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涼馬
よう、乙葉っち
乙葉
涼馬くん？ 帰ったんじゃないの？
涼馬
忘れ物した
乙葉
え、また？
乙葉
昨日もだったよね？ その前も
涼馬
まあな
涼馬
俺のチャームポイント （笑）
乙葉
チャームポイントって……
涼馬
乙葉っちは今日もここで読書？
乙葉
まあね。一番落ち着くんだ、読書が
涼馬
ふーん
涼馬
なんの本が好きなの？
涼馬
あれ、前も聞いたっけ、この話
乙葉
したよ
乙葉
ちゃんと覚えててよ
涼馬
悪い悪い
涼馬
じゃあな、乙葉っち
乙葉
涼馬くん！ 忘れ物は！？
涼馬
ああ、忘れてた 笑
乙葉
忘れ物を忘れるって……ホントに鈍感だね
涼馬
知ってる～
涼馬
今度こそじゃあな！
乙葉
うん、明日ね
次の日
涼馬
よう、乙葉っち！
乙葉
涼馬くん？
乙葉
また忘れ物……？
涼馬
いやあ、俺の忘れっぷりには困ったもんだね
涼馬
どうしたら直るものかと考え続けること１７年
乙葉
今日は何を忘れたの？
涼馬
カバン……！
乙葉
えっ……
乙葉
ああ、そうなんだ
涼馬
絶対今馬鹿にしただろー
涼馬
まあ、実際馬鹿だけどさ Ｗ
乙葉
どうしてそんなに忘れ物するの？
乙葉
逆に怖い
涼馬
そうだな……。
涼馬
俺、ホントはさ……
乙葉
ん？
涼馬
っ……
涼馬
何でもない。俺の忘れ物がひどいのは、俺が単にだらしないだけ
乙葉
そっか
涼馬
……乙葉っち
涼馬
好きな奴とかいるの？
乙葉
へっ？
乙葉
ど、どうしたの？ いきなり……
涼馬
……別にいいや
涼馬
じゃ、乙葉っちも気を付けろよ
涼馬
じゃあな！
乙葉
ありがとう、またね
そんな日常が続き、１年……
涼馬
また会ったな、乙葉っち
乙葉
またかい
乙葉
今日はノートでしょ？
涼馬
お、正解。なんで分かったの？
乙葉
なんでだろうねー？
涼馬
今じゃ乙葉っちが俺のこと一番分かってんじゃないの？
乙葉
１年も涼馬くんの忘れ物見てきてるからね……笑
乙葉
あ、今日は早く帰るんだった
乙葉
ごめん、涼馬くん、またね
涼馬
あ、乙葉っち！！
乙葉
ん？
涼馬
っ……。
涼馬
１年前から俺、毎日のように忘れ物してるけどさ……
涼馬
ホントはさ……わざとなんだよね……
涼馬
俺、忘れ物なんかしない。普段は
乙葉
えっ……？ そうだったの？
涼馬
うん、ごめん、嘘ついてて……
乙葉
私は別に構わないよ……？
乙葉
けど、どうしてそんなこと？
涼馬
乙葉っちと二人で話したくて
涼馬
乙葉っちと話すキッカケ作ってた
涼馬
俺、乙葉っちが好きなんだ
乙葉
！？
乙葉
好き？
涼馬
……嘘じゃない。これだけは
涼馬
……今日の忘れ物は、１年前からずっと言い忘れてたこと
涼馬
乙葉っちのことが好きでした
乙葉
涼馬くん……
涼馬
こんな、嘘ばっかついてる俺だけど……
涼馬
もし、よかったら……
涼馬
よかったら…………
涼馬
俺とっ……付き合ってくださいっ！
乙葉
……。
涼馬
返事はまだ……いいから
涼馬
……ごめん、引き止めて！
乙葉
返事なら決まってるよ
涼馬
えっ！
乙葉
返事後回しにしたら、涼馬くん、忘れちゃうでしょ
涼馬
……あはっ……
涼馬
……返事は…………？
涼馬
やっぱ、駄目だよな……
乙葉
ううん、駄目じゃない。
涼馬
えっ？
乙葉
いいよ、付き合っても……
涼馬
……ええええ！？
乙葉
私も、ずっとずっと、涼馬くんのことが……。
乙葉
……私も、涼馬くんのことが、好きです
乙葉
私と、付き合ってください
涼馬
電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
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