テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

一覧ページ

アシンメトリー□□パペット.

第26話 - 染まれるってことを

338

2023年11月20日

#一次創作

#葛藤

#日常

#仮面

#笑顔

#人間

四阿朧

柑奈と出会ったのは音楽室

柑奈

あれぇ、こんなとこに人がいるなんて珍しい

白玖

…あ？

柑奈

ひとり？

この頃の俺はまだ入学当初なのもあって、正直イライラしてた

だけど恐怖を浮かべず俺に話しかけてきたから少しだけ興味を持った

柑奈

ウチもひとりになりたいとき来るんだぁ

白玖

…

なら退いたほうがいいかと思った

だから俺は立ち上がった

柑奈

あ、待って待って、話そうよ

白玖

ひとりになりてーんじゃねえの？

柑奈

そーだったんだけど、人がいたなら人と話すよ

柑奈

ウチ喋るの大好きだから！

白玖

…ふーん

白玖

よく分かんねえ

歳とかは知らなくて、あとから年上だったと知った

柑奈のてきとうな性格だったから、その後もタメでいーよって言われてそのまま

それからもずっと、お互い"楽な話し相手"

柑奈

どこ行くの白玖くん

柑奈

こんなとこで会うなんてびっくりだよ

白玖

そーだな

白玖

俺はまあ…ちょっと、先輩に呼ばれて

柑奈

…先輩？水高の？

白玖

そ

柑奈

…そっか

柑奈

ウチは帰るとこだから！

白玖

ふーん、じゃな

柑奈

ばいば〜い！

白玖

（…？どこ行ってたんだ？）

白玖

（まいっか）

幸太センパイ

はい、お菓子な、食べていいから

幸太センパイ

それで…雅とは会えた？

白玖

雅に聞けばいいじゃないですか

白玖

…いただきます

幸太センパイ

どうぞー、うん、そうなんだけど

幸太センパイ

雅たぶん、オレにそういうこと話してくれねーだろうし

白玖

…なんでですか？

幸太センパイ

なんとなくな

幸太センパイ

ほら、スカしたとこしか見せないヤツだろ

幸太センパイ

白玖くんみたいなちゃんとした友達のことは気恥ずかしくて教えてくれないだろーなー

白玖

…ああ

白玖

そういう…

咀嚼していたクッキーを飲み込むと俺はじっとセンパイを見た

白玖

センパイは…

白玖

どうやって、友達作ってるんですか

幸太センパイ

………へ？

白玖

…っ、悪いかよ…っ

幸太センパイ

あ、いやいやいや！！ちょ、さすがにそんなこと言われると思ってなくて

幸太センパイ

驚いた…っていうか白玖くん、友達ほしかったんだ？

白玖

違っ…くは、ねえけど…

白玖

受け身だからダメなんだろうなって…

白玖

なんつーか…いい加減アイツに頼りすぎちゃよくないって思ったんです

幸太センパイ

雅はそっちの方が嬉しいと思うけど？

白玖

…今は、ですよね

幸太センパイ

…へえ

幸太センパイ

そういうところ、見えてるんだ

センパイは分かりやすく、目を見開いた

白玖

…は？

幸太センパイ

失礼だったらごめんね

幸太センパイ

でも白玖くんって人の内とか配慮して動いてるようには見えないから

幸太センパイ

そういうまっすぐなところがいいところなんだけどね

白玖

…まあ、そう、なんすけど…いいところとは思ってないです

白玖

でもアイツが…雅がヘラヘラしてて、楽しくなさそうなことくらいは分かるんです

白玖

だから今度は俺が、救いたい

幸太センパイ

今度は…か

幸太センパイ

いいと思うよ

幸太センパイ

で、友達を作るところから始めるの？

白玖

コミュニケーション能力…っつーのもあるけど

白玖

やっぱ、引っ張り上げるなら説得力がいる。

『普段はてきとうに誤魔化すんだけど…今回は教えざるを得ないなぁ』

『気持ちにまっすぐ素直でちゃんと親友な白玖くんにしか、アイツは救えないと思うから』

白玖

…なぁ

白玖

なー

白玖

…

ぼうっと教室の隅を眺めていると委員会表が目に入った

白玖

（あ、そうだ、名前）

白玖

なあ春馬！

春馬

うえ！？な、なに俺！？

春馬

…ごめんもしかして俺ずっと無視してた？

白玖

…まあ

白玖

あの…さ、これ…

『白玖くんの場合は特に何か考える必要なんてないよ』

『きっかけなんてなんでもいい』

『人は結局自分を必要としてくれたり好いてくれる人を好む』

『その上で個性とかギャップとか、自分にしかない魅力』

『…どれも、白玖くんは持ってるよ』

白玖

（…難しいことはわかんねえけど）

白玖

（興味持っていろんな人と関わればいいんだよな？）

その通りになった

加えて、友達が増え本音が言いやすくなったら今までの友達ともやりやすくなった

白玖

だからぁついてくんなって！

春馬

ぜってー女だろ！いっしょに帰るの嫌がるとか────

牧野

羽竜くんってたまに断るじゃんー！

結城

あーやしぃ、なぁ羽竜〜？

白玖

…女じゃねーし、友達だよ、他校の

牧野

え、他校に友達とかいたんだ…

白玖

いるわ！

春馬

あはは、え、中学のー？

白玖

そーだよ、だから───

雅

…白玖？

アシンメトリー□□パペット.

作品ページ

次の話を読む

この作品はいかがでしたか？

338

5件

白玖くんってほんとに言葉深追いせずにまっすぐ受け止めるタイプだね……この物語で唯一、どこにいてもおかしくないいい子なのに周りの環境のせいでうまくいかなかった感じの子…

白玖くんは柑奈さんと出会ったことで少しずつ変わり始めたけど、やっぱり幸太センパイのおかげでも変われたんだよね🤔🤔 雅くんを助けたい、って思う白玖くんの気持ちが雅くんに届くといいな…… っていうか、幸太くんのアドバイス凄すぎん！？あそこまで丁寧且つ的確なアドバイス出来るのはやっぱり人をよく見ているからなのかな、って思うと白玖くんも素敵なセンパイと出逢えて良かったな……！！って思う💭

四阿朧

プロフィール