受けるのなんて、簡単に予想できたはずだ。
シシロウ
シシロウがガイド妖精に対して、叫ぶように質問する。
シシロウ
ガイド妖精
シシロウ
シシロウは心からほっとした様子で、胸をなでおろした。
ユトリ
シシロウ
そう言い放つと、シシロウはぼく達に背を向けて行ってしまった。
ユトリ
ユウゴ
シシロウの背中に声をかけるユトリを止めた。
ユウゴ
ユトリ
ユウゴ
ユウゴ
ユウゴ
ユトリ
アルクの行動に動揺していたのは、ユトリやシシロウも同じだ。
その中で2人とも、自分より仲間のことを思って動いたせいで、少しだけすれ違ってしまった。
ユウゴ
ユトリ
そのためにも、ぼく達も魔法具《マギアツール》を手に入れないと。
ぼくとユトリは、近くに浮いていた光の球を手に取った。
ユトリの光の球はグイーンと伸びて、柄が長く槌の部分が大きい巨大ハンマーに変化した。
ユトリ
多分、地《テラ》の魔法に合わせた形になったんだ。
そして、ぼくの方は。
ガイド妖精
ガイド妖精
ガイド妖精
近くにいたガイド妖精が赤く発光し、けたたましいまでの警告音声が流れ続ける。
いろいろあって、第1試験をちゃんとクリアしていなかったことを忘れていた。
ユトリ
ぼくに話しかけるユトリの体が薄く消えていく。
違う、逆だ。
聴覚にも影響があるようで、ユトリの声がどんどんと遠く小さくなっていく。
ぼくの体が消えていっているから、視界も薄れていっているんだ。
ユトリになんて答えれば良いんだ。
ここで言い訳なんてしてもしかたない。
ユウゴ
目の前の景色が消えて真っ暗になった。
ぼくの声は、届いただろうか?