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五木 鱗子は死んだ

自分の爪で

のどを激しく 引き裂いて

先生

先生は、警察の人と話をしてくる

先生

動揺する気持ちは分かるが……

先生

とりあえず今は、ここで待機するように

空き教室での待機を 命じられ

僕らは先生の指示に従った

七面 美羽(ミウ)

うぅ、リンコちゃん……

宇山 珀兎(ハクト)

どうして、こんなことに……

原石 六空(ムク)

なあ、五木の行動って……

原石 六空(ムク)

アナフィラキシーショックじゃないか?

七面 美羽(ミウ)

違います!あれは、七三五様の──

原石 六空(ムク)

五木は重度のピーナッツアレルギー持ちだ!

原石 六空(ムク)

七面だって、それくらい知ってるだろう!?

七面 美羽(ミウ)

うっう……リンコちゃん……

原石 六空(ムク)

ダメだ。話になんねぇ

原石 六空(ムク)

なあ、宇山。お前、今日の朝、ハチミツを持って家に来たよな?

宇山 珀兎(ハクト)

う、うん

宇山 珀兎(ハクト)

(嫌な予感がする)

原石 六空(ムク)

まさかとは思うが……

原石 六空(ムク)

あのハチミツに、なにか細工してないよな?

宇山 珀兎(ハクト)

な!そんなこと!

原石 六空(ムク)

全部、お前が来てからなんだ!

原石 六空(ムク)

お前のせいだ!お前のせいで五木は……!

原石くんが 僕につかみかかる

七面 美羽(ミウ)

ムクくん、やめてください!!

七面 美羽(ミウ)

宇山くんは、なにも悪くありません!

原石 六空(ムク)

止めるな、七面!

原石 六空(ムク)

お前は七三五様を信じてるんだろう!?

原石 六空(ムク)

なのになんで、コイツをかばうんだよ!

七面 美羽(ミウ)

リンコちゃんがハチミツを食べるはずがないからです!

原石 六空(ムク)

なっ!?

宇山 珀兎(ハクト)

どうして?

宇山 珀兎(ハクト)

(五木さんは確かに、ハチミツを受け取ったのに……)

七面 美羽(ミウ)

リンコちゃんのお母さんは、とても生真面目な方で

七面 美羽(ミウ)

リンコちゃんが口にする物は、厳しく制限していました

原石 六空(ムク)

それは、ピーナッツのことだろ?

七面 美羽(ミウ)

それだけではありません

原石 六空(ムク)

なんだよ

七面 美羽(ミウ)

えっと、その……。言いにくいのですが

宇山 珀兎(ハクト)

……?

宇山 珀兎(ハクト)

(なんで、七面さん。僕のことを見るんだろう?)

原石 六空(ムク)

さっさと言えよ!

七面 美羽(ミウ)

人からもらった食べ物には、とくに気をつけていました

七面 美羽(ミウ)

……なのに

七面 美羽(ミウ)

十五夜家の人間が作ったものを口にするとは、思えません!

原石 六空(ムク)

……!

宇山 珀兎(ハクト)

そっか……

宇山 珀兎(ハクト)

そう、だよね?僕は……よそ者だし

宇山 珀兎(ハクト)

(五木さんが困ってたのは、そのせいだったんだ)

原石 六空(ムク)

それじゃあ一体……

原石 六空(ムク)

なにが原因なんだよ!

原石 六空(ムク)

くそっ!

原石くんは悔しそうに 壁を殴った

宇山 珀兎(ハクト)

原石くん……

宇山 珀兎(ハクト)

(また、なにもできなかった……)

宇山 珀兎(ハクト)

(……僕のせいだ)

宇山 珀兎(ハクト)

(僕が、月無村に来たから、こんなことに)

その後、学校は休校になり

僕は家に帰った

宇山 珀兎(ハクト)

ただいま……

宇山 珀兎(ハクト)

宇山 珀兎(ハクト)

あれ?誰もいないの?

引き戸に手をかけると

ヒュッ!

宇山 珀兎(ハクト)

うわっ!

倒れたシャベルが 地面を突き刺す

宇山 珀兎(ハクト)

危なかった……

どくん

宇山 珀兎(ハクト)

(なんだろう?)

宇山 珀兎(ハクト)

(胸騒ぎがする……)

恐る恐るシャベルを 確認する

宇山 珀兎(ハクト)

なにか、赤いものがついてる

宇山 珀兎(ハクト)

これって……まさか、血!?

宇山 珀兎(ハクト)

母さん……!

靴を脱ぐのも忘れ

母の部屋にかけ込む

宇山 珀兎(ハクト)

どうしよう、どうしよう……

宇山 珀兎(ハクト)

おじいちゃんと、おばあちゃんが……

ゴンッ

宇山 珀兎(ハクト)

いって……!

宇山 珀兎(ハクト)

なんだ、これ?

宇山 珀兎(ハクト)

落花生のハチミツ……

宇山 珀兎(ハクト)

どうして、こんな物が家に!?

