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孤独と孤独が手を繋ぐまで

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孤独と孤独が手を繋ぐまで

3 - 心の奥に少し触れた気がした

♥

36

2025年07月30日

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夜――。

静かな森の奥、焚き火の灯がゆらゆらと揺れていた。

あお

……これ、あったかいね

あおは、両手でマグカップを包み込むように持ちながら、湯気にほっと息をついた。

トルテ

当たり前だ。温かいスープを冷たく出す意味がわからん

あお

ははっ、トルテってさ、口は悪いけど……やっぱ優しいよね

トルテ

……今、口が悪いって言ったか?

あお

そっちかー! そっち怒るんだ!?

トルテ

怒ってない

あお

ぜったいちょっとムッとした顔してた! ねえ、ちょっとこっち向いて!

トルテ

おい、距離近い。やめ――

あおがふっと近づいて、じーっと覗き込む。

ふわふわの白の髪、ぴくりと動く狐耳。その顔は、確かにちょっとだけ、照れていた。

あお

うわ、かわい――っ!

トルテ

言うな!!

あお

わ、ごめんごめんっ、やめてっ、しっぽで首しめないで~っ!

トルテ

しめてないだろ

あお

えぇ~っ、トルテ、ほんとツンデレっていうかさ~

トルテ

つん……何?

あお

え、知らないの? ツンってしてて、でも本当はデレってしてる人のことだよ! あ、もしかして、妖狐用語じゃないのかも?

トルテ

くだらん

あお

じゃあさ、トルテは“ツン9:デレ1”くらいだね!

トルテ

比率を決めるな

あお

えへへ……でも、ほんとにさ、俺……

ふっとあおの表情が曇る。

あお

……こんな風に、ごはん食べて、あったかいとこで過ごせるなんて、思ってなかったから

トルテ

……

あお

ありがとう。俺、がんばって生きててよかった

トルテ

……生きるのは、当然だ。褒められることじゃない

あお

でも、トルテが助けてくれなかったら、今ここにいないし……たぶん、あのままだったら――

トルテ

言うな

トルテ

お前がここにいる理由は、俺が助けたからじゃない。……お前が、諦めなかったからだ

あお

……トルテ……

トルテ

……そろそろ寝ろ。傷、完全に治ってないんだろ

あお

……うん。でもさ、夜、こわくない?

トルテ

なにが?

あお

静かすぎるとさ、前のこと思い出しそうで……だから、トルテのとこで寝ちゃだめ?

トルテ

は?」

あお

いや、変な意味じゃなくて!? ただちょっと一緒にいてほしいだけで!!

トルテ

……はぁ。しょうがないな。……布団、二つある。こっち来い

あお

やった……!

あおは嬉しそうに小さな布団をかかえて隣に来る。

その肩に、そっと巻きついた白のしっぽが一つ。

あお

……え?

トルテ

今夜だけだ。……それが、俺の条件だ

あお

へへ……うん

トルテ

……まったく、なんでこうなる

あお

でも、嬉しいよ。トルテと一緒なら、たぶん、怖くない

トルテ

……ふん

あおは、しっぽに頬をすり寄せる。あたたかい、まるでぬくもりをくれる毛布のように。

トルテはそれを止めず、ただ――目を閉じた。

あお

……おやすみ、トルテ

トルテ

……ああ。……おやすみ、あお

月明かりの差し込む夜。

静かな森の中で、二つの心は、確かに近づいていた。

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