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広すぎるような玄関に上がり、待機していたのか女中に一条家の主人__一条葉蔵のいる部屋に通された。
一条 葉蔵
一条 葉蔵
拘束された黒井を見ても尚、自分は無関係だと言わんばかりの言い草でこちらに問いかける。
その声は低く、どこか苛立ちを含んでいた。
朝霧 司
そう言って朝霧司刑事は葉蔵の前にスマホの画面を突き出す。
映っているのはどこか暗い場所に拘束された一条彩葉の姿だけ。
しかし自分の娘が今危ない状況であるにも関わらず、葉蔵は顔色一つ変えないどころか、苛立っている。
一条 葉蔵
ぴしゃりとその場の空気が凍りついた。
月見 晴翔
一条 葉蔵
驚いた声を上げる月見に、葉蔵は問いかけた。
月見 晴翔
月見 晴翔
月見 晴翔
煽るように月見は淡々と述べる。
遂に苛立ちを隠せなかったか、葉蔵は一度強く机を叩きつけた
一条 葉蔵
一条 葉蔵
椅子から立ち上がり、月見や朝霧に怒鳴りつける。
そんな葉蔵の姿に月見は、可笑しくなったのかくすくすと笑った。
一条 葉蔵
一条 葉蔵
月見 晴翔
月見 晴翔
出雲 治
月見 晴翔
ぼそぼそと出雲と月見が話している。
話し終わったかと思うと、出雲はまたもや部屋を出ていってしまった。
しかし、そんな出雲の行動に他三人が気付く筈もなく、相も変わらず空気はピリついている。
部屋の中で、楽しそうな月見の姿に朝霧や黒井が困惑の色を広げる。
朝霧 司
朝霧 司
一条 葉蔵
朝霧 司
朝霧 司
一条 葉蔵
一条 葉蔵
一条 葉蔵
黒井 千歳
「お前が困っているから」という言葉にギョッとしたのか、黒井は目を見開く。
そんなやり取りをする二人を横目に、月見は口を歪め、声を殺すように笑っていた。
月見 晴翔
月見 晴翔
一条 葉蔵
月見 晴翔
月見 晴翔
黒井 千歳
一条 葉蔵
出雲 治
先程まで部屋を出ていた出雲が、手に小さなノートと手帳を持って部屋に入ってきた。
待ってましたと言わんばかりに、月見が一歩下がった。
出雲 治
出雲 治
出雲 治
朝霧 司
一条 葉蔵
一条 葉蔵
再び怒鳴りつけ、更には手まで上げようとしたため、危険を察知したか待機していた他の警官が一条葉蔵を拘束した。
一条 葉蔵
散々喚き暴れるも、訓練を受けた警官には力では勝てない。
それを悟ったか、数分もすれば葉蔵はぱたりと大人しくなった。
部屋には拘束された一条葉蔵と黒井千歳。
そして、それを見下しくつくつと喉を鳴らして笑う二人の探偵と、困惑の色を広げる朝霧司刑事、その他警官。
異様な光景に、外に出ていた女中も集まってきたようで、一条葉蔵の思いとは裏腹に、事は更に大きくなっていた。
月見 晴翔
出雲 治
わざとらしく、更に人を集めるように声を大にして言った。
廊下の方からもざわめきが聞こえてくる。
朝霧 司
月見 晴翔
月見 晴翔
出雲 治
出雲 治
朝霧 司
古びた手記を取り出し、ぱらぱらと捲る。
長く使っていたのか、もう殆どのページが何かしら書かれていた。
出雲 治
出雲 治
朝霧 司
出雲 治
出雲 治
月見 晴翔
出雲 治
出雲 治
台詞を取られたことに困惑するが、ここで話しを止めるわけにもいかないのでできるだけ冷静に話を続ける。
朝霧 司
月見 晴翔
月見 晴翔
月見 晴翔
出雲 治
月見 晴翔
