賭ケグルイ 藍

家畜返上手続きと上納金支払いを 済ませてから、時間が経つのを 待って、順位をモニターで確認する

新條先輩は真ん中辺りに、ボクと 天ちゃんは下の方にちゃんといる

そして、カナタ先輩は……

ボクらの更に下の、 下位百位までが家畜の対象

だからカナタ先輩は、この瞬間から 家畜に下がったことになる

不意に、周りの声が聞こえてきた

そうだ、前に集会で会長が言ってた 通り、カナタ先輩は生徒会副会長

そんな人が下位百位以内にいる なんて、たしかにおかしいじゃんか

考え事をしていたせいで、 返事が遅れてしまった

まさかカナタ先輩、この状況を何かに 利用しようとしてる……？

な、何をすればいい……？

ボクに従う？

家畜制度がどうであろうと、 ボクが従う立場なのに……！

……でもこのままじゃ、 ここから動いてくれなさそうだし……

うちの女中はともかく、カナタ先輩に 命令なんてしたことがないから、 噛み噛みになりながら言った

あ、ボクの後ろについてきた……

試しに一歩前に進むと、カナタ先輩も 一歩ボクの方に歩いてくる

まさか、ここまで 従順になるなんて……

この状況に慣れなくて、 こんな命令を出してしまった

ちょっと間はあったものの、 了承してくれたカナタ先輩

そう言うと、ボクの横をすり抜けて、 歩いて行った

それを見て、ボクら3人も いつものようについていく

やっぱりこの人は、人に従うんじゃ なくて、人を従える方が似合ってる

お腹空いた？

何だか“カナタ先輩”に戻ってから、 少し言動が幼くなった気がする

お腹を押さえながら言う先輩に、 笑いかけながらそう言った

明日はとうとう、カナタ先輩が 空喰会長に公式戦を申し込む

その為に、ちゃんと食べて 力を蓄えないとね

次の日

〜らら side〜

ガチャッ

生徒会メンバーがみんな揃ってる中、 ノックも無しに部屋のドアが開く

あといないのは、カナタくんだけだ

っていうことは、 久しぶりにここに来たのかな？

男子の制服だから、カナタくんのはず

なのに、髪色と目の色が、全く違う

ずんずんと部屋の奥に入ってくる 彼を止めるように、紫ちゃんが 前に立ちはだかる

混乱している私達を落ち着かせて、 愛華凛会長に聞いた真都ちゃん

やっぱり、会長も知らないの？

そう言って、会長のことを ギロリと睨んだ彼

とうとう会長の前まで来て、 何かを手に持って突き出した彼

持ってるものって、ポチの名札！？

ここであれを出すってことは、 まさか……！！