episode 2
『 10歳のスイートピー』
start
朝起きて窓を開けた時 、いつもより冷たい風が流れてきた
今日はいつもより特別な日
そう 。この日は10歳の誕生日だった
もう2桁になったから 、大人に近づいたから 、今日こそ弟子にしてもらう予定だった
それど この後待っていたのは 、誕生日プレゼントでも 、ケーキでもなかった
桃
いつものスケッチブックを持ち 、空き地へ向かおうとするとお母さんが私を呼び止めた
桃
お母さんはどこか 、悲しげな表情をしていた 。
桃
まだ幼かったけれど 、よく理解できた
もう 、緑さんには会えないのだと 。
もう 、緑さんはこの世界にはいないのだと
桃
桃
桃
思い出のいつもの空き地に 、緑さんの姿はなかった
私はその場に茫然とたちつくしてしまった
いつも座っていた草むらの中も 、風が吹いているだけでどこにも緑さんの姿はなかった
桃
桃
涙が止まらなかった
最後に会うことも出来なかった 。
それもあってか余計に悲しく 、苦しかった
手の中にある2人の思い出のスケッチブックも 、どうしてかずんと重たく感じた 。
その日から 、世界は色を失ったようだった
学校でも 、家でも 。
頭の中はずっと緑さんのことでいっぱいだった
絵もかけなかった 。思い出の場所にも 、行く勇気が出なかった
そして 、スケッチブックもその日は開けずじまいだった
何を見ても 、緑さんがこの世界にいないことが信じられなかった
でも 、ある夜 不意にスケッチブックを開いた
そこには 、苦手なりに頑張って書いているような絵があった
いつも一緒に見ていたあの頃の風景 。
一緒に観察したお花
そして 、あの日緑さんが家から持ってきたと言っていたスイートピーの花のスケッチ
私と一緒に描いていることもあってか 、特別上手ってわけではなかった
でもそこには確かに 、緑さんとの思い出の風と匂いがあった
桃
心の底から悲しかった
ずっと夢で 、大人になるのがわくわくしていたのに
その時はどちらかと言えば 、時間が戻って欲しいくらいだった
気づけば 、私は泣いたまま寝てしまっていた
𝓝𝓪𝓶𝓮 : 葉月 紗夜 𝐞𝐭𝐜 .. : 桃の母 緑さんには娘がお世話になっていた
更新遅れました 🙏🏻 最近忙しいので次も遅れると思いますが30日までには全て出さないとなので頑張ります
𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝ ?
コメント
10件
jpさんだったんだ…
じゃっぴ🥹 把握! いいね押す!