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妖魔伝

36 - 多重人格者

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2024年09月28日

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Nakamu視点

中村 水樹

現実に具現化?

中村 水樹

別人格…ってことはぺいんとさんは多重人格ってこと?

癒乃 絃

簡単に言えば、だがな。

中村 水樹

じゃ、じゃあ、今のぺいんとさんは?

中村 水樹

そのまま、氷漬けにされたみたいに動いてないよ?

癒乃 絃

えっと、…僕たちが現実世界に居るからなんだけど…。

癒乃 絃

これこそ、説明が面倒だろ。

癒乃 絃

…少し、昔話でもしようか。

ダークぺいんと視点

ホワイトぺいんとは昔。 所謂前世では、天使という生き物だった。

人々を善へと導き、神に信仰を捧げるような強く、美しい化け物だった。

そして、この世界に天使として生きる意味を見出せなくなり堕天した姿が、ダークぺいんとである俺なのだ。

この頃は、ホワイトぺいんとの身体を乗っ取り、好き放題人を悪や善、気まぐれに導き、気まぐれで助け見捨てることを繰り返していた。

ホワイトぺいんとも段々と俺の存在に気づき、自らが飲み込まれ堕ちていくのも厭わなかった。

そうして俺は、ダークぺいんととしての肉体を手に入れ、彼、ホワイトぺいんとは闇に完全に飲まれてしまった。

その時から俺とホワイトぺいんとは完全体となって、切りたくても切れない繋がりが出来てしまったのだ。

癒乃 絃

ね〜、だーぺ!

癒乃 絃

僕も偶には外に出たいんだけど。

癒乃 絃

好きにすれば?

癒乃 絃

やった〜!

心の中の休息場のようなよく分からない場所で会話をよくするようになり、苦手意識のあった主人格ホワイトぺいんとはともだちのような存在となった。

ずっとこのままでいいのに。

でも、神とやらは堕天使が作られたことを見逃しはしなかった。

その晩、突如としてホワイトぺいんとは翼と光輪を剥奪され、処刑された。

美しかった翼は鮮血に染まり、眩しいぐらいに輝いていた光輪は光を失った。

生きとし生けるものには皆、生まれ変わる権利がある。

天使は、長く生き、惜しくも死んでしまっても、己が望むのならば神へと昇格することができる。

だが、俺らは訳が違う。

堕天してしまった天使の成れの果ては人間なのだ。

つまり、堕天使は人間に生まれ変わることしか選択肢はない。

そして、俺が人間へと姿を変えたとき、強い繋がりのあったホワイトぺいんとも人間へとなった。

人間になる段階で、俺とホワイトぺいんとの人格が混ざり合った結果生まれたのが、ぺいんと、というわけだ。

癒乃 絃

つまり、どういうことか分かったか?

中村 水樹

だーぺさんとほわぺさんがぺいんとさんの人格を構成しているから、そこから出て仕舞えば魂がないのと同義ってこと…ですか?

癒乃 絃

そうだ、話が早くて助かる。

癒乃 絃

だーぺ?おともだちが来たみたいだよ。

癒乃 絃

もう戻らないと行かないのかよ。

癒乃 絃

じゃあね、Nakamuさん!

癒乃 絃

またな、少年。

黒霧 のあ

ぺいんとー!

広場の方角からクロノアの声が聞こえた。

多分、あと数名、後から来ると思う。

癒乃 絃

もう、目を離すなよ。

そう伝えれば、目を見開きこくりと頷いたのを確認し、主人格の中で待つほわぺに会いに行った。

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