白石汐凪
黒尾さん少しぶりです!
バスからぴょんっと 飛び出てきた白石。
夏休み合宿で 埼玉まで来た俺は、
バスのエンジン音が聞こえると 待ちきれず体育館から出た。
黒尾鉄朗
元気だったか〜?
白石汐凪
はい!
リュックを背負って 走り寄ってくる白石は
懐っこい小動物みたいだ。
長い髪は高い位置で結われ、
ゆらゆらと揺れている。
黒尾鉄朗
( やっぱロング最強 )
白石汐凪
?、どうしました?
無意識でガン見してたらしく、 白石が首を傾げる。
黒尾鉄朗
ううん、気にしないでいいヨ
菅原孝支
分かりやすいな黒尾〜
澤村大地
程々にしろよ
なんて茶化されて 恥ずかしくなる。
チラリと白石を見ると、 何故かうなじが真っ赤だった。
茶化されて照れてたのは 俺だけじゃないらしい。
嗜虐心がくすぐられる。
黒尾鉄朗
照れてます?
白石汐凪
照れてません!
黒尾鉄朗
花火?
白石汐凪
はい
白石汐凪
父兄の方が用意してくれたみたいで!
夜。 外はすっかり暗くなり、
広い空には 星が散らばっている。
監督やコーチの計らいで、
俺達は息抜きとして 裏庭で花火をすることになった。
灰羽リエーフ
見て下さい夜久さん!
夜久衛輔
うんこなんて書くな!
灰羽リエーフ
ソフトクリームなんですけど!?
線香花火で 空中に絵を描くリエーフ。
どう見てもう○こだ。
呆れながら それらを眺めていると、
水が入ったバケツを持って 白石がやって来た。
白石汐凪
遊び終わったらここに入れてくださいね
黒尾鉄朗
白石はやらないのか?
白石汐凪
私はまだお仕事があるので!
タオルを洗濯するよう 頼まれてるらしい。
確かに他のマネージャーも この場にはいなかった。
俺は白石を連れて 少し人気から遠ざかる。
黒尾鉄朗
少しサボったってバチは当たらないでしょうよ
白石汐凪
でも…
黒尾鉄朗
怒られたら俺も怒られてやるよ
そう笑ってみせると、 白石は驚いた後、
嬉しそうにはにかんだ。
白石汐凪
ふふ、少しだけですよ
黒尾鉄朗
充分
5分でも1分でも、 それで充分だ。