テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
チョークが黒板を叩く乾いた音
窓の外では体育をしてる生徒の声が聞こえる
初夏の風がカーテンを揺らしていた
○○はノートの余白にシャーペンを走らせる
直線
曲線
重なり合う布のライン
袖の広がり、ウエストの絞り
落ちるシルエット。
気づけば小さな人物シルエットの上に
ジャケットのデザインが出来上がっている
呼吸するみたいに
自然だった
田辺
突然教室に声が響く
○○は顔をあげる
しかし怒られていたのは隣
矢野透華が机の影で
おにぎりを頬張っていた
田辺
田辺
透華は落ち着いた声で答える
矢野
田辺
教室がクスッと笑う
透華は気にせず
もぐもぐ続行
○○は口元を押さえて笑った
そして視線をノートへ戻す
書きかけのデザイン
指先でなぞる
なんか
いいじゃん
そう思って少し口角が上がる
そっとノートを閉じた
昼休み
机を寄せ
弁当の蓋が開く音
炭酸の弾ける音
教室は一気に騒がしくなる
夜々がスマホを持ったまま身を乗り出す
夜々
夜々
透華は口に唐揚げを入れながら頷く
矢野
夜々の目が輝く
夜々
夜々
矢野
夜々
矢野
○○も頷く
○○
○○
夜々は満足そうに頷く
夜々
夜々
矢野
透華が言う
夜々
夜々が言い返す
矢野
透華は次の唐揚げを口に入れる
○○は笑いながら卵焼きを食べる
夜々
夜々
夜々
矢野
夜々
○○
3人は笑う
窓から入る風が心地よい
特別なことは何も起きてない
ただ
昼休みが過ぎていく
夕方の光がガラスに反射して
店内はオレンジ色に染まっていた
制服姿の学生
部活帰りのグループ
ポテトの匂いと揚げ油の音
○○はトレーの上のポテトを1本つまむ
向かいに座る彼は
紙コップの氷をストローで掻き回している
少し気まずそうに
目を合わせない
○○は顔をあげる
○○
静けさが残った
店内のざわめきが
やけに遠く聞こえる
○○は少しだけ首を傾げた
○○
声は軽い
責めるでもなく
引き止めるでもなく
彼はホッとしたように頷き
席を立つ
○○
○○
ドアのベルがなる
夕方の光が一瞬差し込み
また閉じる
○○はしばらくそのまま座っていた
ポテトを1本
もう1本
ケチャップを付けずに口へ運ぶ
○○
○○
小さく呟く
塩が舌に残る
○○
○○
少し笑う
考えても答えは出ない
冷めてきたポテトをもう1本つまんだ
空は群青に変わり始めていた
街灯がまたひとつ
またひとつ灯る
改札を出て少し
見慣れた姿が立っている
○○は近づきながら声をかける
○○
○○
菅原が顔をあげる
菅原
○○
○○
菅原はスクールバックから
1枚の紙をひらっと覗かせる
菅原
○○
菅原
○○は目を細める
○○
菅原
菅原
○○
菅原
○○
菅原
○○は笑う
○○
菅原
菅原
○○
○○
菅原
2人で歩き出す
駅前のコンビニの光が足元を照らす
少しの沈黙
菅原
○○
○○は少しだけ視線を外す
○○
菅原は横目で見る
菅原
○○
菅原
○○
菅原
○○は笑う
少しして思い出したかのように言う
○○
○○
菅原
○○
菅原
○○
菅原は少し考えてから答える
菅原
○○
○○は空を見上げる
○○
○○
菅原
菅原
○○
菅原
○○
菅原
少し歩いてから菅原が言う
菅原
○○
菅原
○○
菅原
○○
菅原
○○
菅原
○○は小さく息を吐く
でも足取りは軽い
灯りが2人の影並べて伸ばしていた
体育館を出た瞬間
ムワッとした空気が肌にまとわりつく
○○
○○は首にかけたタオルで汗を拭く
夜々が隣でニヤニヤしていた
夜々
夜々
○○
矢野
透華は苦笑する
矢野
夜々
夜々
夜々
夜々
○○
○○
夜々は急に真顔になる
夜々
夜々
○○
○○
夜々
透華が吹き出す
夜々
○○も釣られて笑う
○○
少し沈黙
夜々が今度は透華を見る
夜々
夜々
矢野
矢野
矢野
夜々
夜々
矢野
そんな会話の後
夜々が思い出したかのように言う
夜々
夜々
夜々
夜々
○○が眉をしかめる
○○
夜々は笑う
夜々
透華も少し笑いながら
矢野
矢野
○○は即答する
○○
○○
○○
矢野
○○
夜々
透華も小さく笑う
矢野
矢野
○○
夜々
○○
3人の笑い声が湿った空気の中に溶けた
六月の終わり
梅雨の合間の強い日差しが
濡れた地面を白く照らしている
昼休みの光が校舎の壁に反射し
中庭の空気はムッとするほど湿っていた
ベンチの横で
菅原孝支は数人の女子に囲まれている
菅原
菅原
紙を受け取り
しゃがんで目線を合わせる
菅原
菅原
菅原
菅原
菅原
菅原
菅原
女子たちの表情が一気に明るくなる
菅原
手を振る菅原
女子たちは何度も頭を下げながら去っていく
菅原
○○
菅原
振り返ると少し離れたところから
○○が歩いてきていた
菅原
○○
○○
○○
菅原
○○
○○
菅原
菅原
菅原
○○はじっと見つめてくる
○○
○○
○○
菅原はペットボトルのキャップを回す
菅原
菅原
○○
菅原
○○
○○は少し考えてから
校舎の方を見上げる
○○
菅原
○○
菅原
○○
○○
菅原は笑う
菅原
少し肩を竦めて続ける
菅原
菅原
菅原
○○は目を細める
○○
菅原
○○
菅原
菅原
○○はふーんと頷きながら
1歩近づく
○○
菅原、嫌な予感
○○
沈黙
○○
菅原
○○
菅原
○○
菅原
○○は肩を揺らして笑う
○○
○○
菅原
○○
菅原
風が湿った空気を揺らす
○○は笑いながら横を通り過ぎる
すれ違いざま
○○
少しだけ声を落とす
○○
○○
そのまま前を歩いていく
菅原は一瞬言葉を失い
それから小さく息を吐いた
菅原
菅原
けれどその顔は笑っていた
六月の終わりの空気は
まだ夏になりきれていなかった
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