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ショウ
まさか、お前が不倫するなんてな。
ショウ
思いもしなかったわ。
ミソノ
しょうがないんじゃない？
ミソノ
愛してくれない、あんたが悪いんだから。
ショウ
本気でそう思ってるのか？
ミソノ
本気よー！？
ミソノ
いっつも猫ばっかり。
ショウ
猫は関係ねぇだろ。
ミソノ
私と暮らしてるのに、まずは猫のお世話から始まるわよね？
ミソノ
それ、つまり猫に負けてるっていうことでしょ、私。
ショウ
思い込み激しすぎだろう…
ミソノ
どうせ？猫の方が好きなんだったら、私は私で好きにしようかなって。
ミソノ
直感できたわけ。
ショウ
だからって不倫に走るか？
ミソノ
するわよ～
ショウ
そんなに、俺が嫌だったなら、離婚届出してからでよかったよな？
ミソノ
あんたが猫しか構ってなかったから、そんな話を持ち込む気すらなかったわ！
ミソノ
ま、おかげさまで良い男に出会えたから、結果おーらいってとこかしらｗ
ショウ
さっきから、ほんと猫を何だと思ってるんだよ。
ミソノ
いらない動物だと思ってるわ。
ショウ
おま！それ以上言ったら許さねぇからな！
ミソノ
はいはいはい。
ミソノ
猫ちゃんに失礼いたしました～
ショウ
まぁいい。
ショウ
それじゃあ、話は慰謝料についてしようか。
ミソノ
あー、それなんだけど、ちょっと待ってもらっていい？
ショウ
は？待つってなんだよ。
ミソノ
その支払い、3年は待ってほしいんだけど、いい？
ショウ
3年！？どういうことだよ！
ショウ
なんでそんなに待たなきゃならないわけ！？
ミソノ
ちょっと事情があってさ？
ミソノ
筋もちゃんとあって、必ずお金は用意できるの！
ショウ
筋？どんなだよ？
ショウ
いやいや、意味わかんねーし。
ミソノ
その相場の倍を支払うってことでもいいの！
ショウ
説明が足りないわ。
ミソノ
彼と一緒に飲食店を開きたいと考えててさ。
ショウ
店を構える？
ミソノ
そうなの。
ミソノ
これからだから、それにかかるたくさんの費用があって。
ショウ
だからなんだよ。
ミソノ
お店ができて、そのあとに慰謝料の支払いをしたいの。
ショウ
なんだそれ、その勝手な理屈。
ショウ
妄想話もいい加減にしてくれないか？
ミソノ
絶対に儲かるからさ！
ショウ
どこにそんな根拠がある？
ミソノ
今、世間では脱マスクになってきてるでしょ？
ミソノ
ここ3年ぐらい、飲食店は危機だったけど、これからは右肩上がりだと思うの！
ミソノ
私たちが開くお店を、その波に乗って良い結果を出そう！っていう話！
ショウ
全然意味が分からないんですけど。
ショウ
お前はアホなのか？
ミソノ
アホとか酷くない！？
ショウ
そんな簡単に客が入るわけないだろ？
ショウ
それはそれ、慰謝料を先延ばしにするのは関係ないことだ。
ミソノ
その儲かったお金で、倍にして返すよ？
ショウ
さっきも言ったけど、その非現実的な考えはやめてくれ。
ショウ
俺は現実的な話をきちんとしたいわけな。
ミソノ
そこをなんとかならない？
ショウ
待つわけないだろ、3年もだぞ？
ショウ
保証もないのに。
ミソノ
どうしてよー！
ショウ
頭いかれるようになったか？
ミソノ
倍にして渡すって言ってるじゃない！
ショウ
お前らのそんな夢に付き合ってられるかつうの。
ショウ
無理。すぐに支払え！
ミソノ
なによ！ケチ！人でなし！金の亡者！
ショウ
おーおー、どうにでも言ってくれ。
ショウ
俺はきちんとお金の管理がしたいってだけだ。
ミソノ
あなたって、そんなに冷たい人だったのね！
ミソノ
(´；ω；`)ｳｩｩ
ショウ
そんな顔文字送ってきても無駄。
ショウ
冷たくねぇし、お前よりは冷静で賢い人間だと思ってるよ。
ミソノ
あ、その猫、私が購入したわよね？
ミソノ
じゃあつまり、ペットの所有権は私にあるわよね？
ショウ
は？なんだよ、何が言いたい？
ミソノ
その猫は、私が引き取るから。
ショウ
は！・
ショウ
何言ってんだ、お前！
ミソノ
所有権は私なんだから、別にどうしろと構わないでしょう？
ショウ
所有権とか、勝手に決めるなよ！
ショウ
ずっと世話や可愛がってたのは、俺だけだっただろう！？
ミソノ
そうかもね？
