第一中学校3年のマサト達は、夏休み中に何故か自分達の学校の2ー1に閉じ込められてしまう。
それは、去年2ー1で起きたいじめにより自殺した、ハナミに関する拘束だった。
しかし、真実は異なり、ハナミは自殺ではなく、この中の誰かに屋上から押され、死んだという。
去年2ー1ではなかったはずのマサトとミノがいる謎を残し、ハナミを殺した犯人を当てるべく、学級暴露ゲームがスタートした。
マサト
……。

ミノ
……ねぇ。

コウタ
あ?

ミノ
教えてよ……いじめのこと……。

コウタ
何でお前らなんかに……。

アイリ
教える義務なんてないと思うんですけどぉー。

ミノ
もし事件を解明しやずにゲームがこのまま進んだら、誰かが死ぬことになるんだよ?それでもいいの?

アイリ
まさかぁー、あのゲームを信じてるのぉー?死ぬなんてあるわけないじゃーんww

リョウ
……待て。

リョウ
仮に冗談だとしても、こんなに手の組んだことを普通するか?こんな……荒い縄で体を縛って、かなり重い金具で右手を固定して……どう収集をつけるつもりだ?

コウタ
……縛りプレイが好きなんじゃね?

ムツキ
今はふざけられる状況ではないと思うんですけど……。

リョウ
それに、いじめのこともハナミのことも何故か全て知ってるし、俺達を恨んでるのは確かだろ……。

シラギ
そーだねぇ……死ぬのは流石に信じられないけど、何か起こるのは確かかな……。

アイリ
はぁー?シラギまでそんなこと言ってんのぉー?

シラギ
だって……今もタイマーが動いているから……。

マサト
えっ……。

ユウノ
……残り19分。

シラギ
あのタイマーが0になったら、どうなるんだろうね……。

エマ
ちょっと……止めてよ、そういうの……。

シラギ
ごめんごめん、でも、どちらにしろ時間は余るよね、この時間でいじめのことを話し合えってことだと思うけど……仮にいじめのことを話さないとして、この残り時間はどうするの?

コウタ
……下ネタでも話し合っとけば時間も過ぎるんじゃねーか?

ムツキ
だから……今はふざけられる状況では……。

シラギ
……コウタ君、君は賢いから、本当は分かっているのだろう?話すも話さないも、主犯様が決めることだよ。

マサト
……主犯様?

ケイゴロウ
コウタのことっす。いじめの主犯だったから、主犯様っす。

ミノ
……失礼だけど、賢そうには見えない……。

コウタ
あ?

ユウノ
コウタ君は……意外と勉強の方もできるんだよ……前のテストなんて、学年一位だったしね。

ミノ
……運動だけじゃないんだ……。

アイリ
それに、顔も良いしねぇー。

コウタ
……おい、もう止めろ、この話は。

コウタ
で、いじめについて話すか話さないかだろ?

シラギ
うん……こんな話を続けたくないなら、尚更真面目な話をするべきだと思うけどね……。

コウタ

コウタ
……分かった、話してやるよ。

マサト
ッ……?!

ミノ
……ありがとう、じゃあまずは……。

ミノ
アノ壁の穴のことを教えてくれる?

コウタ
……アノ穴は、ハナミが自殺するちょっと前に空いた穴だ。

コウタ
放課後に俺達全員集まって、ハナミをいたぶってたんだが……その時、力の加減が失敗してしまってな……ハナミが思いっきり吹っ飛んで、頭がものすごい勢いで壁に衝突、それで壁に穴が空いて、ハナミの頭からは血が出た……ってことだ。

アイリ
その後リョウとかユウノとかめっちゃ焦って保健室連れてったよねぇー、自分もいじめてたのにぃーww

ムツキ
……ちょっと待ってください。

ムツキ
……私はハナミさんをいじめてなんかいませんし、その壁の事件以外でもハナミさんと関わった覚えはありません。

ユウノ
……ムツキ君は、唯一いじめを止めることができた人間だったのに、止めなかったよね〜。

ムツキ
ッ……。

ミノ
ちょっと待って、唯一いじめを止めることができたってどういうこと?

ユウノ
ムツキ君は、放課後の教室で起きた壁の事件の現場に居合わせた人の中で、唯一いじめと無関係の人間だったんだよ〜……まぁ、ムツキ君はいじめを止めることなく、後ろから2番目の席でずっと座り込んでたけどね〜……。

ムツキ
……ですが、私は貴方達と違っていじめには加わってない!

ユウノ
見て見ぬふりも、いじめにカウントされたんじゃないかな〜……まぁ、当然だよね〜……。

ムツキ
……実際にいじめに加わっていた貴方よりかはマシです……。

ユウノ
あっそ……。

マサト

マサト
……あのさ。

マサト
ムツキみたいに軽く接している人もいれば、コウタみたいに深く接している人もいるんだよね?

