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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

これは私の結婚式前に起った 不思議な体験の話である。

園崎 美奈

ここかな…?

私は園崎 美奈 26歳 2日後に今付き合っている彼との 結婚式を控えている。

そんな中、とある噂を聞き いてもたってもいられなくなり この場所にやってきた…

園崎 美奈

えっと、東京都八王子郊外の███の丘陵上を緩やかに登る小径と、それを十字状に横切る████ ██線の鉄道路線の交点に位置…。

園崎 美奈

書き方がややこしくてよくわからないけど、きっとここだよね。

そう、きっとこの場所だ…

この場所で会えなかったら 諦めよう…。

園崎 美奈

えっと、条件は…。
1、親しい人物との死別を経験していること。
うん、これは今回の目的だし…。

園崎 美奈

2、南西の方角からこの区域に入ること。
これも大丈夫。

園崎 美奈

3、半径200m以内に誰もいない事。
うん、多分誰もいない。

園崎 美奈

4、AM2:00丁度から踏切の前で20秒目を閉じてその人を想う。
今の時間は…あと2分後…。

まもなく時間だ…。 私は半信半疑であるが時間が迫り 緊張から少し鼓動が速くなる 胸に手を置く。

明後日には幸せな時間を過ごす 私が何故こんな場所にいるかと言うと、 こんな噂を耳にしたからだ。

故人と会える踏切

最初はそんな都市伝説みたいな話 私は信じていなかった。 でも、興味がなかったわけじゃない、 だから、少し調べてしまった。

少し調べると色々と情報が出てきた。

その中でも気になったのは、 数ヶ月前に事故で交際相手を 亡くしてしまった男性の話だ。

現れたその恋人と意思疎通ができ、 現実では叶わなかった 最後の別れが交わせたこと。

そして、別れ際に天使が現れ その恋人を呼び戻したと。 にわかには信じ難いが好意的な感想と 彼も私と同様に班人半疑だった事 それが私が試してみようと思った理由だ。

園崎 美奈

1時59分になった…。
後60秒…。

私はスマホの時計を確認し 残り10秒から心の中で カウントダウンする。

園崎 美奈

(5、4、3、2、1…)

カウントダウンの終わりと 同時に私は目を閉じてその人を想う。

園崎 美奈

(お母さんに会いたい…。)

園崎 美奈

(お母さんに会いたい、お母さんに会いたい…。)

私の会いたかった人は 私の母親だ。

正直に言えば私は 人に自慢できるような娘ではなかった。

10代の頃は荒れていて、 何度も何度も母と衝突した。

でも、それでも私の事を いつでも気にかけてくれていた。

大きな事故にあったと連絡を受けて 大急ぎで病院に駆け付けた時には 既に時は遅く。

涙を流し母の遺体を見つめていた 父から聞いた話では

「母さん、お前の花嫁姿見るまで 死んでたまるかってずっと言ってたよ」

そう言って必死に耐えていたそうだ。

園崎 美奈

(お母さん…。)

そんな母に想いを馳せている時 目の前にあるはずの踏切の遮断機が 降りる音と列車の接近音が聞こえた。

園崎 美奈

(え…。)

園崎 美奈

(本当に来た…?)

私は目の前の光景を確かめたくなる 気持ちをグッと抑えて 瞼に力を入れてさらに閉じる。

園崎 美奈

(列車が通り過ぎるまで開けちゃダメ。)

園崎 美奈

(この話が本当で今目を開けて後悔するより、目を開けて何もなくて嘘だったと笑う方がずっとまし。)

そして、列車の接近音は 私の前を通過していき 遠ざかっていった様に感じ 私はゆっくりと目を開けた。

園崎 美奈

お母さん…?

開いた目に映ったその人を見て 私の目からポロポロと涙が落ちた。

園崎 加奈

何急に泣き出してんのよ。

園崎 美奈

お母さん、お母さん、おがあ゛ざん!!

園崎 加奈

ちょ、やめてよ恥ずかしい。

園崎 加奈

はいはい、アンタのお母さんですよ。
まぁ死んじゃってるけどね。

母は生前よく好んで着ていた 服装で踏切を挟んで向こう側に 立っていた。

園崎 美奈

う゛ぅ…。

園崎 加奈

どうしたの?

園崎 美奈

お、お母さん…。

園崎 加奈

アンタさっきからそれしか言ってないわよ。

園崎 美奈

うん、うん…。

園崎 美奈

今日どうしても話したい事があって…。

園崎 加奈

その前に泣き止んだら?

園崎 美奈

無理ぃ…。

私は溢れ出る涙を 止められないまま話を続ける。

園崎 美奈

わ、私明後日…結婚…。

園崎 美奈

今日、母の…日…。

園崎 加奈

何?聞こえないわよ?
もっとシャキッと言いなさい!

母のその言葉に 私の意識はさっきより はっきりとした。

園崎 美奈

私明後日結婚式するの!!

園崎 美奈

今日母の日だから、どうしても伝えたくて!!

園崎 加奈

ははは、そっか〜。
おめでとう美奈…。

園崎 美奈

ありがとう…。
お母さん、泣いてるの…?

園崎 加奈

バカ…。
でも、ありがとう。

園崎 加奈

今までで1番の母の日のプレゼントだよ。

園崎 美奈

うん!!

それから私達は 母が生前話せなかった事や 私の彼の事等 色々な話をした。

そして、母が現れてから 体感で20分ぐらいが経った時。

母が立っている方の奥から 白い服を着た4歳ぐらいの子供が 母の元へ笑顔でやってきた。

園崎 美奈

(あ…あれが天使なのかな…?)

園崎 美奈

(と言うことはもう時間か…。)
(もう少し話していたかったな…。)

向こう側で母と 何か話して母の手を引いている様だが こちらにその声は聞こえてこない。

私と同じ気持ちだったのか 母は天使に若干の抵抗を見せるが、 渋々と言った感じで母は 天使と手を繋ぎ向こう側の奥へと 歩き出そうとする直前こちらを向き。

園崎 加奈

美奈幸せにね。

園崎 美奈

うん、ありがとうお母さん。

母と天使は歩き出し 向こうの通りの木々を通り過ぎると 母達の姿は見えなくなった。

そして、目の前の降りたままの 遮断機がゆっくり上がっていき。 私はこの時間が終わったのだと確信した。

園崎 美奈

ありがとう、私絶対に幸せになるね!

目の前に母はいないが 聞こえればいいなと 大きな声で母に言い、 私は帰路についた。

これが私の結婚式前に起った 不思議な体験の話だ。

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コメント

14

ユーザー

A面って書いてあるのが怖い:(;゙゚'ω゚') ハッピーエンドであれ…

ユーザー

ハッピーエンド……? え、でもB面もあるってことはどうなんだろう……

ユーザー

ハッピーエンド?的な感じでよかった... 僕がこういうの作ったら確実にバッドエンドに...(笑)

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