テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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魔法使いは何を唱う？

第6話 - 魔法使いの耐久配信

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2023年02月21日

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#utit

#nmmn

かえで🍁✒️

次の日……というか、今日の夜

今は、そらまふ月でゲーム放送をしてる

エペをやるんだけど、そらる先生と天月先生の2人をコーチにつけて、僕が50キルするまで終われないっていう地獄の放送

ほんとに、これを考えた人はバカだと思う

まふまふ

（……そのバカな考案者は、僕なわけだけど）

さっきから一試合の平均キル数が 0.5とかだし、２人にキルを持っていかれるし、死にまくるし……

天月

『まふ君そっち敵いるよ！』

まふまふ

どっち！？

天ちゃんからの報告を聞いて、慌てて視界を左右に動かす

そらる

『後ろピン刺してる！』

まふまふ

あ、あっち……

そらるさんにもそう言われて、すぐに後ろに振り返った

……って！？

まふまふ

あ〜！　死んだ〜っ！！

気付くのが遅かったせいで、僕の方が敵に倒されてしまった

さらに、確キルまでされる始末

天月

『まふくーん！』

そらる

『リスポできそう？』

僕をリスポーンする為に、そらるさんがバナーを拾ってくれる

天月

『周りの敵倒しといたんでここら辺安全です』

いや何その発言。天ちゃん強すぎでしょ

そらる

『……よし、まふまふ戻ってこーい』

近くにあったリスポーンビーコンで、すぐに蘇生をしてもらえた

まふまふ

ありがとうございます……！

周りから武器と装備を拾い集めて、 2人と合流する

まふまふ

（こんな時、桃雪華があればすぐ倒せるんだけどなぁ……）

実際僕は、遠距離の銃撃戦より、剣で戦う近接戦の方が得意だし……

そう考えると、そらるさんがこのゲームで強いのは、現実でも遠い距離での戦闘が得意だから……？

そらる

『あ、そこ別パでやり合ってる。まふ行ってキル取ってこい！』

まふまふ

了解です！

そらるさんが僕のことを“まふ”って縮めて呼んでくるのは、闇生物や闇使いと戦ってる時ぐらい

だけど、今そう呼んでくるってことは、それぐらい切羽詰まってる状況ってこと

まふまふ

（僕だって、早くキルを集めて寝たいっ……！）

必死の思いで、そらるさんがピンを刺してくれたところに行く

すると、言ってた通り2ヶ所の部隊が銃を撃ち合っていた

まふまふ

……っよし、1キル！！

天月

『ナイスー！』

その後も激戦で瀕死のプレイヤーを倒して、合計3キルも稼げた

まふまふ

このまま全員……って、え！？　これどっから撃たれてんの！？

キル数を稼げて安心していると、また何処かから弾が飛んでくる

い、一体どこから……！？

……あ、そっちか！

まふまふ

とりあえず回復……っだあああ！！

回復が間に合わなくて、また倒されてしまった

まふまふ

（こんの敵ぃっ……！！）

“アイス──

まふまふ

……っ！　あ、あっぶな……！？

はっと気づいて、いつの間にかパソコンの画面に向けていた左手を慌てて引っ込める

危うくパソコンに向かって魔法打つとこだった……！

天月

『また死んでる〜！』

そらる

『キルどんぐらい取れた？』

まふまふ

えーっと……あ、4！

天月

『おー！　めっちゃ稼げてるじゃん！』

そらる

『ナイス……！』

天ちゃんの元気そうな声と、そらるさんの心の底から出たような声が、ヘッドホン越しに聞こえる

ちなみに今の合計キル数は、さっきのを足して7

そして、放送が始まってから 1時間が経過してる

まふまふ

（このペースは、流石にヤバい……！）

このままだと、ガチで明日の朝までやることになるんじゃ……

6時間後……

まふまふ

あ、あと3キル……！

現在時刻は午前4時

ここまで一体何試合重ねてきたのか、記憶が曖昧になってきた……