ミソノ
でも、私にどうするか権利があるので、そんなこと通用しませーんｗ
ショウ
ふざけんな！
ミソノ
そんなにこの猫が好きなのねｗｗ
ショウ
当たり前だろ！
ショウ
お前より可愛いわ！
ミソノ
ほんと、最低！！
ミソノ
なら、交換条件ね。
ショウ
交換条件？
ミソノ
一緒に飼っていた猫を引き取りたいなら、慰謝料は3年後まで待ってくれる？
ショウ
ふざけんな！
ショウ
卑怯だろ！
ミソノ
猫かお金をとるか、どうする？
ミソノ
ここまでの経緯でいったら、猫を優先するのは当然よねぇ？ｗ
ショウ
お前、人として最低だぞ？
ミソノ
最低？やめてよね、その誤解はｗ
ミソノ
あ～でも、飲食店を経営するのに、猫は邪魔かな～。
ショウ
は？どういうことだよ。
ミソノ
保健所に渡そうかな。
ミソノ
万が一、厨房とかに入られても困るしね。
ショウ
保健所は絶対にやめろ！
ミソノ
じゃあ、猫を引き取って、慰謝料は3年後ってことでいいかしら？
ショウ
ほんと、何なんだよお前！
ミソノ
ねー、どうするの？
ミソノ
猫取るの？金取るの？
ショウ
くそ！
ショウ
わかった、慰謝料は待つ。
ショウ
だが、猫は絶対に保健所へは渡すなよ！！
ミソノ
お！じゃあ、決まりね！
～翌日～
ミソノ
ちょっと！
ミソノ
夫婦共有にしてる、貯金が無くなってるのよ！
ミソノ
どうして！？
ミソノ
聞いてるの！？
ミソノ
ねぇってば！
ショウ
なんだよ、連続にライン送るな、うるさいわ。
ショウ
騒がしいなぁ。
ミソノ
だから、なんで無くなってるのって聞いてるんだけど！
ショウ
無くなってるんじゃねぇ。無くしたんだよ。
ミソノ
無くした？どういうことなの？
ショウ
お前、普段は専業主婦だったよな？
ミソノ
そうだけど？
ショウ
じゃあ、どうしたらいつも大金が一定に減額する？
ミソノ
そんな減ってたかしら？
ショウ
とぼけるんじゃねぇよ。
ミソノ
何言ってるのかさっぱり。
ショウ
お前なぁ。知ってるぞ？
ショウ
不倫相手との密会にいつも使ってただろ。
ミソノ
まぁ、少しは、使ってたけど。
ショウ
認めるんだな。
ショウ
でも少しどころじゃないはずだ。何十万と抜け落ちてるんだよ。
ミソノ
あらあら～、ばれちゃった。
ミソノ
まぁまぁ、そんなもんでしょ。
ショウ
そんなもんってなんだ。
ミソノ
使いたいときに使わせてもらったってだけ。
ミソノ
悪い？
ショウ
なんでそんな平然とできるんだ？
ミソノ
だって、結局は何に使おうが、共有だったんだから。
ミソノ
自由だったわけだし？
ショウ
そんなやつに、渡せるお金はあるわけねぇんだわ。
ショウ
これまでの財産共有に補填しといたので。
ミソノ
ちょ、共有っていうんだから、私にももらえる権利あるでしょう！
ショウ
よくその立場で言えるもんだな？
ショウ
不倫した側と折半するとでも？
ミソノ
そういうのは普通でしょーよ！
ショウ
するはずねぇし、ありえねぇ。
ミソノ
勘弁してよ…！
ミソノ
その貯金も使おうとしたのに！
ショウ
使う？何にだ
ミソノ
開業資金に回そうとしたのよ！
ショウ
はぁ？開業資金？
ミソノ
そうよ？
ミソノ
だって、すごい貯金してたもんね？
ミソノ
こんな時にこそ、使わなきゃもったいないと思って。
ショウ
俺らの貯金を、あんたらの店のために使おうとしてた？
ショウ
ふざけたやろーだわ
ミソノ
ってかこれじゃ、資金代が無いじゃない…どうしたらいいの！
ミソノ
彼になんて連絡したら…
ショウ
知らねぇよ。
ショウ
そもそも、この貯金でやろうとしてたあんたの考えが、どうかしてるわ。
ミソノ
そういう約束で、彼にも伝えちゃったし。
ミソノ
あー！ほんと、余計なことしてくれたわね！
ショウ
はぁ？何を言い出すかと思えば
ショウ
俺が余計なことをしただって？ｗ
ミソノ
そうよ！
ショウ
逆切れするあんたがおかしいわ。
ミソノ
どうにかして！
ショウ
どうにもできませーん。
～一年後～
ミソノ
ショウ？
ミソノ
ちょっと聞いてるー？
ミソノ
ちょっと？
ミソノ
なに、私のことブロックしてるわけ？
ショウ
なに
ミソノ
よかった～
ミソノ
連絡が全く取れなかったら、どうしようかと焦ったよ。
ミソノ
ねぇ、ちょっと相談があるんだけど、いい？
ミソノ
