思考が纏まらない。こさめが俺のことを好き…?いつから…?それに、いるまもこさめの想いに気付いていた。俺が鈍感だとも言っていた。…つまり、俺以外全員、こさめが俺を好きなことに気付いてた…?
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そりゃ呆れられて当然だ。鈍感だと言われて当然だ。…告白されてやっとこさめの想いを知った。それまで俺は、LANのことしか見えてなかったんだ…。最低な人間だと自覚して、自虐的な笑みしか浮かばなかった。
どうしたらいいんだろう。こさめはこんな形で伝えるつもりはなかった、と言っていた。それは、今伝えるつもりじゃなかったんだと思う。それなのに、俺が鈍感なせいで、こんな時にこんなタイミングで伝えさせてしまった。
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こんなところでこさめに謝ったってどうにもならない。わかってはいるけど、謝罪せずにはいられなかった。…どうしたら良かったんだろう。
どうしたら―――。
そう考えていると、部屋のドアがノックされる。
みこと
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ドアを開けると心配そうな表情のみことが居た。
みこと
暇72
みこと
暇72
言い当てられて思わずみことの方を振り返る。みことは楽しそうにくすくす笑っている。
暇72
みこと
いつも天然なのに、今のみことは聡明そうな表情で、全部見透かされてるみたいで落ち着かない。
みこと
暇72
みことと、同じ顔?それって…。
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みこと
笑顔のみことはそれ以上の追求を許さない、と言っているようで、何も言えなかった。
…俺と、いるまと、こさめと争う気はない…。俺といるまがLANが好きで、こさめは俺が好き…。そうなると、みことの好きな相手、って…。
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小さく呟いた彼の名前に、みことの頬が赤くなったような気がした。
一向にLANが見つからない。なつに俺達にはもう会わないって言ったらしいけど…それにしたってこんなに見つからないものか…?
いるま
日に日に焦りが募っていく。本当にもう…LANとは会えないんじゃ…。
雨乃こさめ
いるま
雨乃こさめ
久しぶりに見たような気がするこさめは、いつもの元気いっぱいな姿とは違って、驚く程静かだった。気配すら感じなくて、ちょっと怖かった。
いるま
こさめから受け取った紙の束には鬼の目撃情報が纏められていた。
いるま
雨乃こさめ
いるま
雨乃こさめ
なつより理性的な判断、ね…。はなからLANを殺せないと思ってる俺が、理性的な判断なんて出来るわけないのにな。
いるま
全員が集まる食事の時間、俺は皆にそう告げた。
みこと
驚くみことに俺は淡々と続ける。
いるま
雨乃こさめ
こさめは俺が出掛ける用を察しているのか、フォローに回ってくれた。
すち
みこと
いるま
今日は早めに休んで、明日の早朝から出掛けよう。早い方がいいのは重々承知してるけど、体調は万全にしておいた方がいいだろうし…。
そう思って眠りについたのに、夜中に目が覚めてしまった。窓を締めて寝たはずなのに、そよそよと風の吹く感覚。チリン、と鈴のようなものが鳴る音。
…この音、聞き覚えがあるような…?
いるま
そうだ、LANのイヤリングの…。
いるま
LAN、その名前が脳裏に浮かんだ瞬間、俺は叫びながら体を起こした。
LAN
久しぶりに聞いたLANの声。俺もLANも動けなかった。でも、すぐに俺はLANの腕を掴んだ。今を逃したら、もう会えないと思った。
いるま
そのままLANを引き寄せて、俺はLANを力いっぱい抱き締めた。