ここまで、休憩は挟んでるけどぶっ続けでやってるし、かなり眠くてみんな集中力も切れてきてる

天月

『もうちょっとだぁ〜！』

そらる

『次で絶対終わらせるぞ！』

まふまふ

お〜っ！！

そらるさんの言う通り、この試合で絶対最後にしてやる……！！

じゃないと、深夜どころかこんな早朝まで付き合ってくれてる２人とリスナーさん達に、ほんっとーに申し訳ないっ……！

天月

『僕左行きま〜す』

そらる

『俺右』

まふまふ

真ん中行きます！

それぞれ別々の場所に散って、まずは物資集めをする

大体整ってきた頃に、合流して移動開始

そらる

『ピン刺したとこ敵いる』

天月

『まふ君行けそう？』

まふまふ

行けるっ！

しっかり銃を構えて、物陰から撃つ

すると相手がそれに気づいて、銃撃戦開始

天月

『あのレイスもう倒せるよ！』

まふまふ

了解っ！

天ちゃんの声の通り、レイスに標準を定める

まふまふ

（だからと言って、そんな簡単に撃てるわけではないけど……）

まふまふ

……あ、倒せたっ！！

そらる

『ナイス！！』

今までのエイム練習のおかげか、たまたま当たったまぐれか、無事1人倒すことができた

それなら、残りの敵はあと2人！

天月

『あっ、そらるさん、そっち危ないです！』

そらる

『え？　……あっ！！』

パシュッ、という音と共に、そらるさんの使っているキャラが地面に這いつくばる体勢になった

まずい、そらるさんが倒された……！

そらる

『……チッ……』

倒された恨みなのか、長時間続けているストレスなのか、珍しいそらるさんの舌打ちが聞こえる

ドスッ

まふまふ

（……え？）

えっ、今の音何……？

そらる

『あっ……』

しかも「あっ」って何……！？

天月

『……？　そらるさん大丈夫ですかー？』

そらる

『あ〜……うん、物落としただけ』

いや、絶対違う

イラついて部屋の壁に “アクアナイフ”か何か打ったんでしょ

多分、今のそらるさんの威力だと壁に穴が開くやつ

天月

『びっくりした〜……って死んだああ！』

さっきの騒動で油断していたのか、天ちゃんまで倒されてしまった

まふまふ

天ちゃーん！

まふまふ

（こ、これはヤバい……！）

2人が削ってくれてるとはいえ、流石に1v2はキツい

僕にできるか……？

……いや、できるかできないかじゃない、やってやるっ！！

あともうちょっとなんだ、気合いで押し切れば……！！

まふまふ

……よしっ、１人倒した！！

天月

『ナイス！　あと１人ー！！』

そらる

『焦って死ぬなよ！』

まふまふ

はい！！

一旦物陰に隠れて、体力を回復する

まふまふ

（落ち着いて、落ち着いて……よし！！）

物陰から飛び出して、もう一度撃つ

……アーマー割った！！

あともう少しっ……！

天月

『いけるいける！　まふ君頑張れーっ！』

そらる

『マジで終わらせてくれ……！！』

まふまふ

くっ……！

あと1キルで終わりなんだっ……！！

まふまふ

……っ！

まふまふ

倒したぁぁぁ！！！

画面にキルログが流れた瞬間、コントローラーから手を離して、椅子の背もたれにもたれかかった

まふまふ

お、終わったぞ、みんなぁ……！！

そらる

『ナイスっ！！』

天月

『50きたあああ！！』

うぅ……もう無理……眠い、限界……

まふまふ

あ、死んだ……

もたれたままゲームを放置していたら、通りかかった敵に撃たれて倒されていた

まふまふ

お、お疲れ様でしたぁ……！！

残った力でなんとか締めて、配信を切った

彼方

『もう４時じゃん……』

真冬

こんな時間までありがとうございました……

翔太

『おやすみなさ〜い……』

2人との通話も切って、ベッドまで行ってバタッと倒れる

真冬

……あ、いろぽて……

いつの間にか僕の隣で、いろはとぽてとが丸くなって寝ていた

真冬

おやすみ……

〜彼方 side〜

彼方

……

つい、イラッときてやってしまった

俺の目の前には、壁の向こうのリビングが見える、小さな穴がひとつ

彼方

マジか……

そう言いながら、思わず苦笑してしまう

たしかに俺は、魔法使いをやってかなり経つし、上位使いにもなって魔法戦も得意

並大抵の使いより強い自覚もあった