宮侑
宮侑
侑くんは頭を抱えて やるせない様子だ。
その間にも私の脳は “好き”の二文字を噛み砕き、
遅れて心臓が バクバク早鐘を打つ。
待って。タンマ。 私まだ覚悟が───
宮侑
宮侑
ライトブラウンの瞳が 私を射抜く。
見たこともないほど真剣な顔。
堺天音
意図せず声が震える。
“はい”って答えたら、 私達はもう友達じゃなくなる。
嬉しいような、不安なような。
堺天音
宮侑
振り絞った三文字。
一瞬悲しげに下がった眉に、 胸がギュッと痛んだ。
堺天音
宮侑
堺天音
堺天音
宮侑
堺天音
私が言い終わると、
侑くんが何か 言いたげに口を開いた。
けど校庭の方から聞こえる アナウンスに掻き消される。
堺天音
宮侑
堺天音
今までと変わらない口調で 話しながら走り出す侑くん。
私も普段通り返して、 追うように校庭に戻った。
その後、何事もなかったように 体育祭は行われ、
私達紅組が優勝した。
疲れ果てた私は フラフラと家に帰り、
夜は泥のように眠った。
誰にも侑くんとの関係を 問いただされたりせず、
ほっと安心したのも束の間。
後輩♀︎
先輩♀︎
先輩♀︎
堺天音
日月と休校を経て校門をくぐる。
周りの女子達がひそひそと こっちを見ているのが
嫌でも分かった。
しかも彼女だと 勘違いまでされている。
私は冷や汗をかきつつ、
逃げるように 教室に向かうことにした。