テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
重い沈黙が、 床に落ちたみたいに広がっていた
誰も、すぐには動かなかった 誰も、正解だったのか間違いだったのかを口にしない
——終わった。 でも、全然終わった気がしない
さとみ
その声は、確認というより 自分に言い聞かせてるみたいだった
ゆあん
莉犬
ななもり。
その言葉で、 全員の背筋が一斉に冷えた
アナウンス1
アナウンス1
えと
ジェル
アナウンス1
アナウンス1
——拒否権は、ない
まただ。 誰も喋らない。
足音だけが、やけに響く。
……さっきの議論。 みんな、 同じものを見てたはずなのに
なのに—— 見えてる景色が、違う気がした
ガチャッバタンッ
ガチャリッカチッ……
バタンッ
ガチャリッ
バタンッ……
ころん
自分の部屋に戻った瞬間、 張りつめていた空気が、 少しだけ緩む
……はずだった。
ころん
端末が、机の上で光っていた
通知
でも—— 音は、鳴っていない
画面を開く
そこに表示されていたのは、 短い、一文だけ
【——その選択、 本当に正しかった?】
ころん
心臓が、一瞬遅れて跳ねた
誰から? アナウンス? それとも——
違う。 これは、全員に送る文章じゃない
画面を閉じようとして、 指が止まる
下に、もう一行
【“彼”は、何かを残している】
……残してる?
頭の中に、 処刑前の光景が フラッシュバックする
——最後まで、 何か言いたそうだった顔
——でも、言葉にできなかった、 あの一瞬
まさか……
そのとき
ブゥ……ン……
低く、長い音。
非常灯が、一瞬だけ暗くなる
アナウンス1
同時に
ころんの端末に、 位置情報のような小さな表示が 浮かび上がった
リビングではない。 廊下でもない。
——空いているはずの、あの部屋
……これ、 見に行ったらダメなやつだろ
分かってる。 完全に、分かってる。
でも。
——もし、そこに “真実の欠片”があるなら?
ドアノブに、手を伸ばす
その瞬間、 別の部屋の前で——
誰かの足音が、止まった気がした