一年前に言ってた、彼と連絡が全く取れなくなっちゃって…
ショウ
へー
ミソノ
もう、ずっとメールしたり電話したり、いろいろしててもダメ…
ミソノ
もうどうしたらいいかわからないの。
ショウ
だから？
ミソノ
助けてほしいのよ。
ショウ
弁護士から、そいつに電話させといたよ。
ミソノ
へ？
ミソノ
べ、弁護士！？
ショウ
そ。
ミソノ
ちょ、なに、どういうことなの？
ミソノ
説明してよ！
ショウ
開業準備の進み具合とかの情報、俺の友人経由で知ってたからな。
ミソノ
え、ちょ、いつの間に！？
ショウ
その彼、ホストしてたんだって？
ミソノ
そ、そうなの。
ショウ
弁護士が一本かけたら、即しっぽ巻いて逃げたみたいじゃん。
ミソノ
そんな…
ミソノ
お店一緒にやってみたいねって、彼は言ってくれたのよ？
ショウ
そんなの、営業向けの社交辞令に決まってる。
ミソノ
私、すごく嬉しくって…
ショウ
まんまと騙されたってわけだ。
ミソノ
そ、そんな…
ミソノ
いろんな物件とか見てみたりしてたのに。
ショウ
真に受けてる、あんたが悪い。
ショウ
それって、その彼ときちんと物件探してたのか？
ミソノ
全部がそうってわけじゃなくて、たまに時間が合うときはってだけ…
ショウ
もうその、たまにっていう時点で気づかない？
ショウ
大事なお店の物件で、なーなーに対応する大人がどこにいる？
ミソノ
もう、そんな心理的なところまで、頭になかったわよ…！
ショウ
恋の病ってやつですか。
ショウ
好きすぎて、周りが見えなくなっちゃうっていう。
ミソノ
彼、すごく優しかったの。
ミソノ
私のこと、いつも優先してくれて。
ショウ
夫である俺がいるここで、よくその言葉を出せたもんだ…
ミソノ
でも、いつもあやふやな感じで、流されてばっかで。
ミソノ
本当にお店一緒にやってくれるのか、徐々に心配になってた。
ショウ
もう、その時点で気づけばよかったものを。
ミソノ
サプライズで、見つかった物件を彼に伝えたの。
ミソノ
居抜き物件の賃貸契約まで済ましたのよ？
ショウ
なんで一人で進めたんだよ。
ミソノ
だって…
ショウ
契約が成立してしまい、引くにも引けなくなって、訴訟するはめにか。
ミソノ
だから、開業資金で借金まみれの状態…
ショウ
ま、俺には関係ない話だが。
ショウ
きちんと慰謝料は払ってもらうという約束、忘れたわけじゃないよな？
ミソノ
ちょ、この状況の話を聞いて、そんなの無理に決まってる！
ショウ
は？
ショウ
話が違わねぇか？
ショウ
3年後には倍にした金額、払うっていう約束もしてたし？
ミソノ
そんな無茶な…
ショウ
約束は約束。
ショウ
あー楽しみ。3年後は、倍にして支払ってもらえるとは。
ミソノ
ちょっと、もう少し慰謝料減らすことって…
ショウ
ダメに決まってるだろ。
ミソノ
そこをなんとか…
ショウ
きちんと”倍にして”支払ってもらうから。
ミソノ
勘弁して…
ショウ
それは俺の一番初めの気持ちです。
～後日談～
ショウ
彼女はその後、契約した物件の違約金を一人で支払うことに。
ショウ
一人の勝手な妄想と恋の病もあってか、
ショウ
お互いの気持ちがいつの間にかすれ違っていたようで…
ショウ
哀れだなと、この一件を通して俺も本当に感じてしまった。
ショウ
ま、俺とミソノの間も、とっくにすれ違っていたにもかかわらず、
ショウ
気づかぬふりをしていた、俺にも問題があったのは事実。
ショウ
反省してます。ショウも。
ショウ
俺宛ての慰謝料の支払いもあるため、現在は死に物狂いで働いているらしい。
ショウ
何回も言うが、通常決まってた支払額の倍にして出すという約束をしたし。
ショウ
俺に取っちゃあ、超絶ハッピーな話…なはずが。
ショウ
3年後の約束期限になったんだけど、結局返しきれず途方な借金地獄な日々。
ショウ
もう言葉も出ないよね。
ショウ
で、あの問題の猫ちゃんなんだけど。
ショウ
無事、我が家に戻ってまいりました！
ショウ
もう嬉しくて嬉しくて！
ショウ
やっぱこいつがいなきゃ、生きていけねぇわ。
電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
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