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月山来夏
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#くらげのゆらふわ小説
ゆら/くら
30
朝。
昨日の出来事が頭から離れなかった
知らない女性。
掴まれた手首。
そして
本田菊
菊の声。
アーサーは自分の手首を見つめた
赤くなった跡は、もう消えている
アーサー🇬🇧
小さく呟く
昨日覚えた”感情”
それだけは忘れていなかった
本田菊
アーサー🇬🇧
玄関の音が閉まる
家は静かになった
アーサーは居間に座る
また別の家
人【女】
人【男】
そう言われた
けれど、その言葉も長くは続かなかった
時計の長針が、1時間を指した
約束の時間だった
アーサーは時計を見つめる
アーサー🇬🇧
🇬🇧)まだ帰ってこない
菊は「1時間もしないうちに戻ります」と言っていた
アーサーは静かに立ち上がる
玄関へ向かった
扉を見つめる
開く気配はない
アーサー🇬🇧
ぽつりと呟く
その言葉が出たことに、自分でも少し驚いた
分からない
居間へ戻る
座る
また時計を見る
1分
2分
3分
時計の針だけが進んでいく
気づけば、また玄関へ足が向かっていた
本田菊
部屋を出ると、菊が朝食を並べていた
アーサー🇬🇧
2人は静かに朝食を食べる
食べ終えると、菊は時計を見た
本田菊
アーサー🇬🇧
本田菊
菊が少し困ったように笑う
本田菊
アーサー🇬🇧
何もすることはない
だから待つ
それだけだった
時計の針が静かに進む
カチ、カチ、と規則正しい音だけが部屋に響く
アーサーは何となく時計へ視線を向けた
まだ10分しか経っていない
アーサー🇬🇧
再び居間へ視線を戻す
静かだ
何も聞こえない
何も変わらない
それなのに、胸の奥が少しだけ落ち着かなかった
理由は分からない
ふと、頭の中にひとつの光景が浮かぶ
人【男】
優しそうな女性が笑った
人【女】
頭を撫でられる
アーサーは何も言わなかった
笑うこともできない
嬉しいという感情もない
数日後
人【女】
人【女】
人【女】
人【男】
玄関の扉が開く
人【女】
その一言だった
外へ押し出される
ガチャ
アーサーはしばらく玄関の前に立っていた
帰る場所はない
だから歩き出す
行くあてもなく
人【女】
人【男】
また1人になった
何度も。
何度も。
拾われて
期待されて
そして捨てられた
アーサー🇬🇧
アーサーはゆっくり目を開けた
無意識に玄関の方を見る
静かなまま
誰も帰ってきてない
時計を見る
まだ30分
アーサー🇬🇧
🇬🇧)どうせ
🇬🇧)今回も同じだ
🇬🇧)優しくされるのは今だけ
🇬🇧)そのうち飽きられて
🇬🇧)また捨てられる
そう思ってるはずなのに
何故か
玄関から目が離せなかった
アーサー🇬🇧
自分は何をしているんだろう
待つように言われた
だから待っているだけ
それだけのはずなのに
胸の奥が落ち着かない
その時だった
ガチャ
玄関の扉が開く音がした
本田菊
聞きなれた声
アーサーは反射的に玄関へ向かう
そこには買い物袋を持った菊が立っていた
本田菊
菊は申し訳なさそうに笑う
本田菊
アーサーはしばらく黙っていた
そして、小さく口を開く
アーサー🇬🇧
その一言に、聞くは目を丸くした
本田菊
アーサー🇬🇧
アーサーはその言葉を繰り返す
本田菊
聞くは穏やかに笑った
本田菊
アーサーは黙ったまま、自分の胸にそっと手を当てる
さっきまで感じていた、この落ち着かない感情は
これが、不安なのだろうか
けれど
菊が帰ってきた今、そのざわつきは静かに消えていた
本田菊
菊は不思議そうに顔を覗き込む
本田菊
アーサー🇬🇧
🇬🇧)これが本当に心配なのかを
アーサー🇬🇧
本田菊
菊は穏やかに頷いた
本田菊
本田菊
本田菊
その言葉を聞くと、アーサー小さく頷いた
アーサー🇬🇧
まだ感情はよく分からない
それでも、一つだけ分かったことがある
菊が帰ってきて、安心した
その理由は、まだ分からないままだった
第4話 帰りを待つ 終わり
コメント
3件
おめでとうアーサー感情もっと手に入れてね!
みぅだよ🤍🥀 第4話、読んだよ…… アーサーが「待つ」って行為を通して、なんとなく自分の中に「不安」って感情があることに気づいていくの、すごく繊細で苦しかった。 「どうせまた捨てられる」って思ってるのに、玄関から目が離せないって、もうその時点で彼の中に変化が起きてるんだよね。 菊が「心配させましたか」って聞くところ、優しすぎて泣きそうになった。 「理由はまだ分からない」って終わるラストも、すごくアーサーらしくて好きです。 そらしろさん、今回も切なくて美しいお話をありがとうございます。 続きも静かに待ってますね🌙