コウタ
まぁ……そうだな。

マサト
じゃあさ……全員が集まるまでの経緯……一番最初にいじめが始まった頃の様子は、どうだったの?

コウタ
……。

アイリ
コウタとぉー、アイリとぉー、ケイゴロウとぉー、エマでハナミに関わってやってたんだよねぇー。

ケイゴロウ
……で、その後色んな動機で集まってきて、こんな人数になったわけっす。

マサト
……コウタは、何でいじめなんかを始めたの?

コウタ

コウタ
……殺すぞ。

マサト
えぇ……。

コウタ
冗談だ、話したくねぇ……。

マサト
(冗談に見えない……。)

コウタ
もう壁の事件については話したし、十分だろ。

ミノ
十分なわけないじゃん……まだ何も判明してないよ……。

シラギ

シラギ
ちょっと待って!

シラギ
いじめを始めた動機を話すより、結局誰が殺したかにそろそろ迫った方が良いかもしれない……。

シラギ
……いじめ始めの話が、ハナミの死に終わりの話に直接繋がるとは思えないけど。

ミノ
………。

マサト
……。

ムツキ
……私。

ムツキ

ムツキ
……普通に主犯のコウタさんが怪しいと思うんですけど……。

コウタ
あ?

アイリ
それはない!

アイリ
いじめると殺すには大きな差がある、コウタは確かに主犯だけど、仮に殺すほどの強い恨みがあったとしても、わざわざ屋上に呼び出して殺すなんて、そんな面倒なことはしない!

アイリ
そういう根暗な強い恨みを持ってこんな面倒な殺害をするのは、コウタみたいな陽キャの男子じゃなくて、女子とか、あるいは陰キャの男子とか、そういう人達がやる傾向が多いの!例えばアンタとか!

ムツキ
うっ……。

エマ
アイリちゃん?……落ち着いて〜。

アイリ
はぁはぁ………

シラギ
……なんだ、ちゃんと喋ることもできるじゃん。

ケイゴロウ
……でも、確かにそうっすよね。いじめると殺すには大きな差がある……集団いじめを見た限り、そこまでする人はいそうになかったっすけど……。

シラギ
……じゃあ集団いじめ以外の誰かとか?

マサト
はぁ……?!

ミノ
何も根拠のないこと言わないでよ。

シラギ
はは、ごめんごめん。

ムツキ
どうしましょう……時間が……。

アイリ
アンタが主犯のコウタとか、安直な疑いしかかけないから時間が無駄になったじゃん、最低ぇー。

ムツキ
……。

エマ

エマ
恨み……恨みか……。

エマ
恨みが強い人……。

ユウノ
……エマちゃんは、何か思いついたの?

エマ
なんか、一人だけだけど、恨みが強い人が思い当たるんだよね〜。

マサト
えっ?

コウタ
おい、誰だそれ!

エマ
……それは。

エマ

エマ
リョウ君のことだよ〜。

リョウ
…………は?

シラギ
……理由は?

エマ
リョウ君は、去年こんなことを言ってたよね〜、アイリちゃんみたいに軽い感じじゃなくて、マジで重い感じで「殺したい」って。

リョウ
なっ……。

シラギ
……ほう。

リョウ
おい……ちょっと待てよ、そんなの理由としては弱いだろ、ふざけんなよ……。

エマ
まだ理由はあるよ〜。

エマ
リョウ君がいじめに加わった動機は、他の人達と違って、全てハナミに害があるよね〜。そりゃハナミを恨んでも仕方ないよね〜。

リョウ
ッ……。

ミノ
……その動機って何?

エマ
リョウ君は、最初ハナミのいじめを庇ってたんだよ〜。

ユウノ
えっ……。

ケイゴロウ
そうなんっすか?

エマ
ハナミを心配して声をかけてやったんだよね〜、そしたらハナミが本気でリョウのことを好きになって〜、それで、何日もストーカーされたんでしょ〜?

リョウ
……。

エマ
ストーカーの内容もえぐかったよね〜、確か家までついてこられたんだっけ?それで休み時間も何度も何度も話しかけられて……。

エマ
少し心配してあげただけで何調子のっちゃってんのって感じだったんでしょ?あの時のリョウは、ストレスか何かは知らないけど、別人のような目付きをしていたよね〜。

リョウ
……。

エマ
他の人達の動機は、自分自身の悪さも加わっていることが自分で分かっているからこそ、殺すまでには踏みとどまれるんだよ〜。でも、リョウ君の動機は100%ハナミが悪い……いじめ以上のことをしても、仕方がないわけだよね〜。

リョウ
待てよぉ………

エマ
ん〜?

