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素直になりたい

第4話 - 素直になりたい 4

117

2019年08月04日

#恋愛

#転校生

#再会

#同居

Rin*

帰り道

星野美月

...ほんとにびっくりしたな

思わず、独り言がこぼれる。

星野美月

（いきなり大地が現れたりするんだもん...）

星野美月

（しかも、初めて会った人みたいに美少年になって...）

家の前に着くと、うちの車ではない白い車が止まっていた。

星野美月

（誰か来てるのかな）

星野美月

（でもお客さんなんてめずらしいな）

星野美月

（うちは両親共働きだから）

不思議に思いながら玄関を開けると、

リビングの方からはお母さん達の楽しそうな笑い声が響いている。

美月母

あ、美月、おかえり

美月父

おかえり、美月

星野美月

（なんでお父さんがいるの？）

星野美月

（朝、仕事に行ったはずだよね？）

大地父

おっ、美月！久しぶりだなぁ〜！！会わない間にこんなに大きくなって

大地母

やだ、美月ちゃんだってもう大地と同じ高校二年生なのよ？

星野美月

（どうして、大地のお父さんとお母さんが？）

星野美月

（そっか、うちの両親と大地の両親は大親友だから会いに来てくれたんだ）

星野美月

おじさん、おばさん、お久しぶりです。

大地父

10年ぶりだもんな〜

大地母

大地ね、ずっと美月ちゃんに会いたがってたのよ？

美月母

美月だって、口には出さないけど、ずっと大地くんに会いたかったのよね？

星野美月

ちょっ、お母さんっ！

大地母

あらっ、そうなの〜⁉︎嬉しいわ〜♪

大地母

あの子、昔から大きくなったら美月ちゃんと結婚するって言ってたから

星野美月

....っ

大地母

そういえば、大地にはもう会えたかしら？

星野美月

え？あ、はい。今日、うちのクラスに転校してきて...

美月母

あら〜！同じクラスになれたの？美月、良かったじゃない〜♪

星野美月

っていうか、お母さん。

星野美月

大地がうちの高校に転校してくる事、知ってたの？

美月母

もちろんよ〜

星野美月

だったら、教えてくれれば良かったのに...

美月母

美月を驚かせたかったの。どう？大地くんと再会してびっくりしたでしょ？

星野美月

...そりゃ、びっくりするよ

美月母

じゃあ、大成功ね〜♪

美月母

でもね、美月。もっと驚く事があるのよ

星野美月

....え？

美月父

そうそう、美月が聞いたら腰を抜かすぞ〜！

星野美月

なに？

星野美月

（なんか嫌な予感がするんだけど...）

美月父

実はな、お父さん。アメリカに行く事になったんだ。

星野美月

....ウソでしょ？それ本当なの？

美月父

さすがにお父さんだってそんな嘘つかないよ

星野美月

....私、転校するってこと？

美月母

美月、違うのよ。お父さんは三か月だけ出張でアメリカに行くのよ。

美月母

でも、お父さんは何も出来ない人だからお母さんもついて行こうと思うの。

星野美月

.....え？

星野美月

（じゃあ、私は一人で生活するって事？）

星野美月

（ひとりの時、お化けとか泥棒とか地震とか雷とかが来たらって思うと...）

美月母

でも、安心して。

美月母

美月が一人で不安にならないように、

美月母

大地くんに一緒に住んでもらう事にしたから。

星野美月

（この家にひとりきり....）

星野美月

（もしゴキブリが出たらどうしよう...）

星野美月

（お風呂で頭を洗ってる時に鏡に何か映ってたらどうしよう...）

星野美月

（あぁ、どうしよう...）

美月父

おーい、美月。ちゃんと聞こえてるか？

星野美月

え？ごめん、何？

美月父

だから、お父さん達がいない間だけ、

美月父

大地に一緒に住んでもらうから大丈夫だからな？

星野美月

一緒に住むっ⁉︎

美月父

年頃の娘ひとり、この家に残しておくのはお父さんもお母さんも心配なんだよ。

美月父

でも、大地が一緒に住んでくれたら、お父さんも安心して仕事ができる。

星野美月

ちょっと待ってよ、お父さん。そんな事、勝手に決めないでよ！

大地父

美月、大地がいたら防犯に役立つぞ。

大地父

昔から、どんな強い相手でも美月を守れるように武道も習ってたしな。

星野美月

（おじさんまで何言ってるの？）

星野美月

（そういう問題じゃないから）

星野美月

（なんで私に相談なしで決めちゃうのよ）

美月父

ごめんな、出張の話自体、急に決まった事だったんだ。

美月父

それに、大地と美月は将来結婚する約束もしてるし、

美月父

一緒に住んでも問題ないかと思ったんだ。

星野美月

どこがよっ。そもそも、結婚の約束って言ったって子供の頃の話でしょ⁉︎

星野美月

（うちのお父さんってバカなの⁉︎）

一ノ瀬大地

俺は“子供の頃の話”だとは思ってないけど？

星野美月

だ、大地！

一ノ瀬大地

俺がそう思う気持ちは、今も変わってないから

星野美月

...っ⁉︎

一ノ瀬大地

だから、おじさん。美月は俺の命にかえてでも守ってみせるんで、

一ノ瀬大地

安心してアメリカで仕事してきて下さい。

星野美月

....っ

美月父

大地〜、会わない間にすっかり頼もしくなったな〜！おじさん、嬉しいよ！

美月父

昔から、美月を嫁にやるなら大地しかいないと思ってたんだ。

美月父

だから、美月の事、よろしく頼むな

一ノ瀬大地

はいっ、俺に任せて下さい。

星野美月

待ってよ、まだ私は賛成したわけじゃないんだけど。

美月父

じゃあ美月もお父さん達とアメリカに行くんだな？

星野美月

それは...

星野美月

...アメリカには行かない

美月父

ってことは、美月も大地とここで暮らす事に賛成って事で良いんだな？

星野美月

....ほんとに3か月だけだからね！

星野美月

（はぁ、これからどうなるんだろ....）

つづく

素直になりたい

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