謝る気のない謝罪に溜息をつくが、晴翔さんなので許すしかない。
許してしまうのは、自分でも心底彼に惚れているからだと思う。
まあ、それが恋愛的になのかは置いておくべきことだが。
出雲 治
朝霧 司
出雲 治
出雲 治
出雲 治
日記の内容とは、狭い世界でしか生きていない少女がその日その日の楽しかったことや思い出話を淡々と綴ったものだった。
その日記に最も多く書かれている名前が女中の名前であった。
日記を真面目に一から読んで見ると分かるのだが、女中が来た日に写真を撮りたいと言ったのは他でもなく一条彩葉だということが分かる。
この人なら自分を救ってくれそうだと、そう思っての行動だったのか、単純に自分に構ってくれる人間が珍しかったのか。
月見 晴翔
月見 晴翔
出雲 治
朝霧 司
出雲 治
月見 晴翔
分かっているくせに聞くのは、時間稼ぎのためなのだろう。
まあ全ては計画通りに進んでいるのだから、問題は無い。
出雲 治
黒井 千歳
黒井が懸命に抵抗して声を荒らげる。
そんな様子に溜息をつくが、子犬が吠えていると思えば可愛いものだ。
出雲 治
朝霧 司
朝霧 司
出雲 治
朝霧 司
朝霧 司
出雲 治
出雲 治
出雲 治
出雲 治
朝霧 司
朝霧 司
月見 晴翔
出雲 治
出雲 治
朝霧 司
出雲 治
朝霧 司
月見 晴翔
月見 晴翔
出雲 治
朝霧 司
朝霧 司
やれやれ、といった様子できつい拘束と手錠をかけられた二人を見ていた朝霧刑事。
しかし突然、部屋に笑い声が響き渡った。
一条 葉蔵
一条 葉蔵
一条 葉蔵
一条 葉蔵
起爆、という言葉に晴翔さんが顔を青くした。
まるで想定外のことが起こったかのようだった。
そんな晴翔さんの表情を見た一条葉蔵は、心底嬉しそうに下品に顔を歪めた。
途端に外の物置のある方向から爆発音が聞こえてくる。
朝霧 司
黒井 千歳
黒井 千歳
黒井 千歳
ゲラゲラと下品な笑いが廊下にまで響き渡る。
顔面蒼白だった晴翔さんの様子を見ると、肩を小刻みに震わせていた。
月見 晴翔
朝霧 司
死んだかもしれないんだぞ、そう言葉を続けようとした刑事は、不意に口を噤んだ。
部屋の扉の向こうに見える人物を見て、一瞬驚きを見せたが、その後すぐに安堵の表情に変わった。
一条 葉蔵
一条 葉蔵
月見 晴翔
警官
出雲 治
そう言って出雲に報告に来た警官の腕の中には、一人の少女が抱えられていた。
月見 晴翔
月見 晴翔
朝霧 司
出雲 治
出雲 治
月見 晴翔
月見 晴翔
出雲 治
出雲 治
月見 晴翔
口を三日月に歪ませて笑う月見。
それに観念したのか、一条葉蔵と黒井千歳は顔を青くしながら大人しく連行されていった。
帰りも、月見が安全運転で山道を運転する。
出雲 治
月見 晴翔
出雲 治
出雲 治
月見 晴翔
出雲 治
出雲 治
月見 晴翔
出雲 治
気まずいのか、出雲は月見の顔を見やしない。
しかしその声色には怒りや失望はなく、ただ単に疑問があるといったところだ。
月見 晴翔
出雲 治
出雲 治
あたふたと慌てる出雲の様子に、月見はくすりと笑った。
月見 晴翔
月見 晴翔
月見 晴翔
出雲 治
出雲 治
月見 晴翔
月見 晴翔
月見 晴翔
出雲 治
そう言うと、ふいと窓の方に顔を向けた出雲だったが、その耳は紅く染っている。
月見はそんな出雲に気付いていたが、見なかったことにしてあげよう__と思った。
__to be continued