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僕らのバースディ

1 - 僕らのバースディ 第1話

♥

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2019年06月27日

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──この物語は「僕」の物語だ

僕は毎年、誕生日になると父親と一緒に

北関東にある山寺へ行くのが恒例行事になっていた

父親

いつ来てもここの山道はきついな

うん、そうだね

山寺へ向かうまでは、かなり急な山道と階段を登らなければならなかった

秋になり涼しくなってはいたが、父さんの額には汗が滲んでいた

あ、やっと見えてきた

父親

よし、あと少しだ

父親

尼僧が掃除をしながら

父親

私たちを待ってくれているようだ

毎年思うけど、ここのお寺の尼僧さんって

よく似ているね

父親

…確かによく似ている、かもな

尼僧

こんにちは

こんにちは

尼僧

よくお越しくださいました

尼僧

住職が本堂でお待ちです

尼僧

どうぞ中へ

僕と父さんは尼僧二人に

本堂へと案内された

父親

やあ、住職。お久しぶり

住職さん、こんにちは

住職

お二人ともお久しぶりです

住職は父さんの親戚らしく、髪型以外はよく似ていた

住職

お疲れでしょうから、まずはお茶でも飲んでください

尼僧

どうぞ、冷たい緑茶です

父親

住職、今日はよろしく頼むよ

住職

ええ、承知しております

住職

──今日は、君に大事な話がある

僕に?ですか?

住職

ああ、君の人生に大きく関わる話だ

住職

落ち着いて、真剣に聞いてくれるかい?

僕の人生に関わる…

父親

いつもと同じ誕生日じゃないぞ

父親

今年はそのためにこの寺に来たんだ

分かった。僕、その話聞くよ

住職

よし。では話そう、君の出生の秘密を

気づくと、十数人の尼僧が本堂の中で横並びに立っていた

やはり皆若く、着ている袈裟のせいもあり

よく似ているように見えた

父親

大丈夫だ、気持ちを落ち着かせろ

僕の秘密…

父親

ああ、今まで秘密にしていたお前の話だ…

僕はなぜか不安になり、父さんの顔を見ることができなかった

夜・人気のないキャンプ場

桐谷時生

本当に月が綺麗な夜だ

桐谷時生

できれば、重く曇っている夜空のほうが良かったな

今日は僕の『誕生日』だ

桐谷時生

そろそろだな

桐谷時生

一日中緊張しているのにはもう疲れたな…

僕の手にはナイフがある

月明かりをわざと反射させて鈍い光を見つめた

桐谷時生

(僕には殺さないといけない相手がいる)

桐谷時生

(だから僕は14歳の誕生日から)

桐谷時生

(3年間、誕生日の夜はひとりで過ごしている)

桐谷時生

絶対に

桐谷時生

絶対に殺す

桐谷時生

絶対に絶対に殺す

桐谷時生

“今年”も絶対に殺す!

桐谷時生

本当にごめんな

桐谷時生

殺される方の、僕──

4年前・時生13歳の誕生日の夜

桐谷時生

はあ、宿題やるのだるいなー

桐谷時生

それにしても、あれからもう一年かぁ

桐谷時生

早いもんだな

僕はベッドで横になり、スマホを見た

桐谷時生

なんだ、誕生日のお祝いメッセ、誰からもきてないじゃん

桐谷時生

もしかしたら、花菜から来てるかもと思ったんだけどな

桐谷時生

期待して損したな

桐谷時生

──え?

桐谷時生

え?

桐谷時生

あれ、うそ…

僕は目を疑った

桐谷時生

指が増えてる?え、嘘?

桐谷時生

ど、どうして、え?

思わずスマホを落とす

桐谷時生

右手の指、7本ある…?

桐谷時生

親指が2本に

桐谷時生

人差し指が2本…

桐谷時生

なんで…

桐谷時生

どうなってるんだ、これ

僕は目の錯覚だと思い

左手で目を擦ったが

左手にも違和感があった

桐谷時生

左手の指も増えている!

桐谷時生

うわぁぁぁ!

桐谷時生

鏡、鏡で見ないと…

桐谷時生

な、なんだ、視界がぼやける

やはり、目がおかしいのかと思ったが

違った

僕は悲鳴を抑えるので精一杯だった

桐谷時生

な、なんで?僕どうしちゃったんだ…

桐谷時生

僕の頭が

桐谷時生

分裂している…?

ふたつに裂けているのではなく、同じように分かれていた

桐谷時生

目が4つ?だから視界がおかしいのか…

桐谷時生

あああ、分裂が続いている

桐谷時生

ああぁぁぁああぁ!

桐谷時生

うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!

僕の体は頭と両手足から分裂をしていた

不思議なことに痛みは少ししかなかった

ふたつに増えた体が入りきらなくなって

服まで裂けはじめていた

──ミリミリミリミリ、ミリミリ

僕の耳には気持ちの悪い

肉が増えながら裂ける音が聞こえていた

桐谷時生

何だ、何が起こっているんだ

桐谷時生

僕の体に何が…!

気づくと僕は、生まれたての赤子のように

血液と粘液に塗れたまま

突然現れたもうひとりの僕と向き合っていた

桐谷時生

君は…『僕』…?

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