この作品はいかがでしたか?
504
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◇
" 落すgirl "
◇
真宮 桜音
真宮 桜音
お弁当を食べ終わるなり席を立ち
黒板消しを手に取った.
大原 雅
大原 雅
大原 雅
真宮 桜音
真宮 桜音
真宮 桜音
いつもこんな適当な
言い訳を用意していた.
いつものように
窓から身を乗り出して
あの場所に視線を向ける.
あくまでも自然に……
わざとらしくないように……。
あ……
あれ……?
いない……?
正確に言えば男の子達は
例の場所に集まっている.
だけど、その中に
"コロちゃん"はいない.
んんんんん?
い……ないよね……。
目を細めて、いつも彼がいる
ベンチの方をじっと
見つめていた……その時.
真宮 桜音
手を滑らせて
また黒板消しを下に
落としてしまったのだ.
大原 雅
背後から、雅ちゃん達の
笑う声が聞こえた.
うう……。
注意力散漫にもほどがあるよ.
何かに気を取られると
握力は普段の3分1ぐらいに
なってしまう気がする.
まるで握る気のない手から
当たり前のように重力に従って
黒板消しはこれまで何度も
落下していたのだ.
慌てて教室から飛び出した.
大急ぎで階段を駆け下り
中庭へと向かう.
なんだかイヤな予感がする……
さっき……。
黒板消しを落とした時
怖くて確認できなかったけど
下から誰かの声が
聞こえたような気がした.
まさか、黒板消しを
誰かの頭の上に
落としてしまったとか……?
まさか……ね.
黒板消しの落下地点は
予想がついていた.
中庭にたどり着くとその場所へ
向かおうと足を進めた.
だけどその足はすぐに止まり
体は硬直することになった.
新竹 拓斗
新竹 拓斗
黒板消しを手に
そう尋ねた人物……
それは、まぎれもない
"コロちゃん"だった.
彼は黒板消しを差し出しながら
わたしをじっと見ている.
頬がカッと熱くなる.
軽い眩暈に襲われ
頭はクラクラ……
目の前はチカチカする.
彼の声を聞いた瞬間
わたし達を包む空間の時間が
止まったような気がした.
校内のざわめきも
風がゆする木の葉の音も
わたしの耳には何も
入ってこなかった.
ただ、彼の声だけが
クリアに響いて耳よりも
もっと深い部分を刺激した.
真宮 桜音
真宮 桜音
ペコリと頭を下げて
そう言うのが精一杯だった.
もうもうもう!
わたしのバカ!
耳まで真っ赤になっているのが
自分でもわかった.
顔から火が出そうって
こういうことを言うんだ.
黒板消しを落としただけでも
相当恥ずかしいというか
あり得ない出来事なのに
まさか、それをコロちゃんに
拾ってもらうなんて.
もぉ……。
何やってんだよ、わたし.
新竹 拓斗
新竹 拓斗
真宮 桜音
コロちゃんの言葉に
全身の血の気がサッと引いた.
う……もう泣きそう.
新竹 拓斗
笑うのを堪えているような
複雑な表情のコロちゃん.
がーん……
からかわれた.
今絶対、冗談通じないヤツ……
って思われたよぉ.
俯いたまま差し出された
黒板消しを受け取った.
するとコロちゃんは
例の男の子達の集団の方へと
行ってしまった.
山本 智
日下部 健二
口々にそんなことを言う
男の子達の声が聞こえる.
だけど
そちらを見る勇気はなかった.
くるりと体を反転させると
また駆け足で
来た道を戻った.
廊下を走りながらも
さっきの光景と交わした会話が
頭を巡る.
彼はどういう経緯で
黒板消しを拾うことに
なったかはわからない.
だけど……。
なんてかっこ悪いこと
しちゃったんだろう.
もぉ……ホントやだ.
◇
その日以来、黒板消しを
掃除するのはやめた.
そして季節は過ぎ……
いつの間にかクリーナーの
故障は直っていた.
♡きたら続き出します!! 読んでくれて📖 ありがとです!!☺︎ ぜひほかの作品も 見てみてください!!☃
コメント
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