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ころんside
僕は、ある夢を見ていた。それも、忘れたくてやまない日の夢を。
ずっと伝えたかった。『大好き』という、たったの3文字を、あなたに。
でも、叶わなくなったこの恋心をそんなかんたんに捨てるわけには行かない。 僕の人生は一度きり。
そして、それはもうまさに終わろうとする時間。 でも、彼も人生は一度きり。
それを忘れてはならないのだ。
僕はもともと体が弱かった。
冬は毎日と言っていいほど、風を引いて、寝込んでいた。
そんな様子を見たクラスの子たちとかは、 『ズル休みしたいだけ』『嫌いな教科があるからって休むなよ』 と、反感を売ったこともあった。
僕だって、好きでこんな体になったわけじゃないし。それに、こんな僕……
大ッキライなのに…。
……そうだ、嫌いだ。こんな僕なんか大きらいだからこそ、偽ってた。
高校に入った頃から、みんなに好かれる 『お調子者の、さとみ先輩が好きなころん』で生きてきた。
体が弱いことを悟られぬように。
正直、最初はさとみ先輩のことなんかどうでも良かった。 誰かと恋愛がしたくて、ここの高校に入ってきたわけだし。
でも、女の子にしか興味がない僕は、男なんて見なかった。先輩なら尚更。
でも、あの日見てしまった。いや、気づいてしまった。
白い肌。ぱっちり二重の大きな目。そして、何より彼を主張させるような、 そんな彼の声に僕は魅了された。
どんな可愛いモデルより、どんなにかわいい女の子より、彼に惹かれた。
そして、そこから僕の目線の先にはいつも先輩が映るようになった。
『あの人と一生を過ごしたい』
そう願う日々もまた素敵だった。 けれども、そんな僕の儚い願いは叶わなかった。
医者
医者から告げられたあの言葉が忘れられない。僕は近いうちに死ぬ。 それだけがわかっている状態。
なら、、この命を使ってまで、自分が思う、最高の未来風景を作ってやろう。
僕は、そんなに近いうちに死ぬなら、早めにアプローチしたほうが良いかと考 え、さとみ先輩に振り向いてもらえるように、必死に頑張った。
だから、いつか先輩も僕のことを意識してくれる!なんて、都合のいい話、あるわけないのにね。 想像してた僕がバカみたい。
先輩は、僕の気持ちを嘘だと思い込み、気持ち悪いだのうざいだの、だんだんと暴言を履くようになった。
僕は、表情だけでは、ただ大丈夫な"フリ"をしていた。心の中までは知らないくせに、そんなこと言いやがって。
僕だって人間だ。好きな人に少しくらい怒るのはいいだろ?許してくれよ。
なぁ……お願いだ……。お願いだから、あの人と過ごす時間をもう少しください………。お願いします……。