魔法使いは何を唱う？

〜真冬 side〜

何だか最近、戦う頻度が 高くなってる気がする

って言うのも、いつも僕らの 出かけた先で、何故かタイミング良く 闇魔法生物が現れるんだよね

いや、流石にそんなことは ないだろうけど……

ちなみに今は、そらまふ月で エペの練習中

また2人にコーチになってもらって、 特訓してるんだ

不意に、天ちゃんが話しかけてきた

“魔法”という単語を聞いて、思わず コントローラーを操作していた手を 止めてしまった

あ、天ちゃん、 これ冗談で言ってる……！？

あはは、と薄ら笑いを浮かべつつ、 そう答える

闇使いにバレない為に、 自分達が魔法使いなのは、たとえ 身内であっても極力隠すようにって、 ノアさんに言われている

誰が敵なのかは分からないし、 自分の感情だけでどうこうできる 問題じゃないからね

それにしてもびっくりした……

……ん？　“僕も使える”……？

さっき以上に驚いてしまって、 ガタッと音を立てて、椅子から 立ち上がってしまった

……多分、音的にそらるさんも？

ま、まさか、本当に天ちゃんも 魔法使い……！？

不意に、チリン、という鈴の音が鳴る

そして、何故か天ちゃんの声が、 ヘッドホン越しじゃなく 真後ろから聞こえた

ガタッという音と、僅かに ドアが開いたような音も ヘッドホンから聞こえる

後ろを振り返るとそこには、 いつの間にか得意げな顔をした 天ちゃんが立っていた

鈴の音の正体は、いつも天ちゃんが 付けてる赤い耳飾りについた、 小さな鈴だったらしい

ってことは……

ボソッと言ったつもりだったけど、 聞こえてしまっていたらしい

ピンポー……ガチャッ

突然聞こえた、ややフライング気味で 開いたような玄関のドアらしき音

ガチャッ

立て続けに、僕らが今いる 防音室のドアも開いた

って、音の正体全部 そらるさんだったのか……

……いくら合鍵を渡してるから とはいえ、フライング気味で 人の家に入ってくるのは 流石にどうかと思うけど

言い当てられて、思わず肩を びくりと揺らしてしまう

ちらっとそらるさんの方を 見てみると、心当たりがあるのか、 「ゔっ……」と顔を歪ませていた

たしかにあれは、見事なやらかし具合 だったなぁ……ってそうじゃなくて！

ここまでバレたら、もう……

観念したように白状したそらるさんに 続いて、僕も苦笑しながら頷いた

敵の闇魔法と対称の存在の、光魔法

闇生物とか闇使いに、一番有効で ダメージを与えられる属性が光なんだ

それに、さっきみたいに 瞬間移動とかもできるし、単純に 魔法属性の中で一番強い

懐かしいなぁ、あれからもう 3年も経ったのか……

あの時は、本当に びっくりしたっけ──