今日は土曜日、つまり休日だ
まあ、予定は決まっている
凪月
さあ、準備をしよう
あの子の家は知っている
ここは、初めてだけど
あの子のことだから
きっとあそこにいる
電車で海の見える街に来た
あの子との思い出は海だった
ピンポーン
穏やかな海に似つかわしくない
聳え立つ家のチャイムを押す
凪月
(まあ、当然だけど無反応だよね)
この子は、全てを拒んだ子
ピンポーン
諦めずにチャイムを押し続ける
ああもう!うるさい!
無視してるのが分からない!?
久しぶりに聞いた彼女の声に
良かったと、安堵する
凪月
こんにちは!私一ノ瀬凪月!
凪月
被衣に会いに来たんだ!
私はだれもいらない!!!!!
帰って!関わらないでよッ!!
半ば怒鳴るような勢いで言われた
凪月
(もう慣れっこだけども)
凪月
えー、やだ
凪月
ってあれ………
なんなの!?
凪月
鍵、開いてるよ……
へッ!?
だだだだ、と走ってくる音がする
ガチャ
私は扉を開けた
被衣
あッ…………
凪月
初めまして……
凪月
被衣!
被衣
だ、だれ………
凪月
一ノ瀬凪月!被衣のクラスメイトだよ!
被衣
………(ああ、あの学校の)
被衣
私は学校には行かない!
被衣
誰に言われても………
凪月
あ、違う違う!学校の誘いじゃないよ!
被衣
尚更なんなの………!
凪月
《思い出部》に入らない?
被衣
はぁ?