さすがにこの状況を、 黙って放置など出来る訳なく、 クラスの奴らに起こった 事態を報告した。 楡井に関しては、大粒の涙を流したまま抱きつかれた。 終いには、 「2人が抱きつけないなら、俺が変わりにいっぱいハグしますからぁっ!!」 と、代わりに抱きつく宣言をされてしまった。 この勢いには、さすがに、 俺と蘇枋2人して苦笑いを浮かべた。
クラスの奴らも、囲って俺らを抱きしめた。 久しぶりに感じた人の温度の温かさに、 級友達の優しさに、 思わず微笑んだ。
いつもだったらきっと、 真っ赤になって振り払っていただろうな。こうして人に慣れたのも、 きっと、隣で生きてくれている奴のお陰なのだろう
沢山自分を抱きしめてくれたあの頃が、懐かしくて恋しくて、 そっと目を閉じた。
蘇枋
場所は打って変わって桜の家。 何も置いてなく、殺風景だったはずの部屋は、級友達が贈ってくれた物や、 蘇枋の私物が少しずつ増えてきていた。
思い出が沢山詰まりすぎた部屋に、 蘇枋と桜は一定の距離を保って座っていた。
桜
蘇枋
桜
優しく通った声で、大丈夫。そう慰められると、とても落ち着いて なんでも大丈夫だって、 そう思えた。 それとは違い、 蘇枋が自分に対する大丈夫は、 一番胡散臭くて、 1番信用ならない。 それが一緒に過ごしていくうちに気づいたことだった。
蘇枋
蘇枋
桜
油断していた所為で、 蘇枋に思いっきり抱きつかれてしまった。 俺の匂いを嗅ぐなり、 う"っ、と蘇枋から嘔吐く様な声が聞こえた。
桜
蘇枋
桜
蘇枋
桜
こうやって軽口を叩いているも、 本格的に蘇枋の体調が悪くなってきそうなので、固く抱きついてきた腕を無理やり解き、蘇枋から逃れた。
蘇枋
蘇枋はしょんぼりとした表情をこちらに向けてきたが、あれは罠だ。 顔がいいと分かっているからこそできるそれこそ性格が悪い。 まぁ、それにいつも引っかかってしまう自分も自分なのだが。 それでも今回ばかりは引っかかる訳には行かない。
桜
蘇枋
桜
桜
蘇枋
頬に熱が昇るのを感じる。 やはりこういう色恋沙汰に慣れるのは、俺には難しい。
蘇枋
桜
蘇枋
俺に抱きつくとお前が苦しいんだぞ。 そう言おうとしてやめた。 きっと言ったとしても、 こいつは抱きつこうとするのを辞めないだろう。
桜
そう呟いた自分が、笑っていたのは、 きっとこの馬鹿すぎる恋人の所為なのだろう。 それでも、幸せだ。 幸せなんだ。
ほんとうに。
蘇枋
蘇枋
桜
蘇枋
桜君の評価があまりにも酷いっ! と蘇枋は言ってきたが、 本当のことしか言っていない。 むしろまだ優しく言った方だ。 良かったな俺が優しくて
蘇枋
やはり蘇枋には見抜かれていた様だ。 いつもの様に喋れていなかったのだろうか。
蘇枋
距離を保ちながら、 蘇枋に優しく手を握られた。 ほのかに蘇枋の体温が伝わってきて、 思わず泣きそうになった。
このままじゃ、きっとお互い限界が来るだろう。相手に全然触れられない。 近くにもいられない。 今迄じゃ考えられない距離感に、 きっと、しんどくなってしまう。
これもきっと、与えられてきた愛が多すぎたからなのだろう。
ワガママになってしまったな。 自分の恋人を困らせてしまって、
桜
呟いた声はきっと、蘇枋には届いていないだろう。 この小さな距離が、 俺の声をかき消すには十分すぎる程だから。
それにも気づかず大丈夫。そう優しく撫でてくれた手を、 忘れることはないだろう。
コメント
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今回も素敵なお話ありがとうございます🙇♀ 楡井…二人の事を一番応援してるからこそ、泣いて心配してくれてるんですよね…🥲 無理にでも触れ合おうとするところ…切ないけど愛おしすぎます 最後、あえて聞こえないように呟いたのか、はたまた蘇枋を信じているけど、運命が現れた事によって蘇枋が自分を好きじゃなくなる事を心配した桜からぽつりと溢れ出た言葉なのか…胸が締め付けられます… これからも応援してます✨
じゃあそのハグに私も混ぜて貰おうかしr(((((((((((殴