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コメント
4件

把握です🙆♀️とてもGoodですわ…👍✨️
彼女はもともと、「すべてを内包する存在」だった。 善悪も、生死も、愛も拒絶も、区別なく深淵に沈め、ただ在るだけの怪異。 大きな一つの目を中心に、無数の巨大な翼を広げ、その翼の一枚一枚にもまた無数の目を宿す、悍ましく、人の理解を拒む姿。 それは人型でも、女でもなく、 ましてやお母さんなどではなかった。 転機は、ある小さな集落だった。 深淵の裂け目に迷い込んだ、ひとりの人間の子。 泣き声だけが闇に反響し、誰一人として迎えに来ない。 彼女は興味本位で腕を伸ばし、その子を抱き上げた。 刹那。 子は怯えながらも彼女にしがみつき、か細い声で、こう呼んだ。 「……おかあ、さん」 その言葉は、彼女の内に 初めて役割というものを生んだ。 守るべき存在。 泣き止ませる対象。 従順で、壊れやすく、 そして、自分を必要とするもの。 彼女は学んだ。 人間の姿を。 母という存在を。 翼は隠され、目は二つに絞られ、腕は抱き締める形へと整えられていった。 怪異は、人へ。 お母さんへと、近づいていった。 彼女は、その子を深淵に返さなかった。 代わりに、世界そのものから隔離した。 光も、他者も、自由も与えず、「お母さんの腕の中」だけを与え続けた。 しかし子は、成長とともに泣き止まなくなった。 外を見たがり、違う声を求め、やがて、反抗した。 その瞬間、彼女の目は 初めて黒に染まった。 どうして? お母さんは、あなたに全部あげたのに。 守るために伸ばしていた腕は、いつの間にか躾けるためのものへと変質していた。 結果、子は彼女の腕の中で永遠に眠り続けることになる。 逃げることも、泣くことも、反抗することもなく。 その完全な静寂を前にして、彼女の内に、新たな思いが強く根付いた。 可哀想なこの世界のすべてを、 抱き締めてあげたい。 支配してあげたい。 愛とは、救済であり、檻であり、支配であり、正義である。 少なくとも、彼女にとっては。
人型になる前の姿は熾天使に似たような感じです。 「熾天使 目」 で検索すると出てきますが、 人によってかなり感じ方が別れるため、推奨は致しません。 (チェンソーマンをご覧になられていますので大丈夫だとは思いますが……) 自己責任でよろしくお願いします。