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中島敦

うん、うん。全然。すっごく楽しいよ

中島敦

治お兄ちゃんって、おもしろいよね

敦は自分の叔父である織田に電話をかけていた。

そこで楽しそうに話していたから、少しもやっとする。

太宰治

(……だけど、二人の間を邪魔しちゃいけないよな)

人の愛の中に勝手に入ってきてはいけない。

その人たちの間にはその人たちにしかわからないものがある。

それを部外者である太宰が容易に入り込んでしまって、迷惑になるだろう。

過度な行為こそ無駄なものはない。

中島敦

それじゃあ、うん、大丈夫。ありがとう

中島敦

またね、叔父さん

敦が通話を切る。

太宰治

……織田作とは、なに話したの?

中島敦

おださく? ……ああ、叔父さんのこと?

中島敦

んふふ、実は治お兄ちゃんのこと話してました!

太宰の顔はみるみるうちに赤く染まる。

太宰治

……僕の、どんな話?

中島敦

そうですねえ……

中島敦

治お兄ちゃんの部屋汚くて最悪! って話とか?

太宰治

悪口?

中島敦

あとはぁ、靴下を玄関先にポイってする話とか

太宰治

え、悪口だよね、悪口……

中島敦

あとは……ナルシストすぎて嫌って話とか?

太宰治

ねえ、やっぱり悪口だよね!?

太宰治

ごめんなさい! 謝るから許して……

中島敦

次しないと誓うなら許しましょう

太宰治

敦さまぁ〜

ほら。見ておくれよ。

人の関係の中に無理に入らなくとも、

こんなにも楽しいと思えるのだ。

だから、過度な行為こそ無駄なものはない。

迷惑なものはない。

だから、この関係も、兄弟以上の関係に発展していくことだってないのだ。

中島敦

……

敦はまたもや太宰の顔をじっくりと見つめる。

太宰治

……僕の顔に、何かついてる?

そう聞くと敦はとびきりの笑顔で、

中島敦

いいえ、何も!

と答える。

だが、それがまるですべてを知っている目つきに思えて

恐怖心が掻き立てられた。

太宰治

……今日の夕飯は何?

中島敦

今日は……まだ決めてません

中島敦

だから、一緒にスーパーでも行って考えませんか?

太宰治

……それ、いい考えだね

中島敦

でしょ?

太宰治

ああ、それはもう

こうしてまたなんら変わらない、平和な日常を繰り返し行うのだ。

そのたびに、敦に対する兄弟以上の思慕が止まらない。

兄弟以上の関係にはなりたくないと思いながら、

どこか自分だけ見てほしいという厄介な欲が芽吹いてしまう。

だが、思いを伝えたとしても、うまくいかなかったら、どうする?

軽視されてしまったら?

鼻で笑われてしまったら?

気持ち悪いと一蹴されてしまったら?

……立ち直れる自信がない。

敦は太宰にとって、つまらない日常を一変させる稀有な存在であり、

鮮やかな感情に浸らせる可愛らしい子なのだ。

こんなにも簡単におちてしまう太宰も太宰だが、

敦を失うことなんて考えられない。

そう。まだ会って三ヶ月しか経っていない間柄でも、

好きだと思う人を好いているこの時間がたまらなく

幸せなのだ。

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めええええtyっっちゃすきでっすすすすすうす続きまじでまってますんんでええええ!

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