テラーノベル
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ふーっ、ふーっ。
息が荒くなる。体力が切れる。白い軍服が赤く染まっていくのに目もくれず、ただ目の前の赤い怪物に視線をやる。
イタリア王国
あいつも体力は切れかけだとは思うが、これだけの数を相手にまだ戦えるだと?...冗談じゃない。イオはギリッと歯ぎしりをした。
またかろうじて何人か残っているが、ヴィシーやセルビアにクロアチア、...サロ以外の傀儡国家は殆どダウンしてしまった。まあ、あいつらは囮みたいなものだからまだ許容できるが、ハンガリーや日帝が傀儡国家を庇ったりして怪我を負っているのはやばい。
大日本帝国
満洲国
大日本帝国
イタリア王国
イタリア王国
みんな動きが鈍ってきているし、...負けてしまうかもしれない。 いやっ、...それは許されない。許されないことなんだけど、
ソビエト
イタリア王国
死んでくれ、お願いだから。 イオの夢を、幸せを、踏みにじらないでくれ!!!
イオは、ww1の頃からだったかな、 ”裏切り野郎”なんて呼ばれた。 実際裏切りにあたる行為もしてるし、そう呼ばれるのは仕方ないかもしれない。
だけど、今のイオには、寝返る先も寝返った後の未来も、何もない。 何故なら、これは”イオが始めた戦い”だからだ。
イタリア王国
最前線で戦う、れっきとした交戦国。
イオは思い切り床を蹴って目の前の赤い怪物へと突っ込む。 これだけ戦いをしてもまだこんな体力があるのか、...と問いたくなるようなイオの人蹴り。案の定、ソ連やサロの目は見開かれていた。
ドガァッ、!!!と轟音が鳴る。 ソ連の顔面を思い切り殴った。ソ連は体制を崩してその場に倒れる。 とどめを刺そうと短刀を振りかざしたが、ソ連は素早くその場から立ち上がりイオの一斬りは空振りとなった。
イタリア王国
イオの息は荒くなる。 殺意が溢れ出す。 ソ連もまた、殺意と憎悪に満ちた目で、イオを見つめていた。
後ろからサロが歩いてくる気配がするので、サッと腕をかざし、”来るな”の合図を送る。サロはきっと加勢しようとしてきたのだろう。でも、今のイオに加勢なんて要らない。
イタリア王国
イタリア王国
イタリア王国
短刀をさっと構える。 ソ連は驚いたような表情でイオを見た。
ソビエト
そう、まるで、”魂が乗り移ったかのように”
イタリアの目つき、声色、口調、構え、全てが、 「ナチス・ドイツ」を彷彿とさせた。
一対一は、逃げの選択肢かもしれない。 高確率で、死ねるのだから。
床とブーツの強く擦れる音がする。 イオはまた一度床を思い切り踏み込んで、ソ連へと距離を縮める。 イオの身体ではないくらい、イオの身体は違和感なく動く。 一方ソ連には明らかな疲弊が表れていた。
ソ連に殴りかかる。 が、今回の打撃はサッと流され、代わりに自分が一発食らってしまった。 だけど立ち止まってはいられない。一旦引いてから、鎌を構えようとするソ連の手を銃で撃ちぬいた。 ソ連は目をぎゅっと瞑って痛みを表す。イオも殴られた右頬をさする。
休みをいれず、イオはまたソ連との距離を縮める。 ソ連はさすがに疲れたのか、反応が少し遅れた。イオは完全に近づくまでもなく、銃を構える。
バンッ!
ソビエト
”ソ連の顔に”血しぶきがかかる。 ドサッ、と音がして、部屋は沈黙に包まれる。
イタリア王国
ソ連に弾は当たらなかった。 何故?
ルーマニア王国
イタリア社会共和国
ルーマニアが胸を押さえて痛がる。 ルーマニアの胸からはどろどろと血が流れだしていた。
ルーマニアがソ連を庇った。
イタリア王国
イタリア王国
イタリアは再度銃をソ連に構えて、撃つ。
ブルガリア王国
イタリア王国
ブルガリアがイオの方へ飛んできて、イオを押し倒す。イオの撃った弾は大きくぶれ、壁に当たった。
ブルガリア王国
イタリア王国
びっくりした。イオより酷い裏切り野郎がここにいるじゃないか。
ブルガリアはイオの身体を押さえつける。イオは暴れるが、ブルガリアの力は思ったより強い。
ソビエト
イタリア王国
ブルガリア王国
ブルガリア王国
ブルガリア王国
ブルガリアが叫ぶ。
ハンガリー王国
ハンガリー兄弟や生きている他の国がソ連を立ち上がらせ、急かす。
ソビエト
大日本帝国
ハンガリー国民統一政府
ソ連はそれに応えるように、駆け足で部屋の出口へ急ぐ。 出口の扉では、ヴィシーフランスがすでに扉を開けていた。 ソ連はそこから出ていった。
イタリア王国
ブルガリアに隙が出来た瞬間、ブルガリアを押し倒し返して額に銃を突きつけ、バンッと無慈悲に引き金を引く。
額からは血が噴き出し、顔にかかる。
ブルガリアを始末すると、イオはソ連の後を追うべく立ち上がるが、サロが後ろからイオを抑えつけようと襲ってくる。
イオはそんなサロの腹に短刀を刺した。
イタリア王国
お前らは”イオの為に”動いてさえいればよかったのに。
イオは、怯んだサロの額に銃を突きつけ、 ___また、引き金を引いた。
バタッ、とサロが倒れる。 イオは今、何のためらいもなく、兄弟に引き金を引けてしまった。
...裏切り者は、もういらない。
周りの国が戦闘隊形に入る。 イオはゆらりとそちらを向いて、ペッ、と唾を吐いた。
コメント
9件
ふぉ!?ファ!?なんかイタ王がめっちゃ無慈悲だけどめっちゃイケメンで、やっぱソ連クソ強くて、今のところルーマニア、ブルガリア、サロとかが4んじゃって…ナチを奪還したらバットエンド…?どういうことなのか気になるので次の話見てきます…!!!
なんという急展開!!!!!!イタ王の名台詞に感嘆詞しか出てきません!!! 「頼りにない援軍を送ってみてる小国じゃない」「最前線で戦う、れっきとした交戦国。」 『ナチスを奪還する』ただその依存的な目的のためだけに、ここまで、長く長く戦ってきたイタ王。その形相は、いかに切羽詰まったものだったか私には計り知れません…。 さて、ナチスを連れ出した三人に追いつくべく、ソ連は走る。 ソ連とナチスを繋ぐ雪道は、果たして開かれるのか――― 結末が知りたい、でも終わってほしくない、そんな大作です。
わぁぁぁぁ(( 初コメ失礼します、! ずっと愛読させてもらってたんですけど、まさかの展開に驚いてます、!!応援するので早く続きが見たi((((殴