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⚠ATTENTION⚠
・BL ・奈良×和歌山 ・センシティブなし ・なんでも許せる方向け
⚠️戦争賛美、政治的な意図、政治思想、思想的な主張は決してございませんのでご了承ください ⚠️史実とは一切関係ありません ⚠️史実ネタでもございません ⚠️すべて、私の妄想です
では、どうぞ⬇
山の空気は、街とはまるで違っていた。
湿った土の匂い。木々の青い香り。 肺に入る空気が、やけに重たく感じる。
和歌山は無意識に息を浅くしながら、前を歩く友人たちの背中を見ていた。
モブ1
モブ2
軽い調子の会話。 笑い声もある。
——なのに。
和歌山
胸の奥が、落ち着かない。
理由は分からない。 ただ、足を進めるたびに、見えない何かに“入っていく”ような感覚があった。
踏みしめる落ち葉の音が、やけに大きく響く。
風に揺れる枝が、ひそひそと何かを囁いているみたいに聞こえる。
和歌山
自分にそう言い聞かせる。
けれど、違和感は消えないままだった。
やがて視界が開ける。
木々の隙間に現れたのは、古びた神社だった。
モブ2
モブ1
友人たちは一気にテンションを上げて駆け寄っていく。
石段は苔むし、長い年月を感じさせる色をしている。 その先に立つ鳥居は、どこか歪んで見えるほど古く——
和歌山
直感だった。
理由なんて説明できない。 でも、“ここは軽く触れていい場所じゃない”と、体が理解していた。
和歌山
声をかけようとした、その時。
モブ1
——ゴンッ。
乾いた音が、空気を裂いた。
一人の友人が、ふざけて鳥居を蹴ったのだ。
一瞬、何も起きない。
……いや。
違う。
“何も起きていないように見えるだけ”だった。
モブ2
誰かが、声を漏らす。
風が、止まった。
さっきまで揺れていた木々が、ぴたりと動きを止める。 鳥の鳴き声も、虫の音も——すべてが消える。
耳鳴りみたいな静寂。
そして。
ずしり、と。
空気が、落ちてきた。
和歌山
誰かが小さく呟く。
重い。 息が詰まる。
見えない何かが、確実に“そこにいる”。
和歌山
そう思った瞬間、背筋が冷たくなった。
モブ1
モブ2
さっきまで笑っていた友人たちが、明らかに怯え始める。
視線が落ち着かない。 誰もが“何か”から目を逸らそうとしている。
そして。
モブ1
誰かの叫び。
その一言で、均衡は一気に崩れた。
全員が一斉に背を向ける。
足音が乱れ、枝を踏み折りながら、山を駆け下りていく。
和歌山
手を伸ばしても、誰も振り返らない。
気づけば、和歌山は一人だった。
静寂が、戻ってくる。
いや、さっきよりもずっと重たい静けさ。
和歌山
苦笑する余裕もない。
ただ、心臓の音だけがやけに大きく響く。
逃げるべきだ、と本能が叫ぶ。
——でも。
和歌山は、その場に立ち尽くしたまま動かなかった。
視線の先には、傷のついた鳥居。
あのままにして、帰っていいのか。
和歌山
ゆっくりと、一歩踏み出す。
足が震えているのが分かる。
それでも、逃げるより先にやるべきことがある気がした。
鳥居の前に立つ。
見上げると、その大きさに圧倒される。
傷は、小さい。 でも、ここではそれが“どれだけのことか”は、さっきの空気が教えてくれていた。
和歌山は、ぎゅっと拳を握りしめる。
そして。
深く、頭を下げた。
和歌山
声が震える。
喉がうまく開かない。
それでも、言葉を絞り出す。
和歌山
一度、息を吸う。
怖い。 逃げたい。
それでも。
和歌山
しっかりと、言い切った。
沈黙。
風は吹かない。 音もない。
まるで、返答を待たれているような静けさ。
——その時。
奈良
背後から、声。
低く、静かで、よく通る声。
和歌山の肩がびくりと跳ねる。
ゆっくりと振り返る。
そこに立っていたのは——
人、の形をした“何か”。
白い衣が風もないのに揺れている。 整った顔立ち。
けれど、その目は——人のものじゃない。
じっと、和歌山を見ている。
逃げ場を与えない視線。
和歌山
言葉が出ない。
足も動かない。
ただ、その存在に縫い止められたように立ち尽くす。
奈良
淡々とした問い。
和歌山
かすれた声で答える。
和歌山
正直な言葉だった。
嘘をつく余裕なんてない。
一瞬の沈黙。
それから、ふっと口元が緩む。
奈良
その表情は、ほんの少しだけ楽しそうで。
奈良
ゆっくりと、距離を詰めてくる。
一歩ごとに、空気が重くなる。
和歌山
息が詰まりそうになる。
それでも目を逸らせない。
奈良
和歌山
奈良
その名を、確かめるように繰り返す。
奈良
やはり、そうか。
頭では理解していたはずなのに、改めて言われると現実味が増す。
神様。
目の前にいるのは、そういう存在だ。
奈良
奈良の声が、少しだけ低くなる。
空気が、再び重く沈む。
和歌山
息を呑む。
けれど……
奈良
ふっと、その圧が緩む。
奈良
予想外の言葉に、思考が止まる。
和歌山
間の抜けた声が出る。
奈良は気にした様子もなく続ける。
奈良
じっと、見つめられる。
その視線はさっきよりも少しだけ柔らかい。
奈良
そして。
軽く、指を鳴らした。
——ぐらり。
視界が歪む。
和歌山
気づけば神社の中にいた。
さっきまで外にいたはずなのに。
奈良
にこり、と笑う奈良。
逃げ場のない、優しい声で。
和歌山
理解が追いつかない。
ただ一つ分かるのは。
——とんでもないものに、目をつけられた。
それだけだった。
To be continued
⚠リクエストは締め切りました
ちょっと字数の問題で一話にまとめられなかったので、前編と後編で分けます。
今日中には投稿できるので、ご安心を!
では、リクエストありがとうございました!✨
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