リョウ
他の奴らの動機も言わないと不公平だろ……。

エマ
まぁ……そうだけど生憎時間が無さそうだよ〜。

リョウ
なっ……。

リョウ
おい待てよ!こんなの不公平だ!

アイリ
別にぃー、どうせ死ぬわけじゃないしぃー、いいんじゃない?

リョウ
いいわけが……。

アイリ
それに、本当に殺したかったんでしょ?実際にぃー。

リョウ
っ……。

リョウ
そんなの……冗談に……。

エマ
冗談の目付きには見えなかったけどね〜。

リョウ
……そんなの……。

リョウ

リョウ
仕方ねーだろォッ!

マサト
ッ……。

リョウ
俺が少し心配してやっただけでプライベートを踏みにじって、ずっと胡散臭く付きまとってきたんだよォ……そんなの殺したくなって当然だろォッ!

シラギ
……ちょっと待ってよ……リョウ君、本当に殺したの?

リョウ
殺してねーよ!

ムツキ
……人を殺すぐらいの人なら、そもそも心配なんてしないと思います……リョウ君が犯人だとは思えません……。

エマ
あっそ〜……別にいいよ、そう思うなら〜。投票は多数決でしょ〜?

ムツキ
……。

リョウ
おい……止めろよ……止めろよ……。

アイリ
大丈夫だってぇー、死ぬなんてありえないってぇー。

シラギ
まぁ……流石に死ぬのは信じられないが……仮にもここは学校だし……。

コウタ
……。

(モニター)議論時間が終了しました、最も怪しい人物に投票してください。
マサト
コウタ

ミノ
アイリ

コウタ
リョウ

アイリ
リョウ

ケイゴロウ
リョウ

エマ
リョウ

シラギ
エマ

リョウ
エマ

ムツキ
コウタ

ユウノ
リョウ

リョウ
おい……おい……。

アイリ
だっさwwこんなの嘘に決まってんのにぃーww

ムツキ
…………ちょっと待ってください。

シラギ
……ん?

ムツキ
リョウさんの金具……。

リョウ
なんだよ……なんだよコレェ……。

リョウ
ヴゥ……。

マサト
えっ……。

その時、リョウが泡を吹きながら、全気力が無くなったかのように、体が脱力した。
エマ
リョウ……君?

ユウノ
キャァァァ!!!

シラギ
リョウ君?!リョウ君?!

アイリ
ちょっと……嘘でしょ?

アイリ
寝てるふりとかいいから、早く起きろよ!

リョウ
……。

アイリ
リョウ!

ムツキ
……どれだけ演技ができたとしても、泡は吹けないと思います……。

アイリ
待ってよ……待って……何で……。

コウタ
……毒。

アイリ
えっ?

コウタ
死に方からして、金具に毒針とかが仕込まれてたんだろ……それで最多投票者になった時に可動する仕組み……。

アイリ
嘘じゃん……死ぬなんてぇー……ありえないってぇー……。

アイリ
ッ……。

アイリ
ねぇ……エマのせいだよ……エマのせいで無実のリョウを……。

エマ
……。

アイリ
…………泣くなよぉー……そんなムードになったら……私も……。

シラギ
待って。

シラギ
エマさんの涙は、無実のリョウ君を殺した罪悪感じゃないよね。

シラギ
自分も死ぬかもしれないっていう恐怖だよね。

エマ
ッ……。

シラギ
アイリさんだって、エマさんに罪を擦り付けるのは、自分が次の議論時間で優位に立つためだよね。

アイリ
……。

シラギ
元からいじめで人を殺しても罪悪感を感じないぐらいの奴らなんだ……これぐらいは覚悟あるよね?

ユウノ
……急にどうしたの、シラギ〜……?

彼も結局は怖さを紛らわすために言葉を並べたのに過ぎなかった。
ムツキ
……え。

ムツキ
待って、リョウ君、本当に死んだの?

アイリ
……さっきアンタ自身がいくら演技ができても泡は吹けないって言ってたばかりじゃん。

ムツキ
待って……じゃあ本当に……。

ユウノ
……ムツキ君も、急にどうしたの〜……?

ムツキ
待ってよ、嘘だよ。

ムツキ
騙された……?

ムツキ
待て待て待て待て待て待て待て待て…………。

ムツキ
こんなの……聞いた話と違う……。

マサト
んっ……?

コウタ
……おい、それってどういうッ。

コウタ
なっ……。

ケイゴロウ
嫌だ……死にたくないっす……。

アイリ
そんなの……私だって……。

ユウノ
犯人……犯人を探さないと……。

マサト
……。

ミノ
……。

コウタ
……。

アイリ
……。

ケイゴロウ
……。

エマ
……。

シラギ
……。

ムツキ
……。

ユウノ
……。