宇山 珀兎(ハクト)

母さんは、知ってたはずなのに

宇山 珀兎(ハクト)

五木さんが、ピーナッツアレルギーだってこと

宇山 珀兎(ハクト)

知っていたのに。このハチミツを……使った?

宇山 珀兎(ハクト)

うっぷ……

急な吐き気がこみあがる

宇山 珀兎(ハクト)

母さんも……おじいちゃんもおばあちゃんも!

宇山 珀兎(ハクト)

十五夜の人間は、誰も信じられない……!

宇山 珀兎(ハクト)

もう、この家には居られないよ……

七面 美羽(ミウ)

どうしたんですか?宇山くん

七面 美羽(ミウ)

今日は自宅に居るようにって、先生が言ってましたけど……

宇山 珀兎(ハクト)

……ごめん

宇山 珀兎(ハクト)

でも、他に行くところがなくて

七面 美羽(ミウ)

……そういうことでしたら

七面 美羽(ミウ)

どうぞ、お上がりください

宇山 珀兎(ハクト)

いいの?僕がお邪魔しても

七面 美羽(ミウ)

もちろんです

七面 美羽(ミウ)

だって、宇山くんが選んでくれたんでしょう?

七面 美羽(ミウ)

わたしのことを

宇山 珀兎(ハクト)

(ここが、七面さんの部屋)

宇山 珀兎(ハクト)

(なんか、緊張するな……。こんな時なのに)

七面 美羽(ミウ)

わたし、信じてました。宇山くんは、わたしを選んでくれるって

宇山 珀兎(ハクト)

え、選んだっていうか

宇山 珀兎(ハクト)

(原石くんの家には、行きづらいし)

七面 美羽(ミウ)

嬉しいです!

宇山 珀兎(ハクト)

なっ!?

宇山 珀兎(ハクト)

ちょっと、七面さん!腕に抱きつかないでよ!

七面 美羽(ミウ)

どうしてですか?

どくん

宇山 珀兎(ハクト)

それは……

七面 美羽(ミウ)

やっと、見つけてくれたと思ったのに……。冷たいです

宇山 珀兎(ハクト)

冷たいって、そんなこと言われても……

七面 美羽(ミウ)

でも、急ぐ必要はありませんね?

七面 美羽(ミウ)

あぁ、良かった。言いつけ通り、七の儀を守ってきて

宇山 珀兎(ハクト)

七の……儀?

七面 美羽(ミウ)

あら?まだ、お目覚めではありませんか?

七面 美羽(ミウ)

うーん……。少し、赤が足りなかったのでしょうか?

七面 美羽(ミウ)

せっかく、兎和子さんから教えてもらったのに……

宇山 珀兎(ハクト)

母さんから?

七面 美羽(ミウ)

ええ、これを

七面さんがビンを見せた

宇山 珀兎(ハクト)

これって……

七面 美羽(ミウ)

ハチミツリップです

七面 美羽(ミウ)

今朝、宇山くんのお母さんから頂いた

宇山 珀兎(ハクト)

母さんから?じゃあ、あのハチミツは……

宇山 珀兎(ハクト)

リップクリームだった?だから、五木さんは口に……そんな……!

七面 美羽(ミウ)

そんなこと、どうだっていいじゃないですか!

七面 美羽(ミウ)

わたしを見てください!目の前のわたしを!

七面 美羽(ミウ)

あなた様にお会いするため、七面家は先祖代々、足の小指を納めて参りました

七面 美羽(ミウ)

この血で、この肉で。七三五様に、許しを乞うてきたのです

七面さんの唇は 彼岸花のように赤くて

どくん

兎吉(トキチ)

離さんか!

七面 美羽(ミウ)

きゃっ!

兎吉(トキチ)

ええい、しぇからしか!

兎吉(トキチ)

そげなつまらんこと、しよってからに!

七面 美羽(ミウ)

兎吉様!わたしはただ、あなた様に許して頂きたくて

七面 美羽(ミウ)

この日のために、七の儀で足の小指を七三五様に捧げたんです!

兎吉(トキチ)

すらごと、こくでなか!ワシは許さん……!

兎吉(トキチ)

七三五ば、こなしよってからに!!

兎吉(トキチ)

己が罪、己が償え……

ハクトの手が 七面の首をつかんだ

七面 美羽(ミウ)

と……兎吉、さま

宇山 珀兎(ハクト)

(このままじゃあ、僕……)

宇山 珀兎(ハクト)

(七面さんを殺してしまう!)

こみ上がる怒りに 飲まれそうになった時

バンッ!

原石 六空(ムク)

なにやってんだ!その手を離せ!!

七三五様〜ツキとウサギのひめごと〜

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コメント

6

ユーザー

初コメ失礼致します…!! とっても素敵な作品、拝見させて頂きました!!主人公の方がもし私だったら…と想像すると心臓のドクンドクンの音が主人公より大きかったりして…笑 続きが待ち遠しいです…!✨

ユーザー
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