テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
―――
...なんか、顔が
変な感じ...、
あれ。
私今起きてるんだっけ。
...それとも、
いや...寝てるんだ。
でも、この頬の感触は、
何?
......
舐められて...る?
薄目を開けると
生暖かい何かが視界に飛び込んできた。
あまりに驚き、無言で飛び起きる。
するとその何かも私に驚いて後ずさった気配がした。
沙利
パニック状態になりながら、ベッド近くの電気スタンドに手を伸ばし明かりを点ける。
いきなり明るくなった空間に思わず目を瞑ったが
眩しさに堪えながらも、目を開けた。
そこには、耳と尻尾を伏せて悲しそうにこちらを見つめるこぎつね。
沙利
昨日の出来事をすっかり忘れてた。
なんて馬鹿な私...。
沙利
さっき頬を舐めてくれていたのは、この子だったんだ..
そっと抱きあげ膝の上に置く。
せっかく慣れてきてくれたのに。
これがきっかけで怯えだしたらどうしよう。
頭を優しく撫でてみる。
...じっとしているから、大丈夫かも知れない。
沙利
まだ辺りは少し暗い。
今は何時なんだろう。
サイドボードに置いてある時計を見ると、朝の5時だった。
沙利
沙利
ベッド脇に足を下ろし、スリッパを履く。
こぎつねはもう少し寝かせておこうと布団をかけたが
するりとベッドから下りて部屋を出て行ってしまった。
沙利
沙利
トイレは前に猫を預かった時のトイレシートが残っていたはず。
パタパタとスリッパの音を立てながら台所へ向かった。
沙利
冷蔵庫を漁るが、皆目見当がつかない。
あ、昔話とかでは油揚げを食べるってあったな。
えーっと、“狐 食べ物”...っと。
狐は雑食。
油揚げは食べることは食べる...か。
沙利
一応、作ってみるか。
フライパンに二枚乗せて軽く焼く。
すると、いつの間にかこぎつねが足元まできていて、こちらを見上げていた。
......正解?
小さく切って皿に乗せ、目の前に差し出す。
すると匂いを嗅いだ後、少しずつ食べだした。
...よかった。
ひとまず、お昼ごはん用にも作って置いておこう。
朝食を済ませた後、身支度を整えた。
――早いけど、そろそろ行こうかな。
沙利
クルッと振り返ったこぎつねに、目線が近くなるようしゃがんで話し掛ける。
沙利
沙利
伝わるわけないけど、と思いながらも話し掛ける。
でも。この狐は...
どこか不思議なところがある。
本当は言葉が理解出来るのかも知れない。
だってほら、こうしている間も
じっと私の目を見つめている。
沙利
沙利
と、笑いかけて立ち上がった。
バッグを掴み、玄関へ進む。
すると
???
沙利
今の鳴き声は...
もしかして、この子が?
振り返ると、フサフサの尻尾を振っている。
その愛らしい姿に自然とまた笑顔になれた。
沙利
仕事をしながら、ボーッとこぎつねのことを考えていた。
その時、森高先輩の声がフロアに響く。
森高
その言葉に、一同が視線を向ける。
森高先輩の隣には糸川君が立っていた。
森高
森高
糸川
糸川君が小さく会釈すると、何人かの女性が黄色い声をあげた。
大きな拍手がフロアに響きわたる。
沙利
でも、またあなたは遠い存在に...。
彼から目を逸らすことが出来なかった。
その時の私は、一体どんな表情をしていたんだろう。
席に着いた糸川君に、女の子たちが慌てて駆け寄る。
周りには人だかりができていた。
...相変わらず、凄い光景だ。
はあ、と息をつき書類に目を通し始める。
すると、影が覆いかぶさった。
不思議に思って見上げると、向こうで囲まれていたはずの糸川君がいた。
驚いていると、彼は手に持っていた書類を差し出す。
糸川
沙利
私が受け取ると、踵を返して
さっさと自分のデスクに戻って行く
その後ろ姿に、慌てて
沙利
と声を掛けた。
彼は振り返り、しばらく私と目を合わせたが
糸川
何も言わずに自席へと戻って行った。
...よし。今日の仕事完了。
沙利
カバンを肩に掛けて急いで出ようとすると、
有美に上着を引っ張られた。
沙利
有美
有美
沙利
有美
有美
その瞬間、有美が何を言おうとしたのか察しがついて
素早く彼女の口に蓋をした。
有美
沙利
沙利
有美
沙利
沙利
そう言って会話を無理矢理中断し、扉を開けて会社を後にした。
◇鳴き声◇End ...続く。
次はいよいよ、正体が